29 / 46
29.起こった問題
しおりを挟む
「あ、姉さん、お帰りなさい」
「え、ええ、ただいま、ソルダス」
オンラルト侯爵家に帰って来た私は、屋敷の雰囲気が少しおかしいことに気付いた。
明らかに正常な状態ではない。何かあったという感じがする。
迎え入れてくれたソルダスも、冷静であるとは言い難い。少しそわそわしているような気がする。
「何かあったのかしら?」
「ああ、あった。少々厄介なことになっているんだ」
「厄介なこと?」
「ランドラさんのことだよ」
「ランドラ様……」
ソルダスの言葉に、私はある程度納得することができた。
最近のランドラ様からは、あまりいい噂を聞いていない。いつ何かが起こっても、おかしくはなかった。その何かが起こってしまったのだろう。
「……話を聞かせてもらえるかしら?」
「ああ、とりあえず中庭でいいかな?」
「ええ、行きましょう」
私はソルダスとともに中庭に向かった。私が帰って来たというのにお母様の姿もお父様の姿も見えないことから、もしかしたら二人は話し合っているのかもしれない。
「さて、姉さん。早速本題から入らせてもらうけれど、ランドラさんから手紙が届いたんだ」
「手紙、その内容が問題だったのね」
「ああ、それはオンラルト侯爵家に対する懇願だったんだ」
「懇願?」
中庭に着いてすぐに、私達は話を始めた。
ランドラ様が、オンラルト侯爵家に懇願をする。それは、少し意外なことだった。流石の彼も、婚約破棄した私がいるオンラルト侯爵家に助けを求めるとは思っていなかったのだが。
「端的に言うと、助けて欲しいという願いだったよ」
「助けて欲しい。それは単純ではあるけれど、必死な言葉ね」
「ああ、どうやらかなり窮地に立たされているらしい。もちろん、噂には聞いていたが」
「そうね……」
ランドラ様がどうなっているか、それは何度か聞いたことがある。
彼は言っていた通り、平民の農家であるルーフィアと結婚した。アルガール侯爵が亡くなって彼がその地位を継いですぐに結婚したそうだ。
だが、今までの振る舞いによって、彼は親族や他の貴族達から孤立することになった。未熟者である彼が、たった一人で侯爵としての務めを果たさなければならなくなってしまったのである。
「ついに破綻してしまったのね」
「ああ、そうだろうね。そうでなければ、オンラルト侯爵家にそのような手紙は送ってこないだろう」
「ええ……」
ランドラ様は、かなり追い詰められているだろう。
そんな彼に手を差し伸べるかどうか、それはきっとお父様にとってはかなり難しい問題であるはずだ。
「え、ええ、ただいま、ソルダス」
オンラルト侯爵家に帰って来た私は、屋敷の雰囲気が少しおかしいことに気付いた。
明らかに正常な状態ではない。何かあったという感じがする。
迎え入れてくれたソルダスも、冷静であるとは言い難い。少しそわそわしているような気がする。
「何かあったのかしら?」
「ああ、あった。少々厄介なことになっているんだ」
「厄介なこと?」
「ランドラさんのことだよ」
「ランドラ様……」
ソルダスの言葉に、私はある程度納得することができた。
最近のランドラ様からは、あまりいい噂を聞いていない。いつ何かが起こっても、おかしくはなかった。その何かが起こってしまったのだろう。
「……話を聞かせてもらえるかしら?」
「ああ、とりあえず中庭でいいかな?」
「ええ、行きましょう」
私はソルダスとともに中庭に向かった。私が帰って来たというのにお母様の姿もお父様の姿も見えないことから、もしかしたら二人は話し合っているのかもしれない。
「さて、姉さん。早速本題から入らせてもらうけれど、ランドラさんから手紙が届いたんだ」
「手紙、その内容が問題だったのね」
「ああ、それはオンラルト侯爵家に対する懇願だったんだ」
「懇願?」
中庭に着いてすぐに、私達は話を始めた。
ランドラ様が、オンラルト侯爵家に懇願をする。それは、少し意外なことだった。流石の彼も、婚約破棄した私がいるオンラルト侯爵家に助けを求めるとは思っていなかったのだが。
「端的に言うと、助けて欲しいという願いだったよ」
「助けて欲しい。それは単純ではあるけれど、必死な言葉ね」
「ああ、どうやらかなり窮地に立たされているらしい。もちろん、噂には聞いていたが」
「そうね……」
ランドラ様がどうなっているか、それは何度か聞いたことがある。
彼は言っていた通り、平民の農家であるルーフィアと結婚した。アルガール侯爵が亡くなって彼がその地位を継いですぐに結婚したそうだ。
だが、今までの振る舞いによって、彼は親族や他の貴族達から孤立することになった。未熟者である彼が、たった一人で侯爵としての務めを果たさなければならなくなってしまったのである。
「ついに破綻してしまったのね」
「ああ、そうだろうね。そうでなければ、オンラルト侯爵家にそのような手紙は送ってこないだろう」
「ええ……」
