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24.気が合った二人

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「なるほど、バルギード様は聡明な方であるようですね……」
「いえいえ、そのようなことはありません。色々な人に迷惑をかけてきました。不甲斐ない限りです」

 私の目の前で、ソルダスとバルギード様が固く握手を交わしている。
 約束した通り、お互いの家族を紹介することになり、私はお母様とソルダスを彼に紹介した。
 その後、色々と話すことになったのだが、ソルダスとバルギード様はそれなりに相性が良いらしく、話が弾んでいるのだ。

「そんなことはありません。婚約者をきちんと選ぶことは大切なことであるように思います。姉上もそれなりに苦労しましたから、猶更そう思ってしまいます」
「だからといって、私のようにわがままなのはあまり良くないかもしれませんよ。結果的には和解しましたが、一時期は父との関係も冷えていました」
「ですが、長い目で見ればいいことなのではありませんか? 良き婚約が結ばれれば、家を守ることにも繋がります」
「いやいや、これではオンラルト侯爵に恨まれてしまいますね。いらぬことを吹き込んでしまったかもしれません」

 ソルダスとバルギード様は、楽しそうに話をしている。
 それを見ながら、私とお母様は苦笑いを浮かべる。完全に、私達は置いて行かれてしまっているからだ。
 とはいえ、ソルダスもバルギード様も、いずれ家を背負う人間である。二人がその意見を交換するというのは、意外と重要なことなのかもしれない。

「……しかしながら、良き婚約ですか」
「おや、どうかしましたか?」
「いえいえ、あなたは姉上を信頼しているのだと思いましてね。もちろん、私もこれは良き婚約だと思っていますが……」
「ああ、そういうことですか……それは、当然のことです。姉上は僕にとって、誇れる姉上です」
「それは何よりですね……」

 バルギード様の笑みは、先程までとは少し異なるものになった。
 何か思う所があるのだろうか。その顔はあまり明るくないような気がする。

「……どうかしましたか?」
「ああ、いや、妹と弟のことを思い出したのです。私は二人にとって、誇れる兄であるかどうかを考えてしまって……」
「バルギード様なら、そう思われていると思いますよ?」
「そうだといいのですが……いささか自信がないのです。私は、長い間婚約者も決めずにふらふらとしていた訳ですから」
「それは、理由があってのことなのですから、納得されるのではないでしょうか?」
「とはいえ、妹などは既に嫁いでいますからね……あまり快く思われていないかもしれません」

 バルギード様の親族の妹と弟、その二人と私は何れ会うことになるだろう。
 その二人は、どのような人物なのだろうか。それはいささか気になっている。
 彼の兄弟なのだから大丈夫だとは思う反面、人格者の家族が人格者であるとは限らないという例を知っているため、少々不安だ。いや、そもそもそんな風に疑ってかかるのが良くないのかもしれないが。
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