そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗

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14.休日であっても

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「えっと、それで目的地はどこなんですか?」

 とりあえず私は、男性に目的地を聞いてみることにした。
 まだまだ新参者であるため、私もこの町について熟知している訳ではない。
 そのため、少し不安もあった。私の知っている所ならいいのだが。

「ラナキンス商会の拠点に行きたいんです」
「え?」

 そこで私は、男性から告げられた場所に驚いた。彼が告げてきたのが、私が普段働いている場所だったからだ。
 当然そこなら、私も確実に案内することができる。しかし奇妙な偶然だ。まさか、お客様と休日に会うなんて思っていなかった。

「どうかされましたか?」
「あ、いえ、実は私、そのラナキンス商会で働いていまして」
「おや、そうだったんですか?」
「ええ、今日は休日だったんですけどね」
「ああ、それは申し訳ないことをしてしまいましたね……」
「ああいえ、お気になさらず」

 男性のことがわかったため、私は意識を仕事に切り替えることになった。
 せっかくの休日が潰れてしまうのは、正直とても残念だ。ただ、困っているラナキンス商会のお客様を助けられるというのは幸いとも考えられる。
 お世話になっていることもあって、私はラナキンス商会にはこれからも発展してもらいたいと思っている。そのため無事にお客様を届けられそうなのは、よかったと思う。

「すみません。この埋め合わせは、いつか必ずしますから」
「本当に気にしないでください。そもそも、休日だろうとなんだろうと困っている人を見過ごせませんよ」
「……あなたはお優しい方なのですね?」
「いえいえ、私は当然のことをしているだけですから」
「立派な方ですね……僕も見習わないと駄目ですね」

 私に対して、男性はとても申し訳なさそうにしていた。
 ただその態度に、私は少し違和感を覚えていた。なんというか、彼の立場があまり理解できないのである。
 本当に、彼はラナキンス商会のお客様なのだろうか。ここにきて私は、それがわからなくなってきた。

「えっと……まあ多分、ここなら二十分くらいで着くと思います。あ、待ち合わせの時間などは……」
「ああ、それは大丈夫です」
「そうですか。それなら行きましょうか?」
「ええ、どうかよろしくお願いします」

 男性は、私にゆっくりと頭を下げてきた。
 その丁寧な一礼に、私は苦笑いを浮かべてしまう。そんなに大袈裟なことではないと思うのだが、彼は本当に真摯な対応だ。
 こうして私は、道に迷っている男性をラナキンス商会まで案内するのだった。
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