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23.大切なこと
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「まあ、そんな風に貴族としても少し数奇な人生を歩んでいた私に言えることがあるとしたら、臨機応変に対応していくしかないといえるかしら」
「臨機応変、ですか?」
「ええ、何が起こるかは中々わからないものなのよ。私は結局、目の前のことに対応していたといえるわ」
お母様は、私の目を真っ直ぐに見てそう言ってきた。
その言葉は、もちろん理解できる。これからの人生で何が起こるかなんてわからない。怒ったことに対応していくしかないのは真理といえる。
「ああ、一つ言えるとしたら、夫と話し合うことは大切ということね」
「話し合うこと?」
「ええ、私達は基本的に何かあったら話し合うということを繰り返していたわ。コミュニケーションをしっかりするということは、案外重要なのかもしれないわ。私達が良好な関係でいられるのは、それも関係しているという可能性はあるわね」
「なるほど、確かに話をしなくなったら関係も冷え切ってしまいますよね……」
「まあ、良好な関係であるから話し合えるともいえるのかもしれないけれど……」
「……なんだかあべこべですね」
私とお母様は、笑い合った。
夫と良好な関係を築く。それは、とても大切なことだろう。
結局の所、それは相性ということなのかもしれない。だが、もしもそうなら、私とバルギード様は大丈夫なような気がする。
「バルギード様とは、不思議と気が合うんです」
「あら? そうなの?」
「はい。まあ、少々気難しい人ではあるんですけど、私とは意外と話が合うんです。多分、相性はいいと思います」
「それは何よりね」
私の言葉に、お母様はゆっくりと頷いてくれた。
しかし、直後にその顔は少し曇る。その理由は、なんとなく理解できた。よく考えてみれば、私にはバルギード様の前に婚約者がいたのだ。
「こう言ったら失礼かもしれませんが、ランドラ様と私はあまり気が合わなかったのかもしれません」
「そうだったのね……」
「昔はそんなことはなかったはずなんですけど、いつの間にか彼は変わってしまったというか、なんというか……」
「そうね……昔は純粋だったものね」
お母様も、ランドラ様のことはよく知っている。長く会っていない分、最近の彼の行動は私達よりももっと理解できないかもしれない。
こうして関わらなくなった今だからだろうか、楽しかった頃の思い出が蘇ってくる。あの頃の彼は、もう戻ってこないのだろうか。いや、彼はある意味今でも純粋であるので、あの時から変わっていないといえるのかもしれないが。
「臨機応変、ですか?」
「ええ、何が起こるかは中々わからないものなのよ。私は結局、目の前のことに対応していたといえるわ」
お母様は、私の目を真っ直ぐに見てそう言ってきた。
その言葉は、もちろん理解できる。これからの人生で何が起こるかなんてわからない。怒ったことに対応していくしかないのは真理といえる。
「ああ、一つ言えるとしたら、夫と話し合うことは大切ということね」
「話し合うこと?」
「ええ、私達は基本的に何かあったら話し合うということを繰り返していたわ。コミュニケーションをしっかりするということは、案外重要なのかもしれないわ。私達が良好な関係でいられるのは、それも関係しているという可能性はあるわね」
「なるほど、確かに話をしなくなったら関係も冷え切ってしまいますよね……」
「まあ、良好な関係であるから話し合えるともいえるのかもしれないけれど……」
「……なんだかあべこべですね」
私とお母様は、笑い合った。
夫と良好な関係を築く。それは、とても大切なことだろう。
結局の所、それは相性ということなのかもしれない。だが、もしもそうなら、私とバルギード様は大丈夫なような気がする。
「バルギード様とは、不思議と気が合うんです」
「あら? そうなの?」
「はい。まあ、少々気難しい人ではあるんですけど、私とは意外と話が合うんです。多分、相性はいいと思います」
「それは何よりね」
私の言葉に、お母様はゆっくりと頷いてくれた。
しかし、直後にその顔は少し曇る。その理由は、なんとなく理解できた。よく考えてみれば、私にはバルギード様の前に婚約者がいたのだ。
「こう言ったら失礼かもしれませんが、ランドラ様と私はあまり気が合わなかったのかもしれません」
「そうだったのね……」
「昔はそんなことはなかったはずなんですけど、いつの間にか彼は変わってしまったというか、なんというか……」
「そうね……昔は純粋だったものね」
お母様も、ランドラ様のことはよく知っている。長く会っていない分、最近の彼の行動は私達よりももっと理解できないかもしれない。
こうして関わらなくなった今だからだろうか、楽しかった頃の思い出が蘇ってくる。あの頃の彼は、もう戻ってこないのだろうか。いや、彼はある意味今でも純粋であるので、あの時から変わっていないといえるのかもしれないが。
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