そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげますよ。私は疲れたので、やめさせてもらいます。

木山楽斗

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 私は、お姉様に私がどれ程婚約に向いていないかを説明しました。
 この説得には、お姉様も納得してくれたでしょう。

「……で、でも、シャルリナにも結婚に憧れとかあるんじゃないかな? いい人が見つかったら、別にいいんじゃない?」
「いい人?」
「シャルリナの怠惰な部分も受け入れる人……世話好きな人が見つかれば、婚約してもいいと思うようになるんじゃない」
「はあ、お姉様はわかっていませんね」
「え?」
「まあ、仕方ありませんか。よく考えてみれば、お姉様にそういうことは言ってませんでしたからね」

 お姉様は、今度は感情面について聞いてきました。
 きっと、私にも結婚願望くらいはあるのではないかと思ったのでしょう。
 ですが、私にはそういう願望はありません。そもそも、私は貴族としてとかそういうことは関係なく、結婚したくないのです。

「いいですか、お姉様。赤の他人と一生をともにするなんて、私は嫌です。そんな風に縛り付けられた人生なんて、面白くないじゃないですか」
「そ、そうかな?」
「ええ、私は自由に自分の人生を謳歌したいと思っています。私にとって結婚は、鳥から翼を奪うようなものだと思ってください」

 結婚なんて、私は絶対に嫌です。
 私が求めているのは、自由な生活です。結婚というのは、自由を奪う忌むべき行為でしかありません。

「でも、自由にさせてくれる人がいるかもしれないよ?」
「まあ、そもそも、赤の他人をどうしてそこまで好きになれるのか、私にはまったく理解できません。そんなに人って、信用できますか? 例えどんなことをされても、私は裏があると考えてしまいます」
「えっと……それを言い出したら、家族でも同じじゃないかな? シャルリナは、私やエルード様に裏があると思う?」
「家族は別ですよ。生活を共にする以上、色々と見えてきます」
「それなら、生活を一緒にしてみればわかるんじゃない?」
「なんでわざわざそんな面倒なことをしなければならないんですか?」
「あ、うん……大体、わかった。シャルリナは、やっぱり結婚には向いていないんだね」

 色々と言った結果、お姉様は私が結婚に向いていないことに納得してくれました。
 まあ、私自身、私のことはよくわかっているので、この結果は当然でしょう。
 人には、向き不向きというものがあります。私の場合は、結婚に不向きだったというだけでしょう。
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