76 / 80
第60.5話(レティ視点)
しおりを挟む
※この話は、レティ視点の話です。
私の名前は、レティ・フォリシス。
誇り高きフォリシス家の次女にして、神童と呼ばれている才能溢れる美しい天才です。
私は、お兄様の元に来ています。
それは、とあることを聞いてしまったからです。
「お、お兄様、どうやら大変なことになったようですね?」
「……聞いていたのか?」
「はい……」
実は、私はお姉様のお兄様に対する告白を聞いていました。
たまたま、廊下を歩いている時、話し声が聞こえてきたため、盗み聞きしていたのです。
まさか、お姉様が私に相談もなく、お兄様に告白するとは思いませんでした。
「盗み聞きとは、趣味が悪いな?」
「あ、いえ……」
もちろん、盗み聞きは悪いことだと思います。
ですが、この話だけは聞き逃す訳には行かなったのです。
私は、お姉様のお兄様への思いをずっと知っていました。その思いを打ち解ける瞬間を、聞き逃すことなどできません。
「まあいい。俺も今はお前に小言を言う気にすらなれない」
「おや……」
例え、お兄様に怒られてもいいという気持ちでしたが、説教はありませんでした。
どうやら、お兄様は告白の衝撃で混乱してしまっているようです。
それなら、私も言いたいことを言わせてもらうとしましょう。説教があってもなくても、これは言うつもりでした。
「お兄様、あの返答はどういうつもりなんですか?」
「何?」
「男らしくないというか、なんというか……お兄様らしくない返答ですよ」
「む……」
私が指摘したのは、お兄様のお姉様への返答です。
なんだか、曖昧ですっきりしない返答でした。
その気がないなら、お姉様にはっきり言えばいいのに、含みを持たせるなどずるいと思います。
いつものお兄様なら、そのように言葉を逃がすことはありません。真実であろうと嘘であろうと、自信を持ってはっきりと言う。それが、お兄様の特色だったはずです。
「お姉様のことを、実際どう思っているんですか?」
「……」
「答えてください」
今日の私は、少しいつもと違います。
私は、基本的にお姉様を悲しませる人を許しません。それは、この兄も同じだったはずです。
今のお兄様は、お姉様を悪戯に苦しめています。そのようなことが、許されるはずがないのです。
「少なからず……俺が、ルリアに特別な思いを抱いていることは事実だろう」
「ええ……」
「だが、それは曖昧なものだ。俺にとって、ルリアは妹である。家族としての愛情も、そこにはあるのだ」
お兄様の返答は、そのようなものでした。
どうやら、お兄様自身も自分の思いをよく理解していないようです。なんでも、結論をつけるお兄様なので、これは珍しい状態でしょう。
「それなら、お姉様にもそのように伝えればいいじゃないですか?」
「それは、できない。俺は、フォリシス家の長男として、あのように返すしかなかった」
しかし、私が解せないのはそれをお姉様にきちんと伝えていないことです。
結局、お兄様は逃げています。お姉様の気持に、正面から向き合っていません。
「お兄様、その立場というものを取り払って考えてください。お姉様の気持ちと本当に向き合う気があるなら、リクルドとして考えてください」
「何?」
「そうすることが、お兄様のやるべきことです。立場を理由にするなど、ずるいですからね!」
私はそれだけ言って、お兄様の元から去っていきます。
これだけ言えば、お兄様も必ず考えてくれるはずです。
私の名前は、レティ・フォリシス。
誇り高きフォリシス家の次女にして、神童と呼ばれている才能溢れる美しい天才です。
私は、お兄様の元に来ています。
それは、とあることを聞いてしまったからです。
「お、お兄様、どうやら大変なことになったようですね?」
「……聞いていたのか?」
「はい……」
実は、私はお姉様のお兄様に対する告白を聞いていました。
たまたま、廊下を歩いている時、話し声が聞こえてきたため、盗み聞きしていたのです。
まさか、お姉様が私に相談もなく、お兄様に告白するとは思いませんでした。
「盗み聞きとは、趣味が悪いな?」
「あ、いえ……」
もちろん、盗み聞きは悪いことだと思います。
ですが、この話だけは聞き逃す訳には行かなったのです。
私は、お姉様のお兄様への思いをずっと知っていました。その思いを打ち解ける瞬間を、聞き逃すことなどできません。
「まあいい。俺も今はお前に小言を言う気にすらなれない」
「おや……」
例え、お兄様に怒られてもいいという気持ちでしたが、説教はありませんでした。
どうやら、お兄様は告白の衝撃で混乱してしまっているようです。
それなら、私も言いたいことを言わせてもらうとしましょう。説教があってもなくても、これは言うつもりでした。
