カオルとカオリ

廣瀬純七

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二人目の妊娠

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季節は再び春。
結音はすっかり歩けるようになり、リビングを元気に駆け回っていた。

その日の朝、香織は妊婦健診から戻ると、リビングでおもちゃを片づけていた悟志と、台所で麦茶を注いでいた悟志に向かって、にっこりと笑いながら言った。

「ねえっ悟志、ちゃんと座って聞いてね。大事な話があるの」

悟志はそそくさとソファに座る。

香織は一呼吸おいてから、静かに、けれど嬉しさを隠しきれない声で言った。

「二人目、できたよ。お腹に赤ちゃんがいるの」

「!」

悟志は「やった!」と声を上げて立ち上がり、思わず香織を抱きしめた。

「ほんとに?おめでとう、香織!」

「ありがとう。でもね――」

香織はそこで少し真剣な顔になり、まっすぐ二人を見つめた。

「今度こそ、**絶対に私が自分で産むわよ!**」

その言葉に、悟志は一瞬ぽかんとしたあと、思わず笑ってしまう。

「……そ、そうか。うん、それは…重要な目標だね」

と、悟志が言いながら頷くと、香織は真剣なままうなずいた。

「前回は……出産の瞬間、意識が飛んで、薫に任せることになったでしょ?
もちろんあの時は本当に助かったし、感謝してる。だけど、私は母親として、**この手でこの命を産み出したいの**。だから、今度は最後まで、絶対に自分でやり遂げるって決めてるの」

悟志は香織のその真剣な目を見て、ゆっくりと頷いた。

そして薫が「……うん。俺も全力でサポートする。香織が自分で産めるように。
でも、もし何かあったら、またすぐに代わるから。それだけは約束して」

「ふふ、もちろんよ。保険として薫がいてくれるの、頼りにしてるから」

悟志が笑いながら二人のやり取りを見て言った。

「ほんと、変わらないね。うちのチームは最強だな」

香織はうれしそうに結音の頭を撫でながら、ふたりに言った。

「今度こそ、“ママ”として、**本当に自分の手で**新しい命を迎えるんだ。見ててよ、私――やれるから」

その決意は穏やかで、強く、母としての誇りに満ちていた。

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