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二人の帰宅
しおりを挟む厳しい説教を受けた後、直人(中身は直子)と直子(中身は直人)は並んで科学クラブの部室を出た。
「……さて、どうする?」
直子(中身は直人)が腕を組みながら尋ねる。直人(中身は直子)はスカートの裾を気にしながら、ため息をついた。
「どうするって……もう元に戻る方法もわからないし、とりあえずそれぞれの家に帰るしかないだろ?」
「うわぁ……本気で言ってる?」
「他に方法あるのかよ?」
直人(中身は直子)は困惑しながらも、仕方ないといった表情で頷いた。
「……まあ、確かに今すぐどうにかなる問題じゃなさそうだし。親にバレたら厄介だから、お互いバレないように相手になりきるしかないね。」
「うん……」
直子(中身は直人)は、ふと自分の携帯を取り出し、画面を見つめる。
「とりあえず、LINE交換しとこう。何かあったらすぐ連絡するために。」
「そうだな……」
二人はお互いのスマホで連絡先を交換し、しばらくの沈黙の後、それぞれの家へ向かうことにした。
「じゃあ……俺は直子の家に行くか……」
「うん。私は直人の家に行ってみるよ……って言っても、正直すごく不安なんだけど。」
「俺だって不安だよ! お前の家のルールとか全然知らないし……」
「こっちこそ、お前の家でバレないようにする自信なんてないよ!」
お互いの不安をぶつけ合いながらも、二人は仕方なくそれぞれの家に向かって歩き出した。
### **鏡の中の“自分”**
直子の体の直人は、玄関からそっと直子の部屋へと足を踏み入れた。
部屋の中は、直人の部屋とは全く違う。
淡いピンクのカーテン、ぬいぐるみが並ぶベッド、そして整然とした机。
「……うわ、めっちゃ女子の部屋……」
まじまじと見回した後、ふと壁に掛かった姿見の前に立つ。
そこに映るのは、見慣れた“直子”の顔。
「…………」
直人は恐る恐る鏡の中の自分を見つめた。
肩までの黒髪、大きな瞳、スラッとした細い腕。
自分の意思で動かす手を見て、もう一度顔を上げる。
「やばい……本当に直子になってるよ……」
自分の声までもが女の子のそれで、思わずゾッとする。
(昨日の爆発で……本当に入れ替わったんだ……)
鏡の中の“直子”が、不安げな表情をしていた。
でも、それは紛れもなく“自分”の表情でもあった。
「これ……どうすんだよ……」
直子の体の直人は思わずため息をついた。
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