カオルとカオリ

ドラマの映画化

◆ 世界を動かした“二つの心”

　韓国ドラマ『두 마음, 한 몸（二つの心、一つの体）』は、配信開始からわずか2週間でアジア圏を中心に大ブレイクを果たした。

　その感動的なストーリーと繊細な演出は、TikTokやX（旧Twitter）などのSNSでバズを巻き起こし、#OneBodyTwoSouls（英題の略称）は世界トレンド入り。
　YouTubeの日本オリジナル版にもアクセスが殺到し、字幕付きで再編集された動画が「原作ファンによる聖地」として拡散された。

　――その波は、やがて映画業界にも届くことになる。

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◆ ハリウッドとのコラボレーション

　ある日、咲良のスマホに、再び驚きのメールが届く。

　件名：【映画化オファーについて（Netflix Studios）】

> “Dear Miss Sakura Tanaka,
> We are thrilled to inform you that Netflix Global Originals is officially moving forward with a cinematic adaptation of 『Two Minds, One Body』…”

　「え、え、えええええええっっっっっっ！！？？？」

　図書室で一人、椅子から立ち上がる咲良。
　騒ぎを聞きつけて駆け寄ってきた香織と薫が、咲良のスマホを覗き込み――固まる。

　「……“Netflix Global Originals”って、あの、映画とかドラマ世界配信してる……？」

　「そ、そう。しかも、映画化決定だって……！」

　「ウ、ウソでしょ！？ 映画！？ あの物語が……！？ 世界に！？」

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◆ 記者会見と歓声と、世界地図

　後日、ソウルの大手映画スタジオで開かれた記者発表会。

　Netflix Globalプロデューサーが語る。

> 「この物語は、身体は一つ、心は二つという奇跡のようなテーマを、青春とアイデンティティの視点から描いた傑作です。
> 韓国の映像作家たちによって素晴らしいドラマが生まれましたが、それをさらに大きなスクリーンへと昇華させたいと、世界映画化の決断をしました」

　主演にはハリウッドと韓国の合同キャストが発表され、国際色豊かな演出が予定されていることも発表された。

　そして、脚本チームには――

　「Tanaka Sakura（田中咲良）」
　「Nakata Kaoru（中田薫）」
　「Nakata Kaori（中田香織）」

　という、オリジナルクリエイター3人の名前がしっかりと記載されていた。

　咲良は壇上でマイクを向けられ、やや緊張しながらもはっきりと言った。

　「これはフィクションですが、私たちが生きる“現実”の葛藤や想いが詰まっています。
　性別も、心も、ひとつの型には収まらない――その当たり前が、世界中に届いたらいいなと思っています」

　

◆

　

　世界公開映画『Two Minds, One Body』は、2026年春、全世界同時配信＆一部劇場公開が決定。
　東京国際映画祭やカンヌ国際映画祭の出品も予定されているという。

　韓国、日本、そして世界へ――
　ひとつの体に宿った二つの魂が、国境も言語も越えて、人々の心を揺さぶっていく。

　そして香織は、カメラの向こうでふとつぶやいた。

　「ねえ薫、咲良……やっぱり、言った通りだったでしょ。これ、バズるって」

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