身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

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20.寂しい気持ち

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「……それで結局、アルガール侯爵は最期の時までランドラさんと和解できていなかったんだよね?」
「ええ、そうなの。侯爵にとっては、後悔が残る最期になってしまったといえるでしょうね……」
「そうか……それはなんというか、辛いね」
「ええ、辛いわね。時は待ってくれなかった……残酷だわ」

 アルガール侯爵は、きっとランドラ様と和解したかったはずだ。ただ、時間があってもそれが果たせたかは微妙な所である。
 ランドラ様は、恋に恋している状態であった。あれを説得するのは、骨が折れたはずである。
 いや、アルガール侯爵が健在であったなら、その婚約も上手くいったかもしれない。例えランドラ様が平民と婚約しても、二人の手綱を握って導くことも可能だったように思える。

「それで姉さんは、新しい婚約者……ラーゼル公爵家のバルギード様と婚約することになったという訳か」
「ええ、彼は少々難儀ではあるけれどいい人なの。まあ、ソルダスも今度会うことになるだろうから、すぐにわかると思うわ」
「いい人、か……」
「ソルダス? どうかしたの?」

 私の言葉に、ソルダスは少し暗い表情をした。
 バルギード様のことが、信用できないのだろうか。いや、二人は親交があった訳ではないのだから、信用できるもできないもないはずなのだが。

「いや、弟としては少々複雑でね。姉さんが、そんな風に楽しそうに話すのは……」
「そういうものなの?」
「まあ、寂しいという気持ちもあるのかな……僕がこの家に帰って来ても、姉さんはいなくなってしまう訳だし」
「それは……」

 ソルダスは、悲しそうにしていた。
 私達は仲の良い姉弟である。だからこそ、別れは寂しく思う。
 だけど、それは仕方ないことだ。私には私の役目があるのだから。
 それに、二度と会えない訳ではない。親族としての親交は続いていく。

「私も、寂しく思うわ」
「姉さん……」
「でも、新しい出会いもあるのよ? 私も、バルギード様と出会えた訳だし……」

 とはいえ、寂しい気持ちは変わる訳ではない。改めて考えて、私はそう理解した。
 だからといって、どうにかなることでもない。別れがあれば出会いもある。そのように考えるべきなのかもしれない。

「ソルダスも、早い所婚約者を見つけるべきなのよね……」
「婚約者、か……」
「学校は、そういう縁談がまとまることもあるみたいだけれど、そういう相手はいないのかしら?」
「あ、うん。まあ、いないね……」
「そう……お互いを見られる場だから、学校で相手が見つかるというのは幸いなことだと思うけど……まあ、お互いの気持ちや家柄のこともあるし、そう簡単ではないわよね」

 学校に通っている貴族で、いい人が見つかる。それは、とてもいいことだと思った。
 しかし、そう簡単にはいかないらしい。ソルダスにも良き巡り合わせがあればいいのだが。
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