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119.危機からの脱出
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「メルティナ! 私の力を!」
「ええ!」
私は、メルティナの体に自らの魔力を流し込む。
暗黒の魔女に対抗できる魔法の技術があるのは、彼女の方だ。そのため、彼女にはできる限りの魔力を温存してもらいたい。
だから、私は自らの魔力を明け渡す。これで、メルティナは余力を残しつつ、目の前の事象に対応できる。
「結界を……!」
「よし!」
メルティナは、私達の周りに魔力の壁を張り巡らせた。これがあれば、降り注ぐ岩から身を守ることができる。
『甘いわ! そこに留まるというなら、こちらにもやり方がある!』
「なっ……! 岩が……!」
次の瞬間、広範囲に降り注ぐはずだった岩が、私達の方に向かって来た。恐らく、暗黒の魔女がその方向を操作したのだろう。
これだけの岩を完全に防ぎきるには、膨大な魔力が必要になる。メルティナなら、それは不可能ではないとは思うが、そうするとこの後の戦いがとても不利になってしまう。
だが、生き残るためにはそうするしかないというのが現状である。メルティナもそう思ったのか、彼女は魔力を集中させていく。
「……その必要はない」
「え?」
「あ、あなたは……」
そんな私達の目の前に、突如見知った人物が現れた。
それは、ディゾール様である。彼は、何の前触れもなく、私達の前に立っていたのだ。
どうやって、ここまで来たのだろうか。それがまったくわからず、私は混乱する。
ディゾール様は、そんな私とメルティナの肩に手を置いた。次の瞬間、私は奇妙な感覚を体験する。
「……え?」
私は、いつの間にか降り注ぐ岩の遥か後方にいたのだ。
何が起こったのかは、よくわからない。ただ、どうやら、あの攻撃から私達は逃れられたようである。
「空間魔法だ。俺とお前達をあの場から移動させた」
「空間魔法……そんなことができるんですか?」
「とても高度な魔法です。でも、ディゾール様はそれができるみたいです。シズカさんをこちらの世界に連れて来られたのも、彼の力があったからで……」
「そうだったんだ……」
ディゾール様は、空間魔法なるものを使えるようだ。要するに、瞬間移動をしたということなのだろう。
それは、驚くべきことである。空間を自由自在に行き来できるなんて、なんて強力な魔法なのだろうか。
『空間魔法……まさか、あなたがここまでの使い手だったとは……』
「……」
『ふふ、だけど、強力な魔法にはそれなりのリスクが伴うものよね? あなたは今、何回空間魔法を使ったのかしら? 自分自身を結界内に飛ばすのに一回、結界内から出る時には、三人いたから三回分……合計四回、それに耐えられるのかしら?』
「……ぐっ」
「ディゾール様!」
そこで、ディゾール様はゆっくりと膝をついた。その顔色は悪い。とても苦しそうである。
恐らく、ネルメアの言った通りなのだろう。強力な空間魔法には、それなりのリスクがあったのだ。
「ええ!」
私は、メルティナの体に自らの魔力を流し込む。
暗黒の魔女に対抗できる魔法の技術があるのは、彼女の方だ。そのため、彼女にはできる限りの魔力を温存してもらいたい。
だから、私は自らの魔力を明け渡す。これで、メルティナは余力を残しつつ、目の前の事象に対応できる。
「結界を……!」
「よし!」
メルティナは、私達の周りに魔力の壁を張り巡らせた。これがあれば、降り注ぐ岩から身を守ることができる。
『甘いわ! そこに留まるというなら、こちらにもやり方がある!』
「なっ……! 岩が……!」
次の瞬間、広範囲に降り注ぐはずだった岩が、私達の方に向かって来た。恐らく、暗黒の魔女がその方向を操作したのだろう。
これだけの岩を完全に防ぎきるには、膨大な魔力が必要になる。メルティナなら、それは不可能ではないとは思うが、そうするとこの後の戦いがとても不利になってしまう。
だが、生き残るためにはそうするしかないというのが現状である。メルティナもそう思ったのか、彼女は魔力を集中させていく。
「……その必要はない」
「え?」
「あ、あなたは……」
そんな私達の目の前に、突如見知った人物が現れた。
それは、ディゾール様である。彼は、何の前触れもなく、私達の前に立っていたのだ。
どうやって、ここまで来たのだろうか。それがまったくわからず、私は混乱する。
ディゾール様は、そんな私とメルティナの肩に手を置いた。次の瞬間、私は奇妙な感覚を体験する。
「……え?」
私は、いつの間にか降り注ぐ岩の遥か後方にいたのだ。
何が起こったのかは、よくわからない。ただ、どうやら、あの攻撃から私達は逃れられたようである。
「空間魔法だ。俺とお前達をあの場から移動させた」
「空間魔法……そんなことができるんですか?」
「とても高度な魔法です。でも、ディゾール様はそれができるみたいです。シズカさんをこちらの世界に連れて来られたのも、彼の力があったからで……」
「そうだったんだ……」
ディゾール様は、空間魔法なるものを使えるようだ。要するに、瞬間移動をしたということなのだろう。
それは、驚くべきことである。空間を自由自在に行き来できるなんて、なんて強力な魔法なのだろうか。
『空間魔法……まさか、あなたがここまでの使い手だったとは……』
「……」
『ふふ、だけど、強力な魔法にはそれなりのリスクが伴うものよね? あなたは今、何回空間魔法を使ったのかしら? 自分自身を結界内に飛ばすのに一回、結界内から出る時には、三人いたから三回分……合計四回、それに耐えられるのかしら?』
「……ぐっ」
「ディゾール様!」
そこで、ディゾール様はゆっくりと膝をついた。その顔色は悪い。とても苦しそうである。
恐らく、ネルメアの言った通りなのだろう。強力な空間魔法には、それなりのリスクがあったのだ。
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