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メイクとショッピングの日
しおりを挟む女性の体になってからしばらくが経ち、雄太は少しずつ新しい自分に慣れ始めていた。しかし、鏡の中に映る女性の姿を見ても、どこかぎこちなさが拭えない。そんな雄太に対し、男性になった美咲が提案した。
「ねえ、雄太。せっかくだから、メイクとかやってみない? 私が教えるよ。」
「メイク?」
雄太は驚いた顔をして、美咲を見た。「いや、俺、そういうの全然わかんないし……。」
「大丈夫、私に任せて! メイクも服選びも、楽しいんだから。せっかくの新しい体なんだから、楽しんだ方が得だよ。」
美咲はニッと笑い、早速準備を始めた。
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### 美咲のメイク講座
リビングのテーブルには、美咲が使っていたメイク道具がずらりと並べられた。美咲はすっかり頼れる兄のような雰囲気を漂わせているが、メイクの腕前は以前のままだ。
「まずは下地からね。このクリームを顔全体に薄く塗るの。肌を滑らかにするための土台みたいなものだから、しっかり馴染ませて。」
雄太は言われた通りにクリームを手に取り、顔に伸ばしていく。
「次はコンシーラーでクマとか肌の赤みを隠すの。この部分にちょんちょんと置いて、指でポンポン叩くように。」
「えっと、こう?」
慣れない手つきでメイクをする雄太を見て、美咲は笑いながら手伝った。
「そうそう、いい感じ! 次はアイライン。これがちょっと難しいけど、目のキワに細く線を引くだけで目がぱっちりするから。」
「……緊張するな。これ、失敗したらどうなるんだ?」
「失敗しても落とせばいいだけだよ。ほら、やってみて。」
美咲のアドバイスを受けながら、雄太は少しずつコツを掴んでいった。仕上がった顔を鏡で見て、彼は驚いた。
「これ……俺なのか? 全然違う。」
「すごく似合ってるよ、雄太。これで自信つけて、次は洋服と下着を買いに行こう!」
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### ショッピングモールでの新体験
二人は近くのショッピングモールへ向かった。女性として買い物をするのは雄太にとって初めての経験で、戸惑いと興奮が入り混じっていた。
「まずは洋服からだね。こっちのセクション行こう。」
美咲は頼もしい笑顔で雄太を案内し、次々と服を手に取った。
「これなんか可愛いんじゃない? このスカート、こういうトップスと合わせたら絶対似合うよ。」
「いや、こんな可愛い服、俺が着てもおかしくないか?」
「全然おかしくないって! 試着してみようよ。」
試着室で恐る恐る服を着替えた雄太は、鏡に映る自分を見て呆然とした。スカートがひらりと揺れるたびに、女性らしい自分がそこにいる。
「どう? 私はすごくいいと思うけど。」
試着室の外から声をかける美咲に、雄太は小さく答えた。
「……思ったより悪くないかも。」
次に二人が向かったのは、下着売り場だった。ここでの買い物にはさすがの雄太も緊張を隠せなかった。
「美咲、ここで選ぶの? 人が多いし、ちょっと恥ずかしいんだけど。」
「大丈夫だって。誰も気にしてないから。」
美咲は平然とした態度でブラジャーやパンティーを物色し始めた。
「これなんかどう? サイズもちょうど良さそうだし、デザインも可愛いよ。」
「……わかったよ。頼むから、早く選んでくれ。」
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### 二人の新しい一歩
買い物を終えて帰宅した二人は、今日の出来事を振り返りながらソファに座っていた。
「どうだった、雄太? 新しい自分にちょっとは慣れた?」
「うん。最初は嫌だなって思ってたけど……美咲と一緒にやってみたら、案外楽しかったかも。」
「そうでしょ? これからもっと色々楽しもうよ。新しい体を活かして、どんどん自分を好きになれるようにしよう。」
雄太は、美咲の言葉に励まされながら、新しい自分を少しずつ受け入れる決意を固めていた。
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二人の新しい生活は、こうしてさらに彩りを増していったのだった。
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