公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗

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第4.5話(レティ視点)

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 ※この話は、レティ視点の話です。


 私の名前は、レティ・フォリシス。
 誇り高きフォリシス家の次女にして、神童と呼ばれている才能溢れる美しい天才です。

 私には、兄と姉が一人ずついます。

 一人は、ルリア・フォリシス。父がある時引き取ってきた義理の姉です。
 この姉は、穏やかな性格ですね。とても優しく、こんな私にも分け隔てなく接してくれます。
 お姉様には、感謝の気持ちしかありません。大好きだといえます。

 もう一人は、リクルド・フォリシス。血のつながった実の兄です。
 この兄は、恐ろしい性格ですね。フォルシアス学園の学園長を務めており、融通の利かない厳しい性格です。
 まあ、そんな性格ですが、別に嫌いという訳ではありません。

「わかったか?」
「はい……」

 ただ、今はそんなお兄様に説教をされています。
 私が、お兄様の学園に入学することになったことについて、余計なことを言ったからです。こってり、絞られてしまいました。
 こういう所は、好きではないかもしれません。まあ、一応、私が悪いということも理解できなくはないのですが。

「さて、説教はこれで終わりにしてやろう。それで、俺がお前の部屋に行った本来の理由について、話したい」
「え? まあ、別にいいですけど……」

 そこで、お兄様がそんなことを言ってきました。
 もう帰れると思ったのに、残念です。

「特別入学の学生には、補助委員をつけることになっている。これは、通常よりも低い年齢で入学する者が、滞りなく学園生活を送れるように補助する者だ」
「はあ」
「そこで、お前にはルリアをつけたいと思っている。よって、同じクラスになるだろう」

 お兄様は、何かよくわからないことを言ってきました。
 補助委員とか、そんなの必要あるんでしょうか。まあ、お姉様と同じクラスになれるなら、別になんでもいいですね。

「それに伴い、お前に頼みたいことがある」
「頼みたいこと……?」

 お兄様の頼みごとなんて、絶対に碌なものではありません。
 断りたいですが、恐らく、お兄様はそんなことを許してくれないでしょう。
 できるだけ面倒くさくないことを祈るだけです。

「ルリアに近づいてくる男子生徒に注意してもらいたいのだ」
「え?」

 その頼みごとに、私は思わず驚いてしまいます。
 シスコンだとは思っていましたが、ここまでとは。気持ち悪い兄ですね。
 ですが、考えてみれば、元々お姉様を女学院に通わせようとしていた人です。これも、当然なのかもしれません。

「……何か、勘違いしているな」
「はあ、勘違いではないと思いますけど」
「俺はただ、フォリシス家の人間と、婚約等を結ぼうと狙ってくる不届き者に注意しろと言っているだけだ。そこに深い意味などない」
「へえ……」

 お兄様が、何か言い訳をしてきましたが、これは嘘です。
 絶対に、単にお姉様に近づく男が気に入らないだけです。
 この兄は、基本的には立派ですが、お姉様のことになるとおかしくなるので、そんなものでしょう。

「……俺は、お前のことを思って、姉と同じクラスにしてやろうと思っていた。だが、お前がそのような態度なら、その考えも改めざるを得ないようだな……」
「申し訳ありませんでした、お兄様。お姉様に近づいてくる不逞な者など、許せるはずがないのは、フォリシス家の人間として当然のことです。謹んで、見守らせてもらいます」

 ただ、お兄様が急に脅してきたので、私は考えを改めました。
 お兄様の心中など、どうでもいいですが、お姉様と同じクラスというのは、絶対に守っておきたいことです。そのためなら、露払い役くらい、引き受けてあげましょう。

「ふっ、それでいい」

 私の言葉に、お兄様は少しだけ笑いました。
 ここで笑われるのは、怖いのでやめて欲しいですね。

「……ただ、このことはルリアには言うな。余計な心配をかける必要はないからな」
「え? それって……」
「ほう?」

 それって、引かれるから言わないでという意味ですか?
 そんな言葉を、私は飲み込みました。ここで余計なことを言うと、また説教が始まりそうです。もう結構長い時間受けたので、これ以上は嫌です。

「わかりました。お姉様には言いません」
「そうか」

 そのため、口約束をしておきました。
 口約束なので、守るとは言っていませんが。

 このことをお姉様に伝えたら、どんな反応をするでしょうか。
 きっと、面白いことになるはずです。そんな好機を、逃す訳にはいきません。

「さて、話はこれで終わりだ。部屋に戻ってもいいぞ」
「あ、はい。お邪魔しました」

 その言葉を最後に、私は部屋を出ていきます。
 さて、この後は、お姉様を誘ってお茶にでもしますかね。
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