ランドラ様は、かなり追い詰められているだろう。
そんな彼に手を差し伸べるかどうか、それはきっとお父様にとってはかなり難しい問題であるはずだ。
8
あなたにおすすめの小説
条件付きにはなりますが、あなたの理想の妻を演じましょう
風見ゆうみ
恋愛
私、フェリ・ネイズは侯爵であるロファー・エアズ様と結婚した。
両親を早くに亡くした私は、伯父である先代の国王陛下のことを本当の親のように慕っていた。先代の国王陛下の望みで決まった結婚。私たちの間に愛はなかったけれど、結婚した以上は良き妻になろうと決心した。でも、結婚初日の夜、ロファー様は言った。「君との結婚は亡き陛下の遺言で義務だからだ。僕には恋人がいる。屋敷内での君は僕にとっては、その場に存在しないものだ。目の前にいてもいないものだとして扱うから、君も同じようにしてくれ」
そう言って彼が紹介したのはお気に入りのメイド。彼女が私の代わりに初夜を迎えるのだという。
離婚しない理由は私にとってはふざけた理由だった。
承知しました。あなたが望んでいる妻になりきってみせましょう。ですが、こちらからの条件ものんでいただきますけどね。
では、復讐するか
らがまふぃん
恋愛
ロットタニア王国王太子リスラン・ノーサテリテ・ロットタニアには、一つ年下のワーテラー公爵次女、ユセフィラ・サウロ・ワーテラーというとても評判の良い婚約者がいる。
そんな二人の関係は、学園に入ってから陰りが見える。
伯爵令嬢スウィーディー・オプトとリスランやその側近たちとの様々な憶測が囁かれていたある日、隣国に留学していた子爵令息のコノア・クルードが学園に編入してきた。
コノアは、噂の伯爵令嬢スウィーディーから聞かされる。
みんなはユセフィラに騙されている、だからリスランから離さないといけない、という内容だった。
周辺国にまで評判の良いユセフィラの噂は、隣国にいたコノアの耳にも当然入っている。
一方、スウィーディーの学園での評判は悪いものばかり。
評判の悪い自分は信じてもらえないことはわかっている、と自身の学園での評価も理解しているスウィーディー。
自分の見たものを信じるコノアは、スウィーディーと行動を共にすることになるのだが――。
※ご都合主義です。ポンコツ作者の作品ですので残念感がすごいですが、鼻で笑ってくだされば。幕間含め全二十四話+番外編でお届けいたします。番外編は、気まぐれに投稿します。よろしかったらお付き合いください。
※R6.7/9HOTランキング入りしておりました!ひとつ前の作品 精霊の使い?いいえ、違います。 に続いての快挙です。連載中の作品がランキング入りをするのが初めてで、続きがある状態でたくさんの方々の目に触れる機会に恵まれ嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、いいねを本当にありがとうございます。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/3に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
婚約破棄された私は、世間体が悪くなるからと家を追い出されました。そんな私を救ってくれたのは、隣国の王子様で、しかも初対面ではないようです。
冬吹せいら
恋愛
キャロ・ブリジットは、婚約者のライアン・オーゼフに、突如婚約を破棄された。
本来キャロの味方となって抗議するはずの父、カーセルは、婚約破棄をされた傷物令嬢に価値はないと冷たく言い放ち、キャロを家から追い出してしまう。
ありえないほど酷い仕打ちに、心を痛めていたキャロ。
隣国を訪れたところ、ひょんなことから、王子と顔を合わせることに。
「あの時のお礼を、今するべきだと。そう考えています」
どうやらキャロは、過去に王子を助けたことがあるらしく……?
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
氷の令嬢は断罪を笑う 〜婚約破棄した元婚約者が泣いて縋ってももう遅い、私は本物の愛を知ったから〜
sika
恋愛
社交界で「氷の令嬢」と呼ばれた侯爵令嬢リディア。
王太子アーヴィンとの婚約を誠実に守ってきたのに、彼はリディアを「冷たい女」と断罪し、卑しい伯爵令嬢に乗り換えた。
婚約を破棄されたリディアは、静かに微笑みながら王城を去る――その強さに誰も気づかぬまま。
だが、彼女の背後には別の男の影があった。寡黙で冷徹と噂される隣国の公爵、アレン・ヴァルディール。
傷ついた令嬢と孤高の公爵、運命の出会いが新たな恋とざまぁの幕を開ける。
これは、裏切られた令嬢が真実の愛で満たされていく溺愛成長ストーリー。
そして最後に笑うのは、いつだって冷静な彼女――氷の令嬢だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる