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14(アルシーナ視点)
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クラールと相談して、私達は二手に分かれることになった。
それ程時間に余裕がある訳でもないので、手分けして動くことになったのである。
私が訪れたのは、ルフォーリ伯爵の屋敷だ。ここにいるとある女性と話をしに来たのである。もちろん、その女生とはエムリア・ルフォーリ伯爵令嬢だ。
「それで、私に何の用なのでしょうか?」
「私がここに来たという時点で、どういう用かはわかっているはずです」
「さて、何のことでしょうか?」
エムリアは、私の呼びかけにすぐに出てきた。少し脅した所、結構簡単に出て来てくれたのである。
ただ、こちらの口から真相に迫ることが出るまでは、何も言うつもりがないというのが、彼女の主張のようだ。それなら、さっさと本題に入らせてもらうことにしよう。
「あなたの主張が、過ちであったと、それを証言して欲しいのです」
「……それは不可能です」
「あら? そうでしょうか?」
「どういうことですか?」
「あなたの現状を考えて、私はこう言っているのです。どちらの味方につくことが賢い選択なのか、それがわからない程、あなたは愚かなのでしょうか?」
「……」
私の言葉に対して、エムリアは目を丸めていた。
そこからは、恐怖といった感情が読み取れる。
私がここに来たのは、もちろん一番手っ取り早い方法がその証言を彼女が覆すことだったからだ。
だが、別に私の罪を覆す方法は他にいくらでもある。現状ならば、それはとても容易なことなのだ。
「あなたに協力すれば、どうなるのでしょうか?」
「さて、どうでしょうか? 少なくとも、私からあなたに何かをするということはありません」
「それだけですか?」
「あら? まだ何か?」
「お金を……いただきたいのです」
「……なるほど、そういうことでしたか」
エムリアの発言によって、私は彼女がどうしてこんなことをしたのか理解した。
それは、お金のためだったのだ。
恐らく、彼女の金使いが荒いという訳ではないだろう。その苦労していそうな顔を見ればわかる。多分、父親か何かがろくでもない人間なのだろう。
だから、私にもお金を求めてくる。それは理解できた。
だが、それを私が受け入れるかといったら、それはまったく別の問題である。
「そういうことなら、あなたには泥船と一緒に沈んでもらうことにしましょうか」
「え?」
「ロガルサ公爵家は、財政難……一方、私はタルギス王国でも有数の商人。そのどちらに味方が多いかということは、わかりますね?」
「そ、それは……」
命じられたとはいえ、私を貶める原因を作った彼女に金銭を払うはずはない。それが、どれだけ図々しいことであるかということを、彼女にはわかってもらわなければならない。
ロガルサ公爵家は、現在資金難である。一方、私には潤沢な資金がある。今回の戦いで、そのどちらが有利かは明白といえるだろう。
つまり、ここで彼女が断れば、彼女はロガルサ公爵家という泥船とともに沈んでいくことになるのだ。実質的に、私の願いは彼女にとって断れないものなのである。
「……わかりました。あなたに、協力させてもらいます」
「あら? それだけですか?」
「……申し訳ありませんでした」
彼女は、涙を流しながら私に頭を下げてきた。
その光景を見ても、私の心はそれ程晴れないのだった。
それ程時間に余裕がある訳でもないので、手分けして動くことになったのである。
私が訪れたのは、ルフォーリ伯爵の屋敷だ。ここにいるとある女性と話をしに来たのである。もちろん、その女生とはエムリア・ルフォーリ伯爵令嬢だ。
「それで、私に何の用なのでしょうか?」
「私がここに来たという時点で、どういう用かはわかっているはずです」
「さて、何のことでしょうか?」
エムリアは、私の呼びかけにすぐに出てきた。少し脅した所、結構簡単に出て来てくれたのである。
ただ、こちらの口から真相に迫ることが出るまでは、何も言うつもりがないというのが、彼女の主張のようだ。それなら、さっさと本題に入らせてもらうことにしよう。
「あなたの主張が、過ちであったと、それを証言して欲しいのです」
「……それは不可能です」
「あら? そうでしょうか?」
「どういうことですか?」
「あなたの現状を考えて、私はこう言っているのです。どちらの味方につくことが賢い選択なのか、それがわからない程、あなたは愚かなのでしょうか?」
「……」
私の言葉に対して、エムリアは目を丸めていた。
そこからは、恐怖といった感情が読み取れる。
私がここに来たのは、もちろん一番手っ取り早い方法がその証言を彼女が覆すことだったからだ。
だが、別に私の罪を覆す方法は他にいくらでもある。現状ならば、それはとても容易なことなのだ。
「あなたに協力すれば、どうなるのでしょうか?」
「さて、どうでしょうか? 少なくとも、私からあなたに何かをするということはありません」
「それだけですか?」
「あら? まだ何か?」
「お金を……いただきたいのです」
「……なるほど、そういうことでしたか」
エムリアの発言によって、私は彼女がどうしてこんなことをしたのか理解した。
それは、お金のためだったのだ。
恐らく、彼女の金使いが荒いという訳ではないだろう。その苦労していそうな顔を見ればわかる。多分、父親か何かがろくでもない人間なのだろう。
だから、私にもお金を求めてくる。それは理解できた。
だが、それを私が受け入れるかといったら、それはまったく別の問題である。
「そういうことなら、あなたには泥船と一緒に沈んでもらうことにしましょうか」
「え?」
「ロガルサ公爵家は、財政難……一方、私はタルギス王国でも有数の商人。そのどちらに味方が多いかということは、わかりますね?」
「そ、それは……」
命じられたとはいえ、私を貶める原因を作った彼女に金銭を払うはずはない。それが、どれだけ図々しいことであるかということを、彼女にはわかってもらわなければならない。
ロガルサ公爵家は、現在資金難である。一方、私には潤沢な資金がある。今回の戦いで、そのどちらが有利かは明白といえるだろう。
つまり、ここで彼女が断れば、彼女はロガルサ公爵家という泥船とともに沈んでいくことになるのだ。実質的に、私の願いは彼女にとって断れないものなのである。
「……わかりました。あなたに、協力させてもらいます」
「あら? それだけですか?」
「……申し訳ありませんでした」
彼女は、涙を流しながら私に頭を下げてきた。
その光景を見ても、私の心はそれ程晴れないのだった。
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