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ep3

必殺技

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「へぇー やっぱり四人部屋は広いな。
なぁパール、リーダーもパーティー名も決まったし、あとは何を決めるんだい。」

「これからどんな方針を持って、どうやってそれを実現するかを相談しないとだめでしょ。」

「ん~ なんか難しいなぁ
好きに決めていいよ」

「ミューラー あなた『☆五芒星』メンバーの中で一番弱いわよね。
そのあなたがどうしたらもっと強くなれるかを相談するのよ。」

「そうよミューラー その足りない頭で考えるより皆で考えた方がいいに決まってるでしょ」

「メーリールー ずいぶんだなぁ」

「まぁまぁ ちょっと話がずれて行ってないかな。
パール それでどんな方針なのかな」

「この前オーガと戦ったとき、私の攻撃は通用しなかったわ。
メーリールーの『岩石崩し』
シンディの『聖光弾』
それ以外は決定力に欠けたわ。
一人一人がオーガを倒せる位威力のある技を持たないといけないの。
そうでないと、いつか落ちこぼれる人が出るわ。
どう思う。パック」

「そうだなぁ。
ミューラーの『さみだれ打ち』は、手数は多くても威力はそれ程ないよね。
オーガみたいな守備力が高い相手だと苦しいよね。
例えば、10発打ち込む所を5発にして威力を倍に、一発なら10倍とか出来ないかな
あとは強力な剣に取替えるとかかな」

「ミューラー 次の訓練から『さみだれ打ち』を『連撃』にするのよ。全て同じ箇所に1ミリもずれないように打ち込むのよ」

「そんなこと、できるわけないよ」

ミューラーがそう言うと、メーリールーが

「できる、できないじゃないわ。
やるのよ。いつかきっとできるって信じてね。
きっとミューラーならできるって、私は信じてるから」

「わかったよ、やるよ。」


「ミューラーのやることが決まった所で、私の番よね。
なにか必殺技に繋がるヒントはないかしら。」

すると、シンディが

「パールは槍を突く時に魔力を乗せてるわよね。」

「そうよ、でなきゃオーガ相手になんて傷1つ付けられないわ」

「それ、ただ魔力を籠めるんじゃなくて、適性魔法を籠められないかな。パールの魔法適性は何だっけ」

「雷よランクDだけど」

「サンダーランスだよ
ランクDだろうと、威力は上がると思うよ。
まして、訓練してランクアップしたら、一撃でオーガも倒せるんじゃないかな。
シンディ よく気づいたな。」

「パックがメラニーのファイアーボールを切った時に『炎』を剣に纏わせたでしょ
あれがヒントになったのよ」

「えっ あの時『炎』が剣に乗ってたの。
私分からなかったわ」

パールがそう言うとメーリールーが

「私も全然分からなかったわ。魔力が乗ってたのはわかったけど」

「俺はわかったぜ」

ミューラーがそう言うと
女子3人が声を揃えて

「嘘だぁ~」

「チェッ 冗談も通じねぇ」

「それにしても、シンディは流石だね。ぼくのあれに気づくなんて」

「フフフ パックのことは、いつも私見てるから。
それに私魔術師科だったし」

「愛するが故かぁ」

ミューラーがそう言うと、パールがギロっと睨んだ。

「私の方が、愛が薄いとでも言いたいの」

「えっ あっ いやいや
そういう意味じゃ無くてさ。
メーリールー」

「ミューラー なんで私に助けを求めるのよ。
何でも考え無しにしゃべるから、失敗するのよ。」

「まぁいいわ。ミューラーだから、仕方ないわね。
とにかくシンディのお陰で、私もやるべきことが決まったわね」

「最後はぼくだね。
現況魔力の量自体は増えてるんだけど、レベルアップはしてないんだ。
剣の方も努力はしてるけどなぁ
剣系のスキルは授からないままだよ」

「パックの場合は、やっぱり『タマゴ』なんじゃない」

「パールの言う通りだと私も思うわ。
キラービーより強い魔物を孵化支配出来たらいいのにね。
例えばドラゴンとか」

「おい、シンディ
ドラゴン狩りに行こうってのか。
無理無理無理。
ブレス一発で全滅しちゃうよ。」

「ミューラー
あなた本当に黙ってられないのね。
シンディは例えばって言ったでしょ。」

「面白いわ。私たちの必殺技が形になったら、ドラゴンとまではいかなくても、ワイバーンあたりの卵を狙うのはアリよね。
でも今パックがやることは、というかやってもらいたいのは、私たちに毎食何らかの形で『パックの魔力タマゴ』を提供することよ。『☆五芒星』全体のレベルアップは、パック次第だからね」

パールは、ミューラーの方に向き直り

「ミューラー まだ終わらないからね。もう少し待ってね。
建設的意見は、歓迎よ。」

パールは、シンディに向き直って

「シンディ 聖属性の中に『結界』が有るわよね。それを、使えるようにしてほしいわ。」

「パール、私ちょうど結界の練習始めた所よ。『聖女のベール』って言うのよ。まだ物理耐性だけだけど、これから魔法攻撃耐性も付けるつもりよ」

「やっぱりシンディは、できる女ね。そのまま頑張って」

「メーリールー あとはあなたね。魔法適性は何だっけ」

「土Cよ」

「ピーターみたいに『ストーンバレット』や『土壁』はできる?」

「できるけど、やってないわ」

「何で?」

「じかに殴った方が楽しいから」

「へぇー 意外
バトルマニアなのね。
たくさんの雑魚敵の時とかは、任せてもいいかしら?」

「わかったわ。魔法を使わせたいのね。」

「そうよ、持てる手は使わないと。メーリールーは、体術のスキルに恵まれてるけど、魔法だってなかなかよ。
頼むわね。」

「はあ~ やっと終りかな」

「ミューラー最後に気に留めて欲しいことを言うわ。
もう少しの我慢よ。

まず、これから私たちは強くなる。そして、強くなるほどに人から狙われるわ。
これまで以上に、お互いをガードし合うことが必要になるわ。

パックやシンディの能力
王女としての私
メーリールーやミューラーの戦闘力
手に入れ自分の駒にしようとする人はあまた居ると考えた方がいいわ

迂闊に人を信用しない。
自分たちの能力をなるべく明かさない。
それを覚えておいて。

以上よ」

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