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第27話 目を開けられず
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私は、イルディンと同じ布団で目覚めていた。
先に目覚めた私だったが、まだ弟が眠っていたため、二度寝しようとしていた。しかし、その隙にイルディンが目覚めてしまったのである。
諦めて目を覚まそうとしていた私だったが、焦る弟のことで色々と考えてしまったため、まだ目を瞑ったままだ。未だ、イルディンは私が起きていることに気づいていない。
「落ち着け、僕……まずは、深呼吸からだ。心を落ち着かせれば、きっと妙案が浮かんでくるはずだ……」
イルディンは、自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
どうやら、優しい弟はかなり焦っているようだ。その様子は、少し可愛らしく思える。
「はー……ふう……」
私の目と鼻の先で、イルディンは深呼吸を始めた。
しかし、弟は焦り過ぎている。絶対に、周りが見えなくなっているだろう。
目の前で深呼吸をすれば、その吐息は当然私に当たる。その生温かい吐息は、少しくすぐったいものだ。
こんなことをすれば、普通に私を起こしてしまうだろう。既に目覚めている私は特に気にしないが、明らかに判断ミスである。
「……気づかれないように、抜け出すか」
深呼吸をした後に弟が出した結論は、とても単純明快なものだった。
私に気づかれないように、布団の中から抜け出す。それは、単純だがそれなりに難しいものである。
同じ布団で寝ている以上、イルディンが動けば、布団が動く。それが大きな動きだと、当然私が目覚めてしまうだろう。そのため、弟はかなり慎重に動かなければならないのだ。
「よし……うん?」
動こうと決心したように思えたイルディンは、何故か動かなかった。
その理由は、なんとなくわかっている。
今まで自然過ぎて気づかなかったが、私の片腕はイルディンの体の上にあるのだ。焦っていた弟も、今その事実に気づいたようである。
この状態で、イルディンが動けば、当然私の腕は動く。そうなれば、私が起きることは明白である。
だから、イルディンは動きを止めるしかない。また、振り出しに戻ってしまったのである。
「くっ……」
現状を理解して、強くなった弟は苦しそうな声をあげた。
婚約破棄の時も、騎士達と対峙した時も堂々としていた弟が、ここまで困惑するとは驚きである。
ただ、苦しいのはイルディンだけではない。実は、私もとても厳しいのである。
なぜなら、弟が色々と言っているのを聞いてしまった現状、目を開ける訳にはいかなくなってしまったからだ。
このまま目を開けると、弟はとても悲しい思いをしてしまう。それは、姉としてできれば避けたいことだ。
しかし、動いたら、それはそれで怪しまれる気がする。そのため、動くこともできない。この現状は、それなりに苦しいものである。
イルディンと同じく、私もこの状況を打開する方法を考えなければならない。そうしなければ、ずっと布団から出ることができなくなってしまうだろう。
こうして、私達姉弟は、お互いに色々と思考することになってしまったのである。
先に目覚めた私だったが、まだ弟が眠っていたため、二度寝しようとしていた。しかし、その隙にイルディンが目覚めてしまったのである。
諦めて目を覚まそうとしていた私だったが、焦る弟のことで色々と考えてしまったため、まだ目を瞑ったままだ。未だ、イルディンは私が起きていることに気づいていない。
「落ち着け、僕……まずは、深呼吸からだ。心を落ち着かせれば、きっと妙案が浮かんでくるはずだ……」
イルディンは、自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
どうやら、優しい弟はかなり焦っているようだ。その様子は、少し可愛らしく思える。
「はー……ふう……」
私の目と鼻の先で、イルディンは深呼吸を始めた。
しかし、弟は焦り過ぎている。絶対に、周りが見えなくなっているだろう。
目の前で深呼吸をすれば、その吐息は当然私に当たる。その生温かい吐息は、少しくすぐったいものだ。
こんなことをすれば、普通に私を起こしてしまうだろう。既に目覚めている私は特に気にしないが、明らかに判断ミスである。
「……気づかれないように、抜け出すか」
深呼吸をした後に弟が出した結論は、とても単純明快なものだった。
私に気づかれないように、布団の中から抜け出す。それは、単純だがそれなりに難しいものである。
同じ布団で寝ている以上、イルディンが動けば、布団が動く。それが大きな動きだと、当然私が目覚めてしまうだろう。そのため、弟はかなり慎重に動かなければならないのだ。
「よし……うん?」
動こうと決心したように思えたイルディンは、何故か動かなかった。
その理由は、なんとなくわかっている。
今まで自然過ぎて気づかなかったが、私の片腕はイルディンの体の上にあるのだ。焦っていた弟も、今その事実に気づいたようである。
この状態で、イルディンが動けば、当然私の腕は動く。そうなれば、私が起きることは明白である。
だから、イルディンは動きを止めるしかない。また、振り出しに戻ってしまったのである。
「くっ……」
現状を理解して、強くなった弟は苦しそうな声をあげた。
婚約破棄の時も、騎士達と対峙した時も堂々としていた弟が、ここまで困惑するとは驚きである。
ただ、苦しいのはイルディンだけではない。実は、私もとても厳しいのである。
なぜなら、弟が色々と言っているのを聞いてしまった現状、目を開ける訳にはいかなくなってしまったからだ。
このまま目を開けると、弟はとても悲しい思いをしてしまう。それは、姉としてできれば避けたいことだ。
しかし、動いたら、それはそれで怪しまれる気がする。そのため、動くこともできない。この現状は、それなりに苦しいものである。
イルディンと同じく、私もこの状況を打開する方法を考えなければならない。そうしなければ、ずっと布団から出ることができなくなってしまうだろう。
こうして、私達姉弟は、お互いに色々と思考することになってしまったのである。
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