私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗

文字の大きさ
19 / 40

19.もたらされた朗報

しおりを挟む
 現状、私は指名手配のような状態といえるかもしれない。
 まだ正式にそうなっている訳ではないが、騎士などには狙われると考えた方がいいだろう。
 という訳で、私は変装をすることになった。髪型を変えて眼鏡をかけて、それから服装もメイド服をグライム辺境伯家の使用人から借りさせてもらっている。

「申し訳ないが、ブレットン氏の居場所というものは皆目見当がつかない。その辺りについては、アルティリア嬢が頼りだ。どこか覚えなどはないだろうか?」
「覚え、ですか。中々に難しいですね……アンデルト伯爵夫人のことは、正直あまりよくわかりません。仲が悪かったですからね」
「困ったな……」

 私達は、ブレットンさんを探している。
 ただ、やみくもに探しても見つかるものではない。仮にアンデルト伯爵夫人がブレットンさんを狙っているとしたら、特別な所に隠しているだろう。

「……ギーゼル様」
「うん? あなたは……」

 そんな風に困っている私達に、声をかけてくるものがいた。
 いや正確には、ギーゼル様に話しかけているのだろうか。声の方向を見てみると、そこには老齢の騎士らしき人が立っていた。

「確か、レオールさん……でしたか?」
「覚えていてくださいましたか。光栄です」
「ギーゼル様、こちらの方は?」
「父上の友人だ……いや、待てよ」

 私に知り合いらしき騎士のことを紹介しようとしていたギーゼル様は、目を丸めていた。
 その反応を見て、私は気付く。グライム辺境伯の友人というと、もしかして例の戦いに参加していた人だろうか。
 その人が今、ここで私達に話しかけている。そのことには重要な意味があるといえるだろう。

「あなたは、アルティリア嬢ですね。初めまして、私はレオールと申します」
「レオールさん……」
「ヴォルバルト、ブレットンのことはよく知っています。奴を探していらっしゃるのですね?」
「ええ、そうなのです。レオールさんは、居場所をご存知なのですか?」
「はい。私が匿っております」

 レオールさんの言葉に、私とギーゼル様は顔を見合わせることになった。
 これは、私達にとっては朗報である。グライム辺境伯の友人である彼が匿ってくれているというなら、まず無事であるだろう。

「しかしながら、状況はよくありません。ブレットンの心情的にも状況的にも、です。あなたがここに来てくれて良かった。これで前者については、少しは好転しそうです」
「レオールさん、私を彼の元に連れて行ってくださいますか?」
「こちらから頼みたいくらいです……私について来てください」

 どうやらブレットンさんは、思い詰めている状態であるらしい。
 それを私が解消できるだろうか。不安はある。
 だが、とにかく行くしかない。私はブレットンさんに生きて欲しいと思っている。その思いを、ぶつけてみることにしよう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここに?

ましゅぺちーの
恋愛
シュベール王国では寵姫にのめり込み、政を疎かにする王がいた。 そんな愚かな王に人々の怒りは限界に達し、反乱が起きた。 反乱がおきると真っ先に王は愛する寵姫を連れ、国を捨てて逃げた。 城に残った王妃は処刑を覚悟していたが今までの功績により無罪放免となり、王妃はその後女王として即位した。 その数年後、女王となった王妃の元へやってきたのは王妃の元夫であり、シュベール王国の元王だった。 愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここにいるのですか? 全14話。番外編ありです。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。 結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに 「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

旦那様、本当によろしいのですか?【完結】

翔千
恋愛
ロロビア王国、アークライド公爵家の娘ロザリア・ミラ・アークライドは夫のファーガスと結婚し、順風満帆の結婚生活・・・・・とは言い難い生活を送って来た。 なかなか子供を授かれず、夫はいつしかロザリアにに無関心なり、義母には子供が授からないことを責められていた。 そんな毎日をロザリアは笑顔で受け流していた。そんな、ある日、 「今日から愛しのサンドラがこの屋敷に住むから、お前は出て行け」 突然夫にそう告げられた。 夫の隣には豊満ボディの美人さんと嘲るように笑う義母。 理由も理不尽。だが、ロザリアは、 「旦那様、本当によろしいのですか?」 そういつもの微笑みを浮かべていた。

処理中です...