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ep3

エリザベートの手紙

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「アクア、宿の建築より先にしたいことって?」

「あのビーチの所有権か独占権が
いるわ。
軌道に乗った所で、金持ちの商人とかに横取りされ無いようにね。」

「アクア、しっかりしてるわね。」

「私の中のマリが、張り切ってるわよ。」


ジンベエさんにこのビーチに住み始めた理由を聞いてみると、冒険者の頃、森で迷ってたまたま見つけたそうだ。
夕陽に照らされてビーチを歩くキャロラインさんは、とても美しくて、ここで告白したそうだ。
こどもができたら、冒険者を辞めてここで暮らそうと、二人で決めて、ここに住むようになったそうだ。

「つまり、誰のものだかも分からないビーチに、勝手に小屋建てて住み着いたってことね。
税は、払ってる?」

「すまん」

「おやじ~~~」

「小役人相手にしたら、面倒くさいわね。
シェリーどう思う。」

「そうね~ エリザベートに相談してみたら。」

こうして、アクアとシェリーは、約1年ぶりに、エリザベートに会いに行くことにした。







「久ぶりね~ シェリーさん・アクアさん
あらっアクアさんは、少しお姉さんになったわね。
もっと頻繁に遊びに来てもいいのよ。」

エリザベートのちょっと不満げな言葉にシェリーが

「エリザベート様、ご無沙汰して申し訳有りません。
ご報告する程のこともなく、日々のんびりと過ごしてました。
こちらの勝手なお願いが有って今日は、やってきました。」

「そうなの、私でお役に立つのかしら」

「とりあえず、話を聞いていただけますか。
アクア、お願いね」


「えっ 私 私が言うの」


「当然でしょ、あなたの発案なんだから。」


「あらっ、アクアさん発案なのね。どんなことかしら?」


アクアは、ジンベエ親子の住むビーチのリゾート開発について説明し、その際に大手商人に目をつけられても、守れるようにしたいことを告げた。


「ふぅ~ん アクアさんは、まだお子様だと思ってたから、驚いたわ。
いつの間にこんなにしっかりした事業計画を話せるような人になったのかしら。
うちにいた頃は、シェリーのベッドに潜り込んでたのにね」

「エリザベートさん、そのことは恥ずかしいから、止めてくださいよ~~~」

「あらっ ごめんなさいね。
え~~っと、その権利の話よね。
現在のこの辺りの領主、リグルド・ドラン公爵に紹介状を書いてもいいわよ。
でもね、彼との交渉は大変よ。彼自身が野心家だから、直ぐに他と天秤にかけるわよ。
悪事はしてないと思うけど、寄付とかしてくる大手商人との繋がりは強いわ。
中小の商人が潰されたって話も聞くし、気をつけないと、逆に追い出されるかも知れないわよ。
それでも会ってみる?」

「う~~ん、そうですね。
一度保留にしてください。」

「あれっ? 後先考えずに突っ走るアクアらしくないわね。
どうしたの?」

「私と、シェリーだけなら、何をされたりしても、何とかなるわよね。
でも、ジンベエさん親子があそこから追い出される事になったら、まずいでしょ。」

「へぇー そこまで考えられるようにアクアは成長したんだ。」

「やめてよ、シェリーまで。
とにかく、もう一度ジンベエさん親子と相談してからにしましょう。
エリザベートさん。それでもいいですか。」

「私は、構わないわよ。
ゆっくり皆さんで考えてから、またいらっしゃい。」





「ワォ 本当に飛ぶんだ」

見送るエリザベートがみるみる小さくなる。
アクアとシェリーは、エリザベートの館から、一気にジンベエとアサリの浜へと飛んだ。

浜に着くと、ジンベエとアサリは、釣ってきた魚を干物用に開きにしている作業中だ。

「ジンベエさ~ん、アサリ~~
ただいま~~」

「アクア様、話があるって顔してるが、これ終わらせるまで、待ってくれ」

アクアは、二人がさばいた魚を綺麗に水洗いして、ザルに並べて調味液に入れてゆく。

シェリーは、ジンベエとアサリの魚をさばく所をちょっと見て

「『解析』出来たわ、ジンベエさんもアサリさんも休んでていいわ」

シェリーは、なんとハヤブサ斬りで、魚を捌き出した。

ジンベエとアサリは、ぽかんとしてアクアとシェリーの作業を見ている。

ものの10数分で、全ての魚の下処理が終わった。






「領主様は、大商人と繋がっている。
それは、どこの領主様もそうでしょう。
特別なことじゃあ有りませんな。
そこに、敢えて割って入るおつもりなんでしょうアクア様は。」

