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45.幸せな未来へ

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「……お綺麗です」
「……ありがとうございます」

 バルギード様の言葉に、私は照れてしまった。
 そう言ってもらえるのは、とても嬉しい。特に彼から言われるのが、誰よりも嬉しい。

「バルギード様も、よく似合っていますよ」
「ありがとうございます。ふふ、少し恥ずかしいですね……」
「ええ、そうですよね……」

 紆余曲折あったが、私とバルギード様は無事に結婚式の日を迎えられることになった。
 花嫁衣装に身を包んだ私を彼は褒めてくれたのである。

「緊張しているようですね?」
「ええ、もちろん緊張しています。バルギード様も、それは同じですよね?」
「まあ、そうですね……やはり色々と憂いがあります」

 今回の結婚式には、様々な方々が出席することになっている。私達は、そういう人達の相手をしなければならないのだ。
 故に、結婚式というものはそれ程楽しいものではない。だが、これも貴族に生まれた私達の役目だ。しっかりとそれを果たさなければならない。

「結婚ですか……なんというか、遂にといった感じがしますね」
「はは、私もあなたも思えば随分と長い間身の振り方に悩んでいた訳ですからね」
「ええ、婚約破棄された時はどうなるかと思っていましたが……それで最良の相手と巡り会えたのですから、人生というものはわからないのものですね」
「ふふ、確かにそうですね……」

 私とバルギード様は、笑い合った。
 私も彼も、婚約というものには随分と苦しめられてきた。彼と出会った時点でその憂いは消えたが、結婚式という一区切りに改めて今までのことが頭に浮かんできたのである。

「バルギード様、少しよろしいでしょうか?」
「む? どうかしましたか?」
「いえ……よく考えてみれば、私達はまだ何もしていませんよね? お互いに想いを伝え合いましたが、あらゆることがまだです」
「……それは、そうですね」
「多分、この後にそういったことをするとは思いますが、先に済ませておきませんか? 体裁的なものではなく、二人の愛の証として」
「……それでは、失礼します」

 バルギード様は、私の肩を抱いてきた。それに対して、私はゆっくりと目を瞑る。
 すると程なくして、彼の唇が重なってきた。私達の結婚には愛がある。これが、その証明なのだ。

「……必ず幸せにすると約束します」
「はい。バルギード様ならその約束を必ず守ってくださると私は信じています」

 これから私達は、夫婦として生きていく。
 それは絶対に幸せな未来になる。バルギード様が、必ずそうしてくれる。私はそれを確信するのだった。
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