私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗

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20.執事との再会

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 部屋の中で、ブレットンさんは正座をしていた。
 私達が部屋に入って来たというのに、微動だにしていない。それをレオールさんは、悲しそうに見つめている。

「ヴォルバルト……いやブレットン、戻ったぞ」
「……」
「ある人を連れて来た。お前にとっても馴染みが深い人だ」
「……何?」

 レオールさんの言葉に、ブレットンさんはすぐに目を開けた。
 そして私の顔を見て、その目を丸める。私の来訪というものは、予想していなかったらしい。かなり動揺していることが、その表情からは伝わってくる。

「ブレットンさん、久し振りという訳でもありませんね。実際に離れていた時間は、それ程ではありませんでしたから。ですが今は、なんというかとても久し振りに会うような感覚に陥っています。それはきっと、私が色々なことを知ったからなのでしょうね」
「アルティリアお嬢様、私は……」
「関係というものは、そう簡単に変わるものではないと認識しています。ですから、私はまだあなたにとっては使えるべき家の令嬢で、あなたは私にとっては使用人であると思っています」

 私は、とにかく言葉をかけることにした。
 今ブレットンさんは、追い詰められている。状況的にも心情的にも、危機的な状態だ。
 そんな彼に対して、まずは己の気持ちを押し付ける。否定する暇なんて与えない。聞く耳を持っている内に、伝えるべきことを伝えるのだ。

「ですがそれでも、私はあなたのことを家族のように思っていました。ブレットンさんは、いつも私を助けてくれていました。家族と言えるような人を持たない私にとって、あなたの存在というものはどれだけ心の支えになったことか……」
「……それは」
「私には家族といえるような人がほとんどいません。それなのに、あなたがいなくなってしまったら……そう思うと、心が痛くなるのです。どうか、それを忘れないでください」
「ぬうっ……」

 グライム辺境伯は、私がブレットンさんの未練であると言っていた。
 それなら私には、彼を繋ぎ止めておくだけの力があるはずだ。それを私は、存分に押し付ける。それは私の身勝手だ。だが、それで良いと思っている。

「ブレットン、お前は逃げるつもりか? この子を捨て置いて、過去に縋るというのか。未来を見るべきだ。お前は生きられるだけ生きて、この子のことを見ておくべきなのではないのか?」
「レオール……」
「誇り高き戦士であるならば、守るべきものを履き違えるな」

 レオールさんの言葉に、ブレットンさんは下を向いていた。
 彼ならきっと、理解してくれることだろう。私の知っているブレットンさんは優しい人だ。私を置いていったりっはしないと、私は信じている。
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