「いや、そこまでするつもりは。」

「私たちのことは、お気になさらず、何でもおやりください。」

「でも、万が一」

「それでもいいんです。
男2人、どうにでもなります。
その気になりゃあ、どこに行っても食うぐれえは何とかなります。
わしらのことは気にせず、何でもおやり下せぇ。」

「そうだぞアクア。遠慮なんかすんなよ。
親父一人くれえ、俺が居るんだ、心配すんなよ。」

アサリがそう言えば、シェリーも追うように

「アクア、二人共心強いあなたの応援団ね。
こうなったら、やらなきゃ女がすたるわよ。」




アクアは、翌日再びエリザベートの元に向い、公爵との面会ができるよう頼んだ。

「やっぱり、私の思った通りね。
会いに行く方を選ぶと思ってたわ。
リグルド・ドラン公爵に出す手紙を下書きしてあるの。
口裏合わせの為に、目を通しておいてくれる」

エリザベートは、そう言って手紙を差し出した。
その内容は、こうだ。

「リグルド・ドラン公爵様
日頃よりお世話になり、感謝して居ります。
私エリザベートは、公爵様のお蔭を持ちまして、つつが無く暮らして居ります。
さて、今回こうしてお手紙を差し上げたのは、ご紹介したい者が居るからです。
アクアとシェリーという2人の冒険者の娘たちです。
2人共以前は、私の屋敷に住んでおりましたが、Sランク冒険者になったのを機会に、私の元を離れて暮らしております。
今回お手紙を差し上げた本題は、この2人がとある場所を大変気に入り、購入するにはどうしたらいいかと私に相談があり、そこで私は、公爵様のお力にすがるのが一番だと思い、こうしてお手紙をしたためました。
彼女たちの力は、一人一人が一国の軍にも匹敵する程と聞いております。
公爵様にとっても彼女らと縁を繋ぐのにいい機会だと思われます。
この際に公爵様にお会いする機会を彼女らにお与え下さい。

追伸、
二人共絶世の美女です。見惚れるのは構いませんが、下心を持って接するとかなり痛い目にあうでしょう。

エリザベート

親愛なる、リグルド・ドラン公爵様へ」


手紙を読み終えたアクアが

「ありがとうございます。
ほぼこれで、いいと、思いますが、この追伸は必要ですか?」

「絶対必要よ。あの子は親に似て、かなりの女好きよ。
美女と聞いたら『会わない』とは言わないはずよ。
権力に物を言わせて囲いにくるかも、いいえ、くると思うから気をつけてね。」

「囲いにって」とアクアが聞くと

「妾にって意味よ」とシェリーが答えた。





数日後、2人が冒険者ギルドに顔を出すと、ギルド長のハックがふっ飛んできた。

「おい、お前たち。今度は何をやらかしたんだ。
領主様から調査が入ってるぞ」

「ハック。それこんな皆が居る所で言っていい話なの?」
シェリーが、確認すると。

「あっ。極秘だった。
特に本人には気付かれないようにってなってた。」

「ハックがどうなっても
し~~らない。
好きに書いて返事すれば。」

「シェリー、ギルド長には、相変わらず厳しいのね。
とある場所を私が気にいって、その土地を買いたいと思ったのよ。
辺鄙な所だけど、領主にはお伺いをたててからと思っただけのことよ。
『敵に回さない方が身のためだ』って返事しておいてね。」

「そんなこと書けるわけないだろ。」




二人は、この5日後に領主のリグルド・ドラン公爵と面会することになった。


♧♡♤♡♧♢♡♤

新章スタートです。

お金と女性大好きな領主との面会がどうなるかは、次回のお楽しみに

皆さんの応援・お気に入り感謝してます。

これからもよろしくお願いします。
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