七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。

木山楽斗

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12.王都に入るには

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「お嬢さん、ここまでだよ。王都には入ることができない」
「いえ、ここまで運んでくださりありがとうございます」
「王都に入ろうというなら、気を付けるんだよ? 見つかればただでは済まない」
「はい、わかっています」

 故郷の村から王都の近くまでやって来た私は、ここまで運んで来てくれた御者さんとそのような会話を交わした。
 王都に入る門の前では、兵士らしき人達と何人かの人物が言い争っている。どうやら今王都には入ることも出ることもできないらしい。

「問題は、あの雲かな……?」

 私はゆっくりと空を見上げて、そこにある雲を見つめた。
 その雲は、一見すると雨雲のように思える。いや、実際に雨雲なのかもしれない。ただあれが雨をもたらすというだけではないことを私は理解していた。
 王都の周りにあるはずの結界は、明らかに弱まっている。恐らく、結界を張れる聖女が不在であるため、上手く働いていないのだろう。

「とにかく、中に入らないといけないか……場合によっては、王城にも忍び込まないといけないかな」

 王都を覆っている雲は、邪悪なる者の襲来を表しているはずだ。そういうものを払うための結界が機能していないのだから、その可能性は高いだろう。
 それを解決する方法は、結界を再度張ることだ。そうすれば、邪悪なる者は手を出せなくなるだろう。
 そして結界を張れるのは、私かサリーム様くらいだ。彼女は自由に動くことができない立場であるだろうし、今結界を張れるのは私だけということになる。

「正面からは入らせてもらえないだろうし……」

 とりあえず私は、近くの森の中に入っていた。
 その中には危険な魔物などが潜んでいるかもしれないが、それは逆に人が寄り付かない場所であることを表している。
 とにかく私は、見つからないように王都に入らなければならない。そうするために、そういった場所に行く必要があるのだ。

「……すごく嫌だけど、これなら見つからないように行けるはず」

 森に入って少し進んでから、私は地面に手を置いた。
 王都の中に入るために、私はとても原始的な方法を選んだ。空を飛んだりする方法もあるのだが、やはり目立たないためにはこれが一番いいだろう。

「本来なら結界があるけれど、それも弱まっているみたいだし……」

 私は、魔力によって地面に穴を開けそこに入っていく。
 今から私は、穴を掘って王都の中に入るつもりだ。上が駄目だから下を通る。それは非常に単純な方法だ。
 土にまみれるし暗いし、進むのに時間もかかる。正直な所、あまり気は進まない。
 しかし私が思い付く方法で、一番いい方法はこれである。だから進んでいくしかない。

「夜までには終わらせたい所だけど……」

 これから私は、魔法で穴を掘ってその穴を整備して進んでいく。それは、結構骨が折れる作業である。それなりに時間もかかるだろう。
 しかし流石に夜までには終わるはずだ。この穴の中で一夜を明かしたくはないし、効率良く作業していく必要がある。
 ただ、王都に入る時は夜の方がいいかもしれない。一目が少ない場所に出るつもりではあるが、やはり闇に紛れられる夜の方がいいような気もする。

「まあ、嫌だなんて言っている場合じゃないか……」

 色々な事実に辟易としながらも、私は作業を始めた。
 こうして私は、王都の中を目指すのだった。
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