公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗

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いつもと少し違う朝

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 私は、日の光にゆっくりと目を覚ました。どうやら、もう朝が来たようだ。
 公爵家に来てからもう随分と経つが、未だにこの広いベッドにはなれていない。なんでこんなに広いのだろうか。その意味が、まったくわからない。
 そういえば、エルーズお兄様の部屋のベッドは普通の大きさだった。私も、あれくらいの大きさでいいのに。
 そう思いながら、私は横を向いた。すると、そこには見知った顔がある。

「オルティナお姉様、朝ですよ」
「すー」
「オルティナお姉様? 聞こえていますか? 朝ですよ」

 私の隣で寝ているのは、オルティナお姉様だ。昨日、一緒に寝ようと私の部屋に押しかけて来たのだ。
 別に断る理由もなかったので、私はそれを受け入れた。そうして、二人でこうやって朝を迎えた訳なのだが、ここで問題が発生したのである。
 オルティナお姉様は、私の手をしっかりと握っていたのだ。眠る前にそんなことはしていなかったはずなので、夜中に何かの拍子でそうなったのだろう。
 そのため、私は動けないのだ。それでは困るので、オルティナお姉様を起こすことにしたのである。

「起きない……」

 しかし、オルティナお姉様は中々起きてくれなかった。私が何度も呼びかけても、気持ち良さそうに寝息を立てるだけである。
 仕方ないので、このまま二度寝でもしようか。そう思って私は、ベッドに寝転がろうとした。
 だが、そこで私は思い出す。今まで、朝中々起きてこなかったラーデイン公爵家の人々がどうなったのかを。

「オルティナお姉様、起きないとアルーグお兄様にまた叱られますよ」
「むにゃ……」
「いや、むにゃじゃなくて、ですね……」

 以前、オルティナお姉様は昼前くらいまで眠っていたことがある。なんでも、前の晩に遅くまで起きて遊んでいたそうなのだ。
 その話を聞いたアルーグ様は、大そう怒っていた。規則正しい生活を心がけるように、念入りに言っていたのである。
 そのことを思い出したため、私は二度寝するのをやめた。それは、明らかに規則正しくないからだ。

「オルティナお姉様、起きてください!」
「うん……あ、ルネリア、おはよう」
「おはようございます。やっと起きてくれましたね……」

 そんなことを考えながら呼びかけている内に、オルティナお姉様は目を覚ましてくれた。
 彼女は、まだ眠そうな目をこすりながら、ゆっくりとその体を起こした。そして、そのままこちらに飛び込んでくる。

「オ、オルティナお姉様? どうされたのですか?」
「うーん……朝一番からルネリアの顔が見られるのって、なんかいいね」
「そ、そうですか……?」

 オルティナお姉様は、私の体をしっかりと抱きしめてきた。
 どうやら、もう眠気は吹き飛んだようだ。その声色が、いつもの元気な声に変わったので、私はやっと安心することができるのだった。
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