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トイレの試練
しおりを挟む「う、うそだろ……」
目が覚めてからしばらく経ったが、未だに信じられなかった。
鏡に映るのは黒髪の女子高校生。腕も足も細く、自分のものとは思えない。
「これ、夢じゃないのか……?」
ベッドの上で呆然としていたが、ふと腹部に違和感を覚えた。
「……やばい、トイレ行きたい」
どんなに混乱していても、生理現象は待ってくれない。
仕方なく立ち上がり、部屋を出てトイレに向かう。
トイレのドアを開けると、便座が下がっていた。普段なら気にもしないが、今の状況ではやけに違和感がある。
「えっと……どうすれば……?」
立ってするのか? それとも座るべきなのか?
――いや、冷静に考えろ。
「だって今、俺……女だよな?」
男子トイレの習慣で、つい立ってしようとしたが、すぐに無理なことを悟る。仕方なく便座に座るが、何もかもが違和感だらけだった。
「……なんか落ち着かない……」
用を足した後、手を洗いながら鏡を見る。
そこには、頬を赤らめた可愛らしい女子高生が映っていた。
「これ、本当に俺なのかよ……」
トイレひとつとっても、これほど困惑するとは思わなかった。
これは、まだ始まったばかりの"田中美紀"としての日常の、ほんの序章に過ぎなかった――。
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