貧乏伯爵家の妾腹の子として生まれましたが、何故か王子殿下の妻に選ばれました。

木山楽斗

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「ゼルーグ殿下、一つ聞いてもいいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「どうして、私にそこまでしてくださるのですか? 私を妻に迎え入れるというのは、一生を左右する事柄であるはずです。どうして、その決断を母の話だけで決められたのでしょうか?」

 私は、ゼルーグ殿下にそう問いかけた。
 この決断は、とても重大な決断だ。それをした理由がないなんてことはないだろう。

「同情といってしまえばそうなのかもしれません。ただ、僕にとってあなたを助けるということには、特別な意味があるのです」
「特別な意味?」
「僕はあなたのことを他人だとは思えなかった。もし歴史が少しでも違えば、僕はあなたと同じ立場になっていたかもしれない」
「それは……」

 ゼルーグ殿下の言葉に、私は疑問を覚えていた。
 彼が私のようになっていたかもしれない。その言葉が示していることは明白だ。
 つまり彼は、私と同じような事情で生まれたということなのだろう。

「僕の母上は、寛大な方でした。無論、実の息子のように扱ったりはしませんが、王家の一員としてある程度は認めてもらっています」
「……」
「ですが、母上がアルファンド夫人のような人物であったなら、僕はこのように振る舞うことはできなかったはずです。あなたのように苦しい生活を送っていたかもしれない……」

 ゼルーグ殿下は、苦しそうな表情を浮かべていた。きっと彼は、私の境遇に心を痛めているのだろう。
 その同情が胸に染みてくる。彼がもしも正当なる血統であったなら、私はこの同情に憤りを覚えていたかもしれない。
 だが、彼が同じ境遇であったなら、それは受け入れられる。私よりは恵まれていたとは思うが、彼も苦しい生活を送っていたことに間違いはないだろう。
 私達同じだった。だからこそ、分かり合える。私は、それを理解した。

「……ゼルーグ殿下、ありがとうございます」
「え?」
「あなたが私に手を伸ばそうとしてくれたことに感謝します」
「いえ……」

 私は、ゼルーグ殿下に感謝の言葉を述べた。
 彼が私を心から慈しみ、その手を取ろうとしてくれたことには感謝の気持ちしかない。
 だからこそ、私は考える。本当に彼の手を取ってもいいのかということを。

「実は先程、私はこのアルファンド伯爵家を追い出される所でした」
「追い出される?」
「ええ、とりあえずその話を聞いてもらえますか?」
「はい。それはもちろんです。何やら興味深い話のようですし……」

 私は、とりあえずゼルーグ殿下に事情を話してみることにした。
 それで彼がどのように判断をするのか、それも知りたかったのである。
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