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世界の反応
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咲良が編集を担当し、薫と香織が脚本・演技をこなしたドラマ動画――「ひとつの体、ふたりの心」は、公開から数日で驚くほどの再生数を記録していた。スマートフォンの通知は鳴り止まず、コメント欄には海外からのリアクションも続々と寄せられていた。
放課後、三人はファミレスの隅のボックス席に集まって、スマホを囲んでいた。
「えっ、もう10万再生いってるじゃん……」
咲良が目を見開く。
「再生回数もすごいけど、コメント欄も……すごい数……」
香織がスクロールしながら小さく息をのんだ。
薫がスマホをのぞき込みながら言う。
「ちょっと読んでみようぜ。どんな反応が来てるのか気になるし」
咲良がコメント欄を指でたどって、読み上げ始めた。
---
**@mira\_soul(台湾)**
「心がぎゅっとなった……。香織がいないふりしてるとわかった瞬間、涙止まらなかったよ。演技力すごい。」
**@jun\_0723(日本)**
「“私は最強”のシーン、鳥肌立った。歌で感情が爆発する演出、天才かよ。」
**@london\_kdrama\_addict**
「こんな設定、韓国ドラマにしかないと思ってたのに、日本の学生が作ってるなんて信じられない!」
**@koko\_melo(韓国)**
「字幕で見たけど、演出が繊細で驚いた。香織と薫の切り替わり、演技じゃなく本物にしか見えなかった……。この子たちの才能に感動した!」
**@nagi\_sora\_art**
「“一つの体に二つの心”ってテーマ、すごく普遍的だと思った。自分の中にも“もう一人の自分”がいる気がして、泣いた」
---
「……すごい。こんなにいろんな人が、ちゃんと見てくれてるんだ……」
香織がぽつりとつぶやいた。
「しかも、ちゃんと内容を深く受け取ってくれてるよね。感情の動きまで読み取って……」
咲良がじんとした表情でスマホを見つめる。
薫は少し照れくさそうに言った。
「自分たちのことを、ここまで“作品”として見てもらえるなんて、思ってなかった」
コメント欄は世界中の言語で埋め尽くされていた。日本語、英語、韓国語、中国語……自動翻訳を使ってでも、伝えたい感想が溢れていた。
あるコメントには、こう書かれていた。
---
**@dream\_sinker(アメリカ)**
「ただの“体を共有する”って設定だけじゃなく、それを通して“自分とは何か”を描いてるのがすごく深い。短い作品だけど、何度も見返したくなる。ありがとう」
---
香織はそっとつぶやいた。
「……これだけの人に届いたんだ。私たちの、あの三日間のことが」
咲良は嬉しそうに笑った。
「最初は冗談半分で始めた企画だったのにね。でも、冗談じゃ済まされないくらい、ちゃんと“届いた”んだよ、世界に」
薫は画面から目を離し、窓の外の夕焼けを見た。
「だったらもう、“いないふり”なんて必要ないな」
「うん」
香織も頷いた。
「これからは、ちゃんと、ふたりで“ひとつ”を見せていこう」
咲良が、ふたりにスマホの画面を向けながらにっこりと言った。
「じゃあ、次のエピソードも……期待されてるかもね?」
三人の笑い声が、ファミレスの片隅に静かに響いた。
その画面の中――コメント数は、さらに増えようとしていた。
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放課後、三人はファミレスの隅のボックス席に集まって、スマホを囲んでいた。
「えっ、もう10万再生いってるじゃん……」
咲良が目を見開く。
「再生回数もすごいけど、コメント欄も……すごい数……」
香織がスクロールしながら小さく息をのんだ。
薫がスマホをのぞき込みながら言う。
「ちょっと読んでみようぜ。どんな反応が来てるのか気になるし」
咲良がコメント欄を指でたどって、読み上げ始めた。
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**@mira\_soul(台湾)**
「心がぎゅっとなった……。香織がいないふりしてるとわかった瞬間、涙止まらなかったよ。演技力すごい。」
**@jun\_0723(日本)**
「“私は最強”のシーン、鳥肌立った。歌で感情が爆発する演出、天才かよ。」
**@london\_kdrama\_addict**
「こんな設定、韓国ドラマにしかないと思ってたのに、日本の学生が作ってるなんて信じられない!」
**@koko\_melo(韓国)**
「字幕で見たけど、演出が繊細で驚いた。香織と薫の切り替わり、演技じゃなく本物にしか見えなかった……。この子たちの才能に感動した!」
**@nagi\_sora\_art**
「“一つの体に二つの心”ってテーマ、すごく普遍的だと思った。自分の中にも“もう一人の自分”がいる気がして、泣いた」
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「……すごい。こんなにいろんな人が、ちゃんと見てくれてるんだ……」
香織がぽつりとつぶやいた。
「しかも、ちゃんと内容を深く受け取ってくれてるよね。感情の動きまで読み取って……」
咲良がじんとした表情でスマホを見つめる。
薫は少し照れくさそうに言った。
「自分たちのことを、ここまで“作品”として見てもらえるなんて、思ってなかった」
コメント欄は世界中の言語で埋め尽くされていた。日本語、英語、韓国語、中国語……自動翻訳を使ってでも、伝えたい感想が溢れていた。
あるコメントには、こう書かれていた。
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**@dream\_sinker(アメリカ)**
「ただの“体を共有する”って設定だけじゃなく、それを通して“自分とは何か”を描いてるのがすごく深い。短い作品だけど、何度も見返したくなる。ありがとう」
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香織はそっとつぶやいた。
「……これだけの人に届いたんだ。私たちの、あの三日間のことが」
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「これからは、ちゃんと、ふたりで“ひとつ”を見せていこう」
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「じゃあ、次のエピソードも……期待されてるかもね?」
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