パラレルワールド

廣瀬純七

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結衣の行動観察

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「ねえねえ、やっぱり歩き方も男の子っぽくなるんだね!」  

隣を歩く結衣が、じーっと俺の足元を見ながら言った。  

「は?」  

「ほら、美紀のときって、もっと歩幅が小さいし、足の運び方も軽い感じなんだけど……健太君が中に入ると、ちょっと違うんだよね!」  

「……マジか?」  

俺は思わず立ち止まって、自分の足元を見た。  

(そんなに違うもんなのか?)  

自分じゃ全然意識していなかったが、結衣に言われて初めて気づいた。  
確かに、普段の俺は無意識に歩幅を大きく取る癖がある。  
でも"美紀"の体になっても、それをそのままやっていたら……確かに違和感があるかもしれない。  

「やっぱり! ほら、男の子って歩くときに肩もちょっと揺れるでしょ? それも出てる!」  

結衣は楽しそうに俺を観察してくる。  

「おいおい……そんなに違和感あるのか?」  

「あるある! だって、昨日の美紀はもっとスーッと歩いてたもん。でも今日の美紀は、なんか"ズカズカ"って感じ!」  

「ズカズカって……お前、それじゃあまるで俺が乱暴みたいじゃねえか!」  

「いや、そういうわけじゃないんだけどさ~!」  

結衣はクスクス笑いながら、俺の横に並んで歩く。  

「じゃあ、ちょっと意識して"美紀っぽく"歩いてみてよ!」  

「……えぇ……?」  

俺は仕方なく、意識して歩幅を狭めてみた。  

「お、ちょっと女子っぽくなったかも?」  

「マジかよ……