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1.舞踏会での糾弾
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「この泥棒猫!」
「きゃあ!」
王家が主催する舞踏会は、王城にて定期的に開催されているものだ。
その舞踏会において、私はとある令嬢から平手打ちされて尻もちをついていた。彼女はリリアナ嬢――ラナール伯爵家の令嬢だ。
それは突然のことだった。舞踏会の会場で彼女が怒りの形相で近づいてきたと思ったら、私は既にぶたれていた。
ガルタン男爵家の長女である私は、リリアナ嬢とは特に関わりなどはない。それなのにいきなりこんなことをされるなんて、正直訳がわからなかった。
「リリアナ嬢、落ち着いてください」
「な、何をやっているのですか?」
周囲からも、困惑が伝わってきた。この舞踏会の会場にてこんなことをするなんて、明らかに普通ではない。リリアナ嬢は、冷静ではないのだろう。怒りに身を任せているといった感じだ。
しかし彼女の怒りというものがなんなのか、それが私にはわからなかった。私は何か知らない間に、リリアナ嬢の機嫌を損ねるようなことをしていたのだろうか。
「リ、リリアナ嬢、どうしたのですか? 何故私に……」
「自分の胸に聞いてみればいいでしょう? それともあなたのような下賤な女には、自分がやったことの卑しさというものも理解できないのかしら?」
「な、何を……」
リリアナ嬢は周囲からの制止も聞かず、私に詰め寄ってきた。
理由を尋ねても、彼女は答えてくれない。怒りの原因がわからないため、私は何も言うことができなかった。下手に謝罪しても、彼女の気を荒立てるだけのような気がしてしまう。
「あなたはこれから自らの愚かな行いに対する報いを受けることになるのよ……あなたの家、ガルタン男爵家も私は許さない」
「……リリアナ嬢、そこまでにしてもらいましょうか?」
「誰よ……あっ!」
怒るリリアナ嬢は、後ろを振り返って固まっていた。
それは彼女の目の前に、このアーゼン王国の第三王子が立っているからだろう。
その第三王子エリクス殿下は、普段は優しいその顔を少し強張らせている。今回の王家の舞踏会は彼が責任者となっているため、この騒ぎは見過ごせないということだろう。
「リリアナ嬢、あなたはここがどういった場で何をしているのか、わかっているのですか?」
「……ちっ! 覚えておきなさい」
王子殿下の来訪には流石に参ったのか、リリアナ嬢は捨て台詞を吐いてからその場から去っていった。
エリクス殿下は、その背中と私の方を交互に見る。その視線は私の方に止まり、彼はその手を差し伸べてくれた。
「ケイティア嬢、大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます……」
私がその手を取って立ち上がった後、エリクス殿下は場をまとめた。
舞踏会はまだ始まったばかりだ。ここで中止という訳には、いかないということだろう。
ただ私は、それに参加できそうにはない。周囲の視線からは、私はそれを悟っていた。
「きゃあ!」
王家が主催する舞踏会は、王城にて定期的に開催されているものだ。
その舞踏会において、私はとある令嬢から平手打ちされて尻もちをついていた。彼女はリリアナ嬢――ラナール伯爵家の令嬢だ。
それは突然のことだった。舞踏会の会場で彼女が怒りの形相で近づいてきたと思ったら、私は既にぶたれていた。
ガルタン男爵家の長女である私は、リリアナ嬢とは特に関わりなどはない。それなのにいきなりこんなことをされるなんて、正直訳がわからなかった。
「リリアナ嬢、落ち着いてください」
「な、何をやっているのですか?」
周囲からも、困惑が伝わってきた。この舞踏会の会場にてこんなことをするなんて、明らかに普通ではない。リリアナ嬢は、冷静ではないのだろう。怒りに身を任せているといった感じだ。
しかし彼女の怒りというものがなんなのか、それが私にはわからなかった。私は何か知らない間に、リリアナ嬢の機嫌を損ねるようなことをしていたのだろうか。
「リ、リリアナ嬢、どうしたのですか? 何故私に……」
「自分の胸に聞いてみればいいでしょう? それともあなたのような下賤な女には、自分がやったことの卑しさというものも理解できないのかしら?」
「な、何を……」
リリアナ嬢は周囲からの制止も聞かず、私に詰め寄ってきた。
理由を尋ねても、彼女は答えてくれない。怒りの原因がわからないため、私は何も言うことができなかった。下手に謝罪しても、彼女の気を荒立てるだけのような気がしてしまう。
「あなたはこれから自らの愚かな行いに対する報いを受けることになるのよ……あなたの家、ガルタン男爵家も私は許さない」
「……リリアナ嬢、そこまでにしてもらいましょうか?」
「誰よ……あっ!」
怒るリリアナ嬢は、後ろを振り返って固まっていた。
それは彼女の目の前に、このアーゼン王国の第三王子が立っているからだろう。
その第三王子エリクス殿下は、普段は優しいその顔を少し強張らせている。今回の王家の舞踏会は彼が責任者となっているため、この騒ぎは見過ごせないということだろう。
「リリアナ嬢、あなたはここがどういった場で何をしているのか、わかっているのですか?」
「……ちっ! 覚えておきなさい」
王子殿下の来訪には流石に参ったのか、リリアナ嬢は捨て台詞を吐いてからその場から去っていった。
エリクス殿下は、その背中と私の方を交互に見る。その視線は私の方に止まり、彼はその手を差し伸べてくれた。
「ケイティア嬢、大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます……」
私がその手を取って立ち上がった後、エリクス殿下は場をまとめた。
舞踏会はまだ始まったばかりだ。ここで中止という訳には、いかないということだろう。
ただ私は、それに参加できそうにはない。周囲の視線からは、私はそれを悟っていた。
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