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episode3 転入生 神崎 嵐
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「お前の気持ち揺さぶるためにあんなこと言った俺も、悪かったん
だけど……それで、やけになって彼女と付き合った俺は、もっと
最悪だった。本当に」
つばさは、唇を噛んだ。その結果、誰が傷ついて、何が起こったのか?
斗哉の頭に残る傷を見れば、答えは明確だ。自分の気持ちに嘘を
ついたり、強がったりしたところで、何もいいことは起こらない。
だからもう、誤魔化すことなんてできなかった。
「ねぇ、斗哉」
「…ん?」
腕の中で、か細い声を発したつばさに、帰ってきた声は優しかった。
「ずっと、一緒にいられるのかな?わたしたち」
「どういう意味?」
「だから…付き合っても、ずっと一緒にいられるのかな?」
つばさが言わんとしていることを理解したのか、
斗哉は淡く笑んで腕に力を込めた。
「あたりまえだろ。ずっと一緒だ。離れたりしない。絶対に」
本当に?
この世に絶対なんて、あるの?
そう、口にしてしまいたい想いを飲みこんで、つばさは頷く。
それ以上の答えを求めたところで、斗哉が困るだけだ。
つばさは、もう一度、斗哉の腕の中で頷いた。
斗哉の腕が解かれて、つばさをくるりと自分に向かせる。
顔を見上げれば、こんな瞳をしていたのかと、心が震えた。
「つばさが、好きだ。世界でいちばん」
斗哉の手の平がつばさの頬を、すっぽりと包みこんだ。
世界でいちばんなんて……なんだか泣きたくなってしまう。
「わたしも……斗哉が好き」
つばさがそう言った瞬間、斗哉の目がいっそう優しいものに
変わる。斗哉の顔が近づいてきて、つばさは目を閉じた。
パシャパシャ、と、水面を揺らす水の音と共に、鼓動が早くなる。
ふわりと重ねられた斗哉の唇が、一度離れて、今度は深く、
深くつばさの唇を覆った。
「んっ……」
つばさは、思わず斗哉のコートを握りしめた。
鼻から吸った息はどこから吐けばいいのか???
長いキスに戸惑っていたつばさの口の中に、ぬるりとしたものが
侵入してくる。斗哉の舌だ。と思うより先に、ほんのりと、
さっき食べたパスタの味が斗哉のそれから伝わってきた。
「…ん、んっ」
息苦しさの中で、斗哉から絡められる舌に必死に応える。
応えているうちに、躰のある場所がじんと痺れて、つばさは堪らず
斗哉の肩を押した。
「ぷはーーっ」
やっとの思いで、解放されたつばさは、膨らみ切った肺から
思い切り息を吐きだした。そして、斗哉の胸に寄りかかる。
膝がガクガクして、立っていられなかった。
「どう?これが恋人のキス」
腕の中で顔を真っ赤にしているつばさの頭を撫でながら、
斗哉がくすりと笑う。つばさは、やっぱり、自分よりも余裕が
ある斗哉に拗ねて「苦しかった」と口を尖らせ、顔を見上げた。
「月姉が引いてくれた口紅、とれちゃったな」
つばさの唇を親指で撫でながら、斗哉は自分の唇についた
つばさの口紅を舐めた。その仕草が、どうにも艶めかしくて、
まるで斗哉が別人のように見えてしまう。恥ずかしくなって、
つい、と視線を逸らしたつばさの耳に、斗哉が囁くように言った。
だけど……それで、やけになって彼女と付き合った俺は、もっと
最悪だった。本当に」
つばさは、唇を噛んだ。その結果、誰が傷ついて、何が起こったのか?
斗哉の頭に残る傷を見れば、答えは明確だ。自分の気持ちに嘘を
ついたり、強がったりしたところで、何もいいことは起こらない。
だからもう、誤魔化すことなんてできなかった。
「ねぇ、斗哉」
「…ん?」
腕の中で、か細い声を発したつばさに、帰ってきた声は優しかった。
「ずっと、一緒にいられるのかな?わたしたち」
「どういう意味?」
「だから…付き合っても、ずっと一緒にいられるのかな?」
つばさが言わんとしていることを理解したのか、
斗哉は淡く笑んで腕に力を込めた。
「あたりまえだろ。ずっと一緒だ。離れたりしない。絶対に」
本当に?
この世に絶対なんて、あるの?
そう、口にしてしまいたい想いを飲みこんで、つばさは頷く。
それ以上の答えを求めたところで、斗哉が困るだけだ。
つばさは、もう一度、斗哉の腕の中で頷いた。
斗哉の腕が解かれて、つばさをくるりと自分に向かせる。
顔を見上げれば、こんな瞳をしていたのかと、心が震えた。
「つばさが、好きだ。世界でいちばん」
斗哉の手の平がつばさの頬を、すっぽりと包みこんだ。
世界でいちばんなんて……なんだか泣きたくなってしまう。
「わたしも……斗哉が好き」
つばさがそう言った瞬間、斗哉の目がいっそう優しいものに
変わる。斗哉の顔が近づいてきて、つばさは目を閉じた。
パシャパシャ、と、水面を揺らす水の音と共に、鼓動が早くなる。
ふわりと重ねられた斗哉の唇が、一度離れて、今度は深く、
深くつばさの唇を覆った。
「んっ……」
つばさは、思わず斗哉のコートを握りしめた。
鼻から吸った息はどこから吐けばいいのか???
長いキスに戸惑っていたつばさの口の中に、ぬるりとしたものが
侵入してくる。斗哉の舌だ。と思うより先に、ほんのりと、
さっき食べたパスタの味が斗哉のそれから伝わってきた。
「…ん、んっ」
息苦しさの中で、斗哉から絡められる舌に必死に応える。
応えているうちに、躰のある場所がじんと痺れて、つばさは堪らず
斗哉の肩を押した。
「ぷはーーっ」
やっとの思いで、解放されたつばさは、膨らみ切った肺から
思い切り息を吐きだした。そして、斗哉の胸に寄りかかる。
膝がガクガクして、立っていられなかった。
「どう?これが恋人のキス」
腕の中で顔を真っ赤にしているつばさの頭を撫でながら、
斗哉がくすりと笑う。つばさは、やっぱり、自分よりも余裕が
ある斗哉に拗ねて「苦しかった」と口を尖らせ、顔を見上げた。
「月姉が引いてくれた口紅、とれちゃったな」
つばさの唇を親指で撫でながら、斗哉は自分の唇についた
つばさの口紅を舐めた。その仕草が、どうにも艶めかしくて、
まるで斗哉が別人のように見えてしまう。恥ずかしくなって、
つい、と視線を逸らしたつばさの耳に、斗哉が囁くように言った。
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