身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

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28.嬉しい誤算

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 私は、ホルーグ様としばらくの間話をした。
 彼とバルギード様の間にあった微妙な確執のようなものは、あまり感じられなかった。やはり、それは解消されたと考えていいのかもしれない。
 ただ、年が離れているためか、私とソルダスのような関係性とは少々違うような気もした。私に当てはめるとするなら、私とお父様が話している時のような雰囲気があったように思う。

「よく考えてみると、兄上が結婚するということは、姉上が一人増えるということになるのですね……」
「む? ああ、確かにその通りではあるな。だが、それがどうかしたのか?」
「あ、いえ、ファラリス姉上のことを少し思い出してしまいました。もう随分と会っていませんから」
「そうか。確かにそうだな」

 話がある程度落ち着いてから、ホルーグ様はそのようなことを言った。
 バルギード様には、妹がいる。ホルーグ様にとって姉にあたる彼女は、前妻との間に生まれた子供であるらしい。
 つまり、ホルーグ様とは腹違いということになるのだが、こちらに関しても特に確執などがある訳ではないようだ。

「第二王子の奥様なのですよね?」
「ええ、縁あってそういうことになりました。仲も良くていい夫婦だと言われているそうですよ」
「それは、いいですね……」

 ホルーグ様の説明に、私は思わず笑顔になった。
 夫婦の仲が良い。それは嬉しい情報だ。例えよく知らない夫婦であってもそう思う。
 思えば、私の周りに冷えた関係の夫婦というのはいない。考えてみれば、それは幸せなことのように思える。
 風の噂で関係が冷え切っている貴族の夫婦の話はよく聞く。そういった人が近くにいたら、私はこんな風に明るく暮らせていなかったかもしれない。

「姉上とも近々会われるのですよね?」
「あ、はい。一応、その予定です。母と弟が王都に戻る際にそれに同行する予定になっています」
「ああ、そういえば、学校から里帰りされているのでしたね」
「ええ、そうなんです。偶然ですが、二人と一緒にいる時間が少し増えることになりました」

 バルギード様の妹であるファラリス様は、現在は王城で暮らしているらしい。
 丁度、お母様とソルダスが王都に戻るので私はそれに同行して王都に向かい、ファラリス様に挨拶することになった。
 なんというか、タイミングが良かった。お父様には少し申し訳ないが、二人といられる時間が増えるというのは、私にとって嬉しい誤算だ。
 最近は、順調にことが進んでいる。きっとこのまま何事もなく、バルギード様と結婚できるだろう。私は、そんなことを思うのだった。
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