彼にはみえない

橘 弥久莉

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episode4 帰れない道

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ん、んんっ???


つばさは、繰り返されるキスの途中で、斗哉の唇が熱すぎることに

気付いた。思い切り斗哉の肩を押して、唇から逃げる。

そうして、肩で息をしながら、慌てて斗哉の額に手をあてた。

「ちょ、ちょっと熱!!斗哉っ、また熱が上がってるでしょう!!」

バレたか、とでも言いたそうな顔をして、斗哉は唇を舐めた。

「これくらい、体力で治せるから大丈夫だって」

「だめだってば。こんな躰で遠出したら、悪化しちゃうよ!

明日は嵐と行ってくるから、斗哉は家で待ってて!!」

涼しい顔で大丈夫だと言ってのける斗哉に、つばさは首を振る。

寒い中、無理をして出かけて肺炎にでもなったら大変だ。

青白い斗哉の顔を覗き込んで、そう言ったつばさの胸に、

突然斗哉が顔を埋めた。どきりとする。

部屋着越しとは言え、つばさはブラをしていない。

そのことに、斗哉は気付いてしまうだろうか?

布越しに、斗哉の熱い息がかかって、つばさは躰を硬くした。

「嵐と2人でなんか、絶対に行かせない。あいつはいい奴だし、

霊能力も認めてるけど……それとこれとは話が別だから」

いつもより低い声でそう言って、斗哉が唇で胸の頂きを探り当てる。

ちら、と視線だけでつばさの顔を見上げると、つばさに見せつける

ように、その先端に歯を立てた。





「…やっ…っ」


かりかり、と擦るように刺激を与えられて、つばさは思わず

声を漏らした。つばさにとって嵐は大事な仲間で、友達だ。

だから、斗哉が心配するようなことは何もない。

そう、言って安心させたいのに、唇から漏れる言葉が、

甘い吐息に変わってしまう。

「それとも……つばさは俺がいない方がいいわけ?」

そんなこと、あるわけないのに、意地悪なことを言いながら、

尚もつばさの弱い部分を刺激する。そんなに厚くない生地が

斗哉の唾液で濡れて、それがまた胸の先端をひやりと刺激

するから、たまらない。

「そんなことっ…あっ、あるわけないじゃん…あ…やめっ」

吐息交じりに、つばさは否定する。嵐に出会ってからも、

出会う前も、いつだってつばさは斗哉に相談している。

なのに、斗哉は心霊関係になると自分が役に立っていないと、

思い込んでしまう節があるのだ。そういえば、以前も、

こんな風に斗哉が機嫌を損ねたことがあった。



いつだったか???ああ、あれは、涼介が一晩中つばさの

側に付き添ってくれた時だ。確か、道の真ん中でケンカして、

真理に呆れられたっけ……



疼くような甘い刺激に、ぼーっとしながら、そんなことを考えて

いると、ようやく斗哉が唇を離してくれた。ぐったりと、躰を預ける

つばさに、叱るような口調で言う。

「お前は隙だらけで警戒心もないから、心配なんだよ。こんな、

透けて見えそうなTシャツにノーブラとか……。もし、相手が

俺じゃなくて他の男だったら、襲われても文句言えないんだぞ?」

だって、そのままでいいって言ったのは斗哉じゃん。と、内心、

文句を言いながら、それでもつばさは素直に、ごめん、と口にする。

もともと、男子から異性として見られているという意識が低いせいか、

(小学校の頃までは特に……)こういったことに無防備なところが、

ないこともない。

「でも……本当に、大丈夫?斗哉」

斗哉の説教から解放されたくて、つばさは話を元に戻した。

「だから、大丈夫だって言ってるだろ?今日一晩ぐっすり眠れば、

明日には回復するよ」

いつもの声でそう言って、斗哉が微笑する。つばさはもう、何も言えず

に頷くと、斗哉の膝から下りて、じゃあ私、帰るねと笑った。
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