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11.認識の変化
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「……アルネリア嬢は、妹思いなのだな」
「え?」
「妹のために、俺に嫁いできたということなのだろう?」
私の話を聞いたラゼルト殿下は、少し真剣な顔をして言葉を発していた。
それは今までの彼とは、少し違うような気がする。私は少し驚いてしまった。いつもどちらかというと朗らかな彼に、陰りが見えたのだ。
「……それはまあ、そうですね。全てが妹のためにやったという訳ではありませんが、姉として何かしたかったことは確かなことです」
「俺の妹も、カルノード王国に嫁いだ。もしかしたら、あいつも不安だったのかもしれないな。もっとも、俺が代わりになることなどはできないが」
ラゼルト殿下の言葉に、私はこちらの国から嫁いだという王女様のことを思い出した。
私はその人と会ったことはない。入れ違いになったからだ。人質という側面もあるため、私達はほぼ同時期に、入れ替わらなければならなかったのである。
「ルナティア様のことですよね。お会いしてみたい気持ちはありますね。同じ立場ですから」
「そうか。きっとルナティアも同じようなことを思っているのだろう。しかし、それは中々難しいというのが現状だ」
「ええ、わかっています」
ラゼルト殿下は、同じく妹を持つ身として私に共感を抱いているのかもしれない。
その表情には、やはり陰りが見える。少なくとも、今までの彼の私に対する接し方とは違う。色々と思う所があるのだろうか。
「……しかし、少し意外だな」
「意外、ですか?」
「ああいや、アルネリア嬢にも家族というものがあって、暮らしていたのだなと今更思って」
「それは……」
ラゼルト殿下は、苦笑いを浮かべていた。
その表情を見て、私は理解する。今の会話で、彼の中にあった私への幻想というものが崩れたのだということを。
女神ラルネシア様と私の大きな違いは、実在しているかどうかということである。ラゼルト殿下の中では、それが上手く噛み砕けていなかったのだろう。
それはわかっていたことである。その認識が彼の中で改められたとしたら、どうなるのだろうか。私は少し怖かった。ラゼルト殿下が豹変する可能性もあったからだ。
「アルネリア嬢、すまなかったな。今までの俺の態度というものは、あなたにとって良いものではなかっただろう」
「あ、いえ、そんなことは……」
「しかし、改めて思った。あなたは美しい。妹のために、困難に立ち向かう勇気をあなたは持っている。俺はあなたを尊敬する」
ラゼルト殿下の言葉に、私は少し面食らうことになった。
彼は澄んだ目で、私のことを見ている。その視線からは、今までとは違う意思というものが感じられる。
どうやら彼の中では、色々と割り切りがついたらしい。今までと接し方は変わるかもしれないが、それでも悪いようにはならないだろう。私はそう思うのだった。
「え?」
「妹のために、俺に嫁いできたということなのだろう?」
私の話を聞いたラゼルト殿下は、少し真剣な顔をして言葉を発していた。
それは今までの彼とは、少し違うような気がする。私は少し驚いてしまった。いつもどちらかというと朗らかな彼に、陰りが見えたのだ。
「……それはまあ、そうですね。全てが妹のためにやったという訳ではありませんが、姉として何かしたかったことは確かなことです」
「俺の妹も、カルノード王国に嫁いだ。もしかしたら、あいつも不安だったのかもしれないな。もっとも、俺が代わりになることなどはできないが」
ラゼルト殿下の言葉に、私はこちらの国から嫁いだという王女様のことを思い出した。
私はその人と会ったことはない。入れ違いになったからだ。人質という側面もあるため、私達はほぼ同時期に、入れ替わらなければならなかったのである。
「ルナティア様のことですよね。お会いしてみたい気持ちはありますね。同じ立場ですから」
「そうか。きっとルナティアも同じようなことを思っているのだろう。しかし、それは中々難しいというのが現状だ」
「ええ、わかっています」
ラゼルト殿下は、同じく妹を持つ身として私に共感を抱いているのかもしれない。
その表情には、やはり陰りが見える。少なくとも、今までの彼の私に対する接し方とは違う。色々と思う所があるのだろうか。
「……しかし、少し意外だな」
「意外、ですか?」
「ああいや、アルネリア嬢にも家族というものがあって、暮らしていたのだなと今更思って」
「それは……」
ラゼルト殿下は、苦笑いを浮かべていた。
その表情を見て、私は理解する。今の会話で、彼の中にあった私への幻想というものが崩れたのだということを。
女神ラルネシア様と私の大きな違いは、実在しているかどうかということである。ラゼルト殿下の中では、それが上手く噛み砕けていなかったのだろう。
それはわかっていたことである。その認識が彼の中で改められたとしたら、どうなるのだろうか。私は少し怖かった。ラゼルト殿下が豹変する可能性もあったからだ。
「アルネリア嬢、すまなかったな。今までの俺の態度というものは、あなたにとって良いものではなかっただろう」
「あ、いえ、そんなことは……」
「しかし、改めて思った。あなたは美しい。妹のために、困難に立ち向かう勇気をあなたは持っている。俺はあなたを尊敬する」
ラゼルト殿下の言葉に、私は少し面食らうことになった。
彼は澄んだ目で、私のことを見ている。その視線からは、今までとは違う意思というものが感じられる。
どうやら彼の中では、色々と割り切りがついたらしい。今までと接し方は変わるかもしれないが、それでも悪いようにはならないだろう。私はそう思うのだった。
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