私に聖女は荷が重いようなので田舎に帰らせてもらいます。

木山楽斗

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6.久し振りの家

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 小さな村であるため、私が帰って来たことはすぐに村全体に広まっていった。
 私の姿を見た人達が誰かにそれを伝えて、その人がまた誰かに伝える。そうやって、人から人へと噂が伝達していくのだ。
 そのため、私が帰ったことは、お父さんとお母さんに既に伝わっているだろう。そう思いながらも、私は家の方まで歩いて来た。

「さて、それじゃあ、俺は家に帰るよ。父さんと母さんにも、事情を説明しておいた方がいいだろうしな」
「うん。それじゃあね」
「ああ」

 私の家とロヴァイドの家は隣同士だ。といっても、この村は家と家の間がかなり離れているのだが。
 そのため、私の家から少し離れた場所でロヴァイドと別れて、私は自分の家を目指す。
 すると、家の前にある畑で作業をしている二人の姿が見えた。仕事をしている所を見ると、もしかして私の帰還はまだ伝わっていないのかもしれない。

「お父さん、お母さん」
「おっと……」
「あらあら」

 私が声をかけると、お父さんとお母さんはこちらを向いた。
 二人とも、笑顔である。あまり驚いていないので、どうやら私の帰還は伝わっていたようだ。

「アフィーリ、お帰り」
「うん、ただいま」
「少し背が伸びたみたいね」
「そうかな?」
「ああ、それに顔つきも少し変わったね。以前よりも、大人になったように思えるよ」
「自分では、わからないんだけどね……」

 随分と久し振りの再会だったが、お父さんもお母さんも昔と変わらない口調で話してくれた。
 それは恐らく、私が帰って来た事情が事情だからだろう。暗くならないように、気を遣ってくれているのかもしれない。
 だが、それは私にとっても嬉しいことだった。いつも通りの会話が、安心できる。帰って来たと感じさせてくれる。

「長旅で疲れたでしょう?」
「うん、まあ少し疲れているかな……」
「あなたの部屋は出て行った時のままだから、ゆっくり休むといいわ」
「……そうさせてもらおうかな」

 お父さんもお母さんも、特に何も聞いて来なかった。
 多分、私が話せば聞いてくれるはずだ。だが、それは少々込み入った話になるので、夕食時などいいだろう。
 本当に長い旅だったので、正直疲れている。今は体を休めて、これからのことはそれから決めるということでいいのだろう。

「それじゃあ、また後でね」
「ああ」
「ええ」

 お父さんとお母さんにそう言ってから、私は家の中に入る。
 久し振りの家も、出て行った時と変わっていない。そのことに安心しながら、私は自室に向かうのだった。
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