「お兄様、あの返答はどういうつもりなんですか?」
「何?」
「男らしくないというか、なんというか……お兄様らしくない返答ですよ」
「む……」
私が指摘したのは、お兄様のお姉様への返答です。
なんだか、曖昧ですっきりしない返答でした。
その気がないなら、お姉様にはっきり言えばいいのに、含みを持たせるなどずるいと思います。
いつものお兄様なら、そのように言葉を逃がすことはありません。真実であろうと嘘であろうと、自信を持ってはっきりと言う。それが、お兄様の特色だったはずです。
「お姉様のことを、実際どう思っているんですか?」
「……」
「答えてください」
今日の私は、少しいつもと違います。
私は、基本的にお姉様を悲しませる人を許しません。それは、この兄も同じだったはずです。
今のお兄様は、お姉様を悪戯に苦しめています。そのようなことが、許されるはずがないのです。
「少なからず……俺が、ルリアに特別な思いを抱いていることは事実だろう」
「ええ……」
「だが、それは曖昧なものだ。俺にとって、ルリアは妹である。家族としての愛情も、そこにはあるのだ」
お兄様の返答は、そのようなものでした。
どうやら、お兄様自身も自分の思いをよく理解していないようです。なんでも、結論をつけるお兄様なので、これは珍しい状態でしょう。
「それなら、お姉様にもそのように伝えればいいじゃないですか?」
「それは、できない。俺は、フォリシス家の長男として、あのように返すしかなかった」
しかし、私が解せないのはそれをお姉様にきちんと伝えていないことです。
結局、お兄様は逃げています。お姉様の気持に、正面から向き合っていません。
「お兄様、その立場というものを取り払って考えてください。お姉様の気持ちと本当に向き合う気があるなら、リクルドとして考えてください」
「何?」
「そうすることが、お兄様のやるべきことです。立場を理由にするなど、ずるいですからね!」
私はそれだけ言って、お兄様の元から去っていきます。
これだけ言えば、お兄様も必ず考えてくれるはずです。
1
あなたにおすすめの小説
元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。
無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。
目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。
マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。
婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。
その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
地味令嬢は結婚を諦め、薬師として生きることにしました。口の悪い女性陣のお世話をしていたら、イケメン婚約者ができたのですがどういうことですか?
石河 翠
恋愛
美形家族の中で唯一、地味顔で存在感のないアイリーン。婚約者を探そうとしても、失敗ばかり。お見合いをしたところで、しょせん相手の狙いはイケメンで有名な兄弟を紹介してもらうことだと思い知った彼女は、結婚を諦め薬師として生きることを決める。
働き始めた彼女は、職場の同僚からアプローチを受けていた。イケメンのお世辞を本気にしてはいけないと思いつつ、彼に惹かれていく。しかし彼がとある貴族令嬢に想いを寄せ、あまつさえ求婚していたことを知り……。
初恋から逃げ出そうとする自信のないヒロインと、大好きな彼女の側にいるためなら王子の地位など喜んで捨ててしまう一途なヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
扉絵はあっきコタロウさまに描いていただきました。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【完結】追放された私、宮廷楽師になったら最強騎士に溺愛されました
er
恋愛
両親を亡くし、叔父に引き取られたクレアは、義妹ペトラに全てを奪われ虐げられていた。
宮廷楽師選考会への出場も拒まれ、老商人との結婚を強要される。
絶望の中、クレアは母から受け継いだ「音花の恵み」——音楽を物質化する力——を使い、家を飛び出す。
近衛騎士団隊長アーロンに助けられ、彼の助けもあり選考会に参加。首席合格を果たし、叔父と義妹を見返す。クレアは王室専属楽師として、アーロンと共に新たな人生を歩み始める。
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる