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13.温かい一家
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パステルト子爵家での食事を終えた私は、使用人であるヴァルキードとともに屋敷の庭に来ていた。
食事をしてすぐに帰るというのもどうなのかということで、ラディオル様、レフォルド様、マルリア様の三人とお茶することになったのである。
ちなみに、食事は終始和やかな雰囲気で進んだ。部外者も受け入れる技量が、パステルト子爵家の人々にはあるようだ。
「ふむ……」
「ラディオル様、どうかされたのですか?」
「いや、少々暑いと思ってな」
「ああ、そういえば温かくなってきましたからね」
そこでラディオル様とマルリア様が、そのような会話を交わしていた。
それはただの日常の会話だ。何もおかしい所などはない。
しかし私は、その会話の雰囲気がとてもいいと思っていた。なんというか、二人の仲の良さのようなものが読み取れたのだ。
「お二人は仲が良いみたいですね?」
「え? ええ、そうなんですよ」
私は、小声でレフォルド様に話しかけてみた。
一瞬驚いた反応を見せたが、彼は笑顔を浮かべて答えてくれる。
「不思議と気が合うみたいです。そういった婚約者と巡り会えたことは幸福だと、兄上もよく言っています」
「よく言っているんですか?」
「ええ、まあ、本当に姉上のことが好きなのでしょうね……」
「それは幸いですね。私なんかは、結婚で失敗しているので羨ましいです」
「イルファリア嬢……」
私が少し自虐的なことを言ってしまったからか、レフォルド様の表情が少し曇ってしまった。
率直な意見を言った訳ではあるのだが、もう少し考えて喋るべきだったかもしれない。
「あの、そんなに気にしないでくださいね。私の中では、もう終わったことですから」
「大変だったとはお聞きしていますが……」
「まあ、それは自分が蒔いた種ですから」
言ってしまった以上、発言を取り下げる訳にはいかなかった。
故にとりあえず、私は明るく振る舞うことにした。相手が気にしないためにも、それが必要だ。そもそも、本当に気になっているという訳でもないし。
「自分が蒔いた種、という訳でもないだろう。離婚を切り出したのは、夫だったと聞いている」
「それはその……そうなったことの原因は、私にもあると言いますか」
「責任感が強いのね……」
「いいえ、そういう訳でもなくて……」
どこから聞いていたのかはわからないが、ラディオル様とマルリア様も私のことを気遣うようなことを言ってきた。
やはり、皆さん人がいいのだろう。私は改めて、そんなことを思うのだった。
食事をしてすぐに帰るというのもどうなのかということで、ラディオル様、レフォルド様、マルリア様の三人とお茶することになったのである。
ちなみに、食事は終始和やかな雰囲気で進んだ。部外者も受け入れる技量が、パステルト子爵家の人々にはあるようだ。
「ふむ……」
「ラディオル様、どうかされたのですか?」
「いや、少々暑いと思ってな」
「ああ、そういえば温かくなってきましたからね」
そこでラディオル様とマルリア様が、そのような会話を交わしていた。
それはただの日常の会話だ。何もおかしい所などはない。
しかし私は、その会話の雰囲気がとてもいいと思っていた。なんというか、二人の仲の良さのようなものが読み取れたのだ。
「お二人は仲が良いみたいですね?」
「え? ええ、そうなんですよ」
私は、小声でレフォルド様に話しかけてみた。
一瞬驚いた反応を見せたが、彼は笑顔を浮かべて答えてくれる。
「不思議と気が合うみたいです。そういった婚約者と巡り会えたことは幸福だと、兄上もよく言っています」
「よく言っているんですか?」
「ええ、まあ、本当に姉上のことが好きなのでしょうね……」
「それは幸いですね。私なんかは、結婚で失敗しているので羨ましいです」
「イルファリア嬢……」
私が少し自虐的なことを言ってしまったからか、レフォルド様の表情が少し曇ってしまった。
率直な意見を言った訳ではあるのだが、もう少し考えて喋るべきだったかもしれない。
「あの、そんなに気にしないでくださいね。私の中では、もう終わったことですから」
「大変だったとはお聞きしていますが……」
「まあ、それは自分が蒔いた種ですから」
言ってしまった以上、発言を取り下げる訳にはいかなかった。
故にとりあえず、私は明るく振る舞うことにした。相手が気にしないためにも、それが必要だ。そもそも、本当に気になっているという訳でもないし。
「自分が蒔いた種、という訳でもないだろう。離婚を切り出したのは、夫だったと聞いている」
「それはその……そうなったことの原因は、私にもあると言いますか」
「責任感が強いのね……」
「いいえ、そういう訳でもなくて……」
どこから聞いていたのかはわからないが、ラディオル様とマルリア様も私のことを気遣うようなことを言ってきた。
やはり、皆さん人がいいのだろう。私は改めて、そんなことを思うのだった。
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