そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗

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22.屋敷に入るには

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 ランバット伯爵家の屋敷まで着いた私達は、周囲を見渡していた。
 屋敷の前には、衛兵らしき人達がいる。とりあえずその人達に事情を話して通してもらわなければならないのだが、果たして私の言葉を信じてもらえるのだろうか。それは少々不安である。

「事情が少々特別ですからね……」
「まあ、迷っていても仕方ないですよね……屋敷の周りをうろうろするのは怪しいですし、とにかく行ってみるしかありませんか」

 ギルバートさんからの言葉に、私は自分に言い聞かせるようにそう返した。
 母との仲が悪かった実家。そこに私は意を決して踏み込んでいく。

「すみません、少しいいですか?」
「おっと、貴様何者だ?」
「私は、アルシエラ・エルシエットと申します。アルシャナの娘と言った方がわかりやすいでしょうか?」
「アルシャナ? お前、知っているか?」
「いや……」

 私の名乗りに、衛兵らしき二人は疑問符を浮かべていた。
 どうやら、この二人は私の母のことを知らないようである。考えてみれば、それは当然かもしれない。母がこの家にいたのは、もう二十年近く前であるはずだ。もしかしたら知っている人の方が少ないかもしれない。

「お二人とも、アルシャナ様をご存知ないのですか?」
「え? ああ、我々は聞いたことがない名前だが……」
「おやおや、困ったものすね。雇い主の家族関係くらいは、把握しておいた方が良いのではありませんか?」
「何?」

 私がどうしようかと考えていると、ギルバートさんが衛兵達に話しかけていた。
 彼は、薄ら笑いを浮かべながら身振り手振りを交えながら話している。それはなんというか、すごくわざとらしい様だ。

「アルシャナ様は、このランバット伯爵家の一員だった方です。嫁入りしましたが、それでも親族であることは変わらないでしょう?」
「な、それは本当なのか?」
「本当ですと言っても、あなた方は信じてくれなさそうですね。しかしながら、これを戯言だと断じるべきではないはずです。どちらでもいいから、事情を伯爵に伝えて来てください」
「そ、それはもちろん心得ているとも」

 ギルバートさんの言葉に、衛兵の一人が屋敷の方に走っていった。
 するとギルバートさんは、私に向けてウィンクしてきた。そんな彼に、私は感謝する。

「こういう時は、堂々としていなければいけませんよ? 動揺したら怪しまれてしまいますから」
「そうですよね……すみません。助けていただいて……」
「いえ、僕はそのために同行している訳ですからね」

 ギルバートさんは、私に対して笑顔を浮かべてくれた。
 彼が同行してくれていてよかった。私一人なら、きっと緊張は動揺でもっと厄介なことになっていただろう。
 こうして私は、ギルバートさんの助けを借りながらランバット伯爵家へと足を踏み入れることになったのだった。
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