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11.弟達と妹達

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 マルセリアさんとの話が終わった私は、クラウス様とともに孤児院の庭にやって来ていた。
 そこには、ここで暮らしている私の弟や妹達がいるのだ。
 ほとんどが見知った顔ではあるが、中には知らない子もいた。私がここを離れている間に、孤児院に引き取られた子なのだろう。

「それにしても、びっくりだ。まさか、アメリア姉ちゃんがクビになるなんてな」
「大人の世界って怖いのね」

 子供達の中は私の事情を聞いて、結構呑気に感想を述べていた。
 まだ幼い子供達は、あまり事態の大きさを理解していないようだ。
 しかし、年長の子達は深刻な顔をしている。大人の世界の怖さというものを、本当に実感しているのかもしれない。

「怖いことばかりという訳ではないんだよ。私も上司には恵まれなかっただけで、同僚の人達なんかはとってもいい人ばかりだったもん」
「そうなの?」
「うん。だから、あまり怖がらないでね」

 幼い子達を通して、私は年長の子達に話しかけていた。
 ファルティア様を大人の世界の基準に思ってもらっては困るからだ。
 彼女の存在は、特例中の特例である。あのような人は滅多にいないし、基本的にいい人ばかりなのだ。

「それで、アメリア姉ちゃんはしばらくこっちにいるのか?」
「あ、うん。そのつもりだよ」
「それなら一緒にいっぱい遊べるね?」
「うん。いっぱい遊ぼっか」

 弟や妹達と過ごす時間は、私にとってとても癒される時間である。
 この子達のためにも、これからも頑張っていこう。そのように思える。

「相変わらず、アメリアは子供達に人気だな」
「クラウス様……」
「アメリアがいるだけで、孤児院が明るくなっている気がする。いや、実際にそうなのだろうな」

 私と皆のやり取りに、クラウス様は感慨深そうな顔をしていた。
 私がいない間も、彼は孤児院を訪ねて来ている。そこで色々と見ているため、思う所があるということだろうか。

「まあ、段々と自立していって、孤児院の子供の人数も減っていますからね。誰かが帰ってきたら、盛り上がるのでしょう」
「そうか。それはいいことだな」

 孤児院に入ってくる子供は、一定数いる。
 ただ、最も孤児院に子供が入った先の大戦の世代が抜けてきているため、人数的には少し減っているといえるだろう。
 それに対して、皆一抹の寂しさを覚えているのかもしれない。いいことではあるのだが、どうしてもそう思ってしまうのだろう。

「まあ、しばらくしたら、慣れて私がいることが日常になりますよ」
「そういうものなのか」
「ええ、そうだと思います」

 これから私は、この孤児院で過ごすことになる。そうなればきっと、皆も落ち着いていくだろう。
 何はともあれ、私の新生活はこれから始まる。心機一転して、こちらでも頑張っていくとしよう。
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