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13.突然の訪問者
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王家によって、セヴェルク男爵家はすぐに裁かれることになった。
国王様は本当に厳格な人であるらしく、家は敢え無く没落することになったそうだ。
それは仕方ないことではある。そもそも私にはあまり関わりはないため、特に気にしてはいなかった。
しかしそれは、甘い考え方だったのかもしれない。目の前にいる人物を見ながら、私はそんなことを考えていた。
「フィリア嬢、すまないな。急に訪問してしまって……」
「……一体、何があったのですか?」
私の目の前には、マルギス様がいる。彼は突如、バレイユ子爵家を訪ねてきたのだ。
無下にするのもなんなので、私は彼をとりあえず客室に通した。随分としおらしくなった彼は、改めてみるとかなりひどい格好だ。
「この格好のことか? それは話すと少々長くなる。実はムートン伯爵家を継ぐ権利を剥奪されて……」
「それについては聞いています。私との婚約破棄の責任を取らされたとか」
「あ、ああ、まあ、それで俺は家を出たんだ。父上達に反発があったからな。その後はセヴェルク男爵家に身を寄せていたんだ。シェリーカを通じてな……」
「なるほど……」
マルギス様の言葉に、私はゆっくりとため息をついた。
つまり彼は、セヴェルク男爵家が没落したことで路頭に迷っているということなのだろう。
だがそれに私は、そこまで同情できる訳ではない。私からしたら、彼の身から出た錆であるとしか思えないというのが正直な所だ。
「ムートン伯爵家を頼ることはできなかったのですか?」
「それは……既に一度行ったが、追い返されたんだ」
「そうですか。まあ、一度出て行っている訳ですからね」
「それにしたって、ひどい対応ではあるだろう。他に行き先なんてないというのに……」
マルギス様は、自ら出て行った癖に偉そうだった。いくら実の息子でも、こういった態度をムートン伯爵は許容できなかったのかもしれない。
お父様から聞いたことだが、ムートン伯爵は真面目な人であるそうだ。婚約破棄など、まず許容するような人間ではないらしい。そんな人が、これを受け入れるなんてとても思えない。
しかしムートン伯爵も、随分と教育を失敗したものである。お父様もそれに関しては、残念がっていた。
「言っておきますが、バレイユ子爵家であなたを預かるなんてことはできませんよ。まあ、せめてもの情けとしていくらか差し上げますから、それで今後一切私とは……」
「いや、少し待ってもらいたい。僕は君と、元の関係に戻りたいと考えているんだ」
「……はい?」
私の言葉を遮ったマルギス様は、なんとも馬鹿げた言葉を口にしてきた。
それに私は、思わず表情を歪めてしまった。彼の言っていることが、私には心底理解できなかったのだ。
国王様は本当に厳格な人であるらしく、家は敢え無く没落することになったそうだ。
それは仕方ないことではある。そもそも私にはあまり関わりはないため、特に気にしてはいなかった。
しかしそれは、甘い考え方だったのかもしれない。目の前にいる人物を見ながら、私はそんなことを考えていた。
「フィリア嬢、すまないな。急に訪問してしまって……」
「……一体、何があったのですか?」
私の目の前には、マルギス様がいる。彼は突如、バレイユ子爵家を訪ねてきたのだ。
無下にするのもなんなので、私は彼をとりあえず客室に通した。随分としおらしくなった彼は、改めてみるとかなりひどい格好だ。
「この格好のことか? それは話すと少々長くなる。実はムートン伯爵家を継ぐ権利を剥奪されて……」
「それについては聞いています。私との婚約破棄の責任を取らされたとか」
「あ、ああ、まあ、それで俺は家を出たんだ。父上達に反発があったからな。その後はセヴェルク男爵家に身を寄せていたんだ。シェリーカを通じてな……」
「なるほど……」
マルギス様の言葉に、私はゆっくりとため息をついた。
つまり彼は、セヴェルク男爵家が没落したことで路頭に迷っているということなのだろう。
だがそれに私は、そこまで同情できる訳ではない。私からしたら、彼の身から出た錆であるとしか思えないというのが正直な所だ。
「ムートン伯爵家を頼ることはできなかったのですか?」
「それは……既に一度行ったが、追い返されたんだ」
「そうですか。まあ、一度出て行っている訳ですからね」
「それにしたって、ひどい対応ではあるだろう。他に行き先なんてないというのに……」
マルギス様は、自ら出て行った癖に偉そうだった。いくら実の息子でも、こういった態度をムートン伯爵は許容できなかったのかもしれない。
お父様から聞いたことだが、ムートン伯爵は真面目な人であるそうだ。婚約破棄など、まず許容するような人間ではないらしい。そんな人が、これを受け入れるなんてとても思えない。
しかしムートン伯爵も、随分と教育を失敗したものである。お父様もそれに関しては、残念がっていた。
「言っておきますが、バレイユ子爵家であなたを預かるなんてことはできませんよ。まあ、せめてもの情けとしていくらか差し上げますから、それで今後一切私とは……」
「いや、少し待ってもらいたい。僕は君と、元の関係に戻りたいと考えているんだ」
「……はい?」
私の言葉を遮ったマルギス様は、なんとも馬鹿げた言葉を口にしてきた。
それに私は、思わず表情を歪めてしまった。彼の言っていることが、私には心底理解できなかったのだ。
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