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70.得られた成果
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長旅を終えて寮の自室に戻って来た私の元をメルティナが訪ねて来たのは、九時過ぎくらいのことだった。
正直くたくたなのだが、彼女とは話さなければならないことがあるため、私はなんとか意識を覚醒させて、彼女に応対する。
「ええっと……とりあえず、レフェイラは元に戻ったのだけれど、アルフィアの方は難しくてね……」
「魂がバラバラになっているのでしたよね?」
「ええ……でも、元に戻す方法はあるの。このノートに書いてある魂結合魔法を使えば、多分大丈夫なはずよ」
「魂結合魔法ですか……」
私は、メルティナに一冊のノートを渡した。それが、私達が今回の調査で得た成果である。
魂結合魔法、それはかなり高度な魔法だった。修得するのも難しいし、何より多大な魔力がいる。そんな魔法だ。
「申し訳ないけれど、あなたにはこの魔法を修得してもらいたいの」
「ええ、もちろんです」
この魔法を実行できるのは、キャロムやディゾール様、そしてメルティナくらいである。他の二人にも頼んではいるのだが、私はメルティナにも頼むことにした。
はっきりと言って、魔法の技量に関してメルティナは誰よりもすごい。そのため、彼女に頼むのがアルフィアを元に戻すためには一番早いのである。
「それで、他には何かありましたか?」
「ええっと……ああ、シャザームのことなんだけど、実は彼女、魂に関する魔法を開発した訳ではないようなの」
「え?」
「彼女が生きていた時代よりも古い魂に関する魔法の資料が見つかったの。どうやら、彼女はそれを自分が開発したと吹聴したようなの」
「……そうですか」
私の言葉に、メルティナは驚いていた。
それは、そうだろう。皆、彼女があの魔法を開発したと思っていたのだから、これは当然の反応である。
「まあ、でも、それは些細なことよね」
「……そうですね。誰が開発したかは、この際重要ではありません」
「それより、そっちはどうだったの?」
「ああ、リリシア様は、元に戻りました。肉体的には、特に問題もなさそうです。ただ、精神年齢は魂を抜かれた時のままで……」
「なるほど……そうなるのね」
リリシアは、元には戻れたようだ。だが、その精神は肉体の成長と釣り合わない状態になってしまったようである。
考えてみれば、それは当然のことだ。悲しいことではあるが、仕方ないことである。
「まあ、それは仕方ないことよ。私達に、時は巻き戻せないのだから……」
「ええ、そうですね……」
「後は、リオーブ様やドルラーン侯爵家に任せるしかないわ。私達にできるのは、これで全部でしょうし……」
「はい……」
リリシアのことは、リオーブやその家族に任せるしかない。私達にできることは、もうないのである。だから、気にしても仕方ない。
メルティナには、そう思ってもらった方がいいだろう。彼女のことだ。きっとこのことにも心を痛めている。
その優しさは、彼女の美徳だ。だけど、何もかも背負うと壊れてしまう。どこかで割り切る必要があるはずだ。
正直くたくたなのだが、彼女とは話さなければならないことがあるため、私はなんとか意識を覚醒させて、彼女に応対する。
「ええっと……とりあえず、レフェイラは元に戻ったのだけれど、アルフィアの方は難しくてね……」
「魂がバラバラになっているのでしたよね?」
「ええ……でも、元に戻す方法はあるの。このノートに書いてある魂結合魔法を使えば、多分大丈夫なはずよ」
「魂結合魔法ですか……」
私は、メルティナに一冊のノートを渡した。それが、私達が今回の調査で得た成果である。
魂結合魔法、それはかなり高度な魔法だった。修得するのも難しいし、何より多大な魔力がいる。そんな魔法だ。
「申し訳ないけれど、あなたにはこの魔法を修得してもらいたいの」
「ええ、もちろんです」
この魔法を実行できるのは、キャロムやディゾール様、そしてメルティナくらいである。他の二人にも頼んではいるのだが、私はメルティナにも頼むことにした。
はっきりと言って、魔法の技量に関してメルティナは誰よりもすごい。そのため、彼女に頼むのがアルフィアを元に戻すためには一番早いのである。
「それで、他には何かありましたか?」
「ええっと……ああ、シャザームのことなんだけど、実は彼女、魂に関する魔法を開発した訳ではないようなの」
「え?」
「彼女が生きていた時代よりも古い魂に関する魔法の資料が見つかったの。どうやら、彼女はそれを自分が開発したと吹聴したようなの」
「……そうですか」
私の言葉に、メルティナは驚いていた。
それは、そうだろう。皆、彼女があの魔法を開発したと思っていたのだから、これは当然の反応である。
「まあ、でも、それは些細なことよね」
「……そうですね。誰が開発したかは、この際重要ではありません」
「それより、そっちはどうだったの?」
「ああ、リリシア様は、元に戻りました。肉体的には、特に問題もなさそうです。ただ、精神年齢は魂を抜かれた時のままで……」
「なるほど……そうなるのね」
リリシアは、元には戻れたようだ。だが、その精神は肉体の成長と釣り合わない状態になってしまったようである。
考えてみれば、それは当然のことだ。悲しいことではあるが、仕方ないことである。
「まあ、それは仕方ないことよ。私達に、時は巻き戻せないのだから……」
「ええ、そうですね……」
「後は、リオーブ様やドルラーン侯爵家に任せるしかないわ。私達にできるのは、これで全部でしょうし……」
「はい……」
リリシアのことは、リオーブやその家族に任せるしかない。私達にできることは、もうないのである。だから、気にしても仕方ない。
メルティナには、そう思ってもらった方がいいだろう。彼女のことだ。きっとこのことにも心を痛めている。
その優しさは、彼女の美徳だ。だけど、何もかも背負うと壊れてしまう。どこかで割り切る必要があるはずだ。
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