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4.父の怒り
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「まったく持って、忌々しいことだ」
私から報告を受けたお父様は、その表情を歪めていた。
婚約破棄されたと聞いたのだから、その反応は当然といえる。ただ、そういった当然がお父様には適用されない場合もあるので、私は次の言葉を待つ。
「ベンゼル伯爵家には責任を取ってもらわなければならない。これは高くつくぞ。さて、問題はお前のことだな、アルティリア」
そこでお父様は、その目を細めながら私に視線を向けてきた。
それだけである程度理解することができる。お父様は、今回の件の責任を私にも押し付けるつもりなのだと。
「婚約破棄などという馬鹿げたことは、通常であるならば起こり得ないことだ。それが起こったということは、何かしら要因があるということになる。その要因とは何か、それはお前だな、アルティリア」
「……私、ですか」
「以前から感じていたことではあるが、お前は性格に難がある。愚かなる女の血を引くお前は、出来が悪かった。それでも我が娘であることは変わりないと、愛情を注いでいたというのに、お前はそんな私をことごとく裏切った」
お父様は、わざとらしく首を振ってみせた。
私に対して失望している。それを言える時を待っていたのだろうか。その表情からは、歓喜といった感情が伝わってきた。
同じようなことを言っていたベンゼル伯爵とは大違いだ。人間としての格が違うということだろうか。
ちなみに私は、このお父様から愛情の類などは受け取った覚えはない。
私はアンデルト伯爵家において、触れてはいけない存在だ。それを作り出したのは他でもないお父様である。
「愚かなるお前を飼ってやっているこの私に対して、婚約破棄などという話を持ち帰って来るとは……とんだ親不孝者だ。恩を仇で返すなどという愚行を働くように育てた覚えなどはない。つまりどういうことか、お前は生まれながらに愚かだったということだ!」
性根が捻じ曲がっているお父様は、嬉々としながら私を糾弾していた。
それを聞けば聞く程、私の心は冷めていく。一体どうして、私はこんな所にいるのだろうか。事前にベンゼル伯爵という誇り高き人を見たからか、お父様がいつにも増して醜悪に思えた。
「お前なんぞは、アンデルト伯爵家に必要ない。しかし私も鬼ではない。お前がこの私に尽くすというなら、多少の融通は……」
「いいえ、結構です」
「……何?」
私の言葉に、お父様は目を丸めていた。
明確な拒絶の言葉が、そんなにも予想外だったということだろうか。
しかしながら、私がそういったことを言う方が当然であるといえる。何故私が、まだこのアンデルト伯爵家にこだわると思っているのか、それが私にはむしろわからなかった。
私から報告を受けたお父様は、その表情を歪めていた。
婚約破棄されたと聞いたのだから、その反応は当然といえる。ただ、そういった当然がお父様には適用されない場合もあるので、私は次の言葉を待つ。
「ベンゼル伯爵家には責任を取ってもらわなければならない。これは高くつくぞ。さて、問題はお前のことだな、アルティリア」
そこでお父様は、その目を細めながら私に視線を向けてきた。
それだけである程度理解することができる。お父様は、今回の件の責任を私にも押し付けるつもりなのだと。
「婚約破棄などという馬鹿げたことは、通常であるならば起こり得ないことだ。それが起こったということは、何かしら要因があるということになる。その要因とは何か、それはお前だな、アルティリア」
「……私、ですか」
「以前から感じていたことではあるが、お前は性格に難がある。愚かなる女の血を引くお前は、出来が悪かった。それでも我が娘であることは変わりないと、愛情を注いでいたというのに、お前はそんな私をことごとく裏切った」
お父様は、わざとらしく首を振ってみせた。
私に対して失望している。それを言える時を待っていたのだろうか。その表情からは、歓喜といった感情が伝わってきた。
同じようなことを言っていたベンゼル伯爵とは大違いだ。人間としての格が違うということだろうか。
ちなみに私は、このお父様から愛情の類などは受け取った覚えはない。
私はアンデルト伯爵家において、触れてはいけない存在だ。それを作り出したのは他でもないお父様である。
「愚かなるお前を飼ってやっているこの私に対して、婚約破棄などという話を持ち帰って来るとは……とんだ親不孝者だ。恩を仇で返すなどという愚行を働くように育てた覚えなどはない。つまりどういうことか、お前は生まれながらに愚かだったということだ!」
性根が捻じ曲がっているお父様は、嬉々としながら私を糾弾していた。
それを聞けば聞く程、私の心は冷めていく。一体どうして、私はこんな所にいるのだろうか。事前にベンゼル伯爵という誇り高き人を見たからか、お父様がいつにも増して醜悪に思えた。
「お前なんぞは、アンデルト伯爵家に必要ない。しかし私も鬼ではない。お前がこの私に尽くすというなら、多少の融通は……」
「いいえ、結構です」
「……何?」
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しかしながら、私がそういったことを言う方が当然であるといえる。何故私が、まだこのアンデルト伯爵家にこだわると思っているのか、それが私にはむしろわからなかった。
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