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 私という人間が、結婚に向いていないことは、お姉様にはわかってもらえました。
 ですが、私としてはもう少し語りたい所です。この際ですから、お姉様には私がどのような人物なのか、改めて認識してもらうことにしましょう。

「それに、結婚すると子供を産むことになりますよね?」
「え? まあ、そうだね。人によるとは思うけど……」
「そういうの私は嫌なんですよ。まず、すごく痛いんでしょう? 私、痛いことは避けたいと思っています」
「それは……そうかもしれないけど」

 私は、結婚の先にある子供を作るということにも嫌でした。
 痛いのは嫌ですから、できるだけそういうことは避けたいのです。
 貴族として、世継ぎを残すのは使命なのかもしれません。でも、痛い思いをするくらいなら、お兄様やお父様に怒られる方がましだと思ってしまいます。

「まあ、ラーファン家の子孫については、お姉様とお兄様がなんとかしてくれますよね? だから、別に私が子供を産む必要はないと思うんですよ」
「え? そう言われると、なんだか重圧なんだけど……まあ、でも、そうなのかな?」
「頑張ってくださいね」

 貴族の使命は、お熱い二人が果たしてくれます。
 ですから、別に問題はないでしょう。
 万が一ということはありますが、その場合はラーファン家は断絶ということでいいんじゃないですか?
 まあ、後はお父様辺りがなんとかするかですかね? とにかく、私はなんとしても避けようと思っています。その決意が曲がることはありません。

「そもそも、私は子供というものが嫌いです」
「え?」
「私、可愛がられるのは好きですが、可愛がるのは嫌です。子供とか愛玩動物とかを見ていると虫唾が走るんですよね」
「うわあっ……」

 私の発言に、お姉様は少し引いていました。
 でも、実際にそう思っているのですから、仕方ないじゃないですか。
 子供は子供だからちやほやされるし、愛玩動物だって同じはずです。そういう甘やかされている存在は、とても嫌いです。私も同じくらい甘やかしてくれるならいいんですがね。

「ま、まあ、シャルリナもまだ子供ということなのかな? 甘えたい気持ちが、まだ残っているということだよね?」
「え? まあ、大人になりたいと思ったことはありませんね。子供なら、甘やかしてもらえるので……」
「……シャルリナ、自分が嫌いだって言ったのに、自分ならいいの?」
「私は、私を常に棚に上げますよ。自分が一番大事ですから」
「ああ、なんだか、本当にシャルリナが帰ってきたという感じがする。こういう話を聞いていると、特にそう思うよ」

 お姉様は、苦笑いしていました。
 久し振りの私に呆れつつも、少し嬉しいという感情が読み取れます。
 私も、なんだか久し振りにいい気分です。やっぱり、こういう風になんでもいえる人の傍にいられるのは嬉しいですね。
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