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40.二人の時間
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夕食が終わってから帰るということで、パルセットさんはエルガドが送っていくことになった。
初めはバルハルド様が送っていくと言っていたのだが、エルガドが立候補したために、彼がそうする運びになった。
それはもしかしたら、気遣いなのかもしれない。私とバルハルド様が、二人きりになれるように取り計らってくれたのだろうか。
「バルハルド様、一つお聞きしておいてもいいですか?」
「む? なんだ?」
「もう挨拶した方がいい人はいませんか?」
「ああ、そのことか……」
いい機会なので、私はバルハルド様に聞いておくことにした。
彼は色々と人生経験が豊富であるため、様々な方面に知り合いがいる。パルセットさんのことで、私はそう思った。
故にここは、思い切って聞いた方がいいような気がしたのだ。もっとも、流石にこれ以上挨拶するべき人などはいないと思うのだが。
「仕事関係の知り合いに挨拶をするべきなのかもしれないが、それは追々でも構わないだろう。あまりリメリア嬢に無理はさせたくないしな」
「無理だなんて、そんなことはありませんが……」
「いや、あなたはそういった気遣いによって、いつも心を痛めている。俺がそういったことにもう少し気が回ればいいのだがな」
バルハルド様は、少し自嘲気味な笑みを浮かべていた。
そういった表情を見るのは、久し振りであるような気がする。古巣だからだろうか、このラプリードやアキードでは、あまりそういった表情は見せていなかったのかもしれない。
ただこれは、妾の子であることへの劣等感などによって出たものではなさそうだ。そういった意味では、いつものとは違うといえる。
「バルハルド様は、いつも私のことを気遣ってくださっています。今もそうやって、私のことを思ってくださっているではありませんか。私はそれを嬉しく思っていますよ?」
「……自分がそうできていると自負がある訳ではないが、あなたにそう言ってもらえるなら素直に喜んでおくとしよう」
「そんなに回りくどい言い方をしなくてもいいんですよ?」
「別にそのようなつもりはないのだがな」
バルハルド様の自己評価の低さは、相変わらずではあるようだ。
そういう所は、どうにか治って欲しい所なので、私はこれからもバルハルド様を褒め続けるべきであろう。実際に、バルハルド様は褒められるべき人である訳だし。
「む? エルガドが帰ってきたようだな」
「あ、そうですね」
そんなことを話している内に、エルガドが帰って来た。
彼には感謝しなければならないだろう。お陰でバルハルド様と楽しい一時が過ごせたのだから。
初めはバルハルド様が送っていくと言っていたのだが、エルガドが立候補したために、彼がそうする運びになった。
それはもしかしたら、気遣いなのかもしれない。私とバルハルド様が、二人きりになれるように取り計らってくれたのだろうか。
「バルハルド様、一つお聞きしておいてもいいですか?」
「む? なんだ?」
「もう挨拶した方がいい人はいませんか?」
「ああ、そのことか……」
いい機会なので、私はバルハルド様に聞いておくことにした。
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故にここは、思い切って聞いた方がいいような気がしたのだ。もっとも、流石にこれ以上挨拶するべき人などはいないと思うのだが。
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「無理だなんて、そんなことはありませんが……」
「いや、あなたはそういった気遣いによって、いつも心を痛めている。俺がそういったことにもう少し気が回ればいいのだがな」
バルハルド様は、少し自嘲気味な笑みを浮かべていた。
そういった表情を見るのは、久し振りであるような気がする。古巣だからだろうか、このラプリードやアキードでは、あまりそういった表情は見せていなかったのかもしれない。
ただこれは、妾の子であることへの劣等感などによって出たものではなさそうだ。そういった意味では、いつものとは違うといえる。
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「……自分がそうできていると自負がある訳ではないが、あなたにそう言ってもらえるなら素直に喜んでおくとしよう」
「そんなに回りくどい言い方をしなくてもいいんですよ?」
「別にそのようなつもりはないのだがな」
バルハルド様の自己評価の低さは、相変わらずではあるようだ。
そういう所は、どうにか治って欲しい所なので、私はこれからもバルハルド様を褒め続けるべきであろう。実際に、バルハルド様は褒められるべき人である訳だし。
「む? エルガドが帰ってきたようだな」
「あ、そうですね」
そんなことを話している内に、エルガドが帰って来た。
彼には感謝しなければならないだろう。お陰でバルハルド様と楽しい一時が過ごせたのだから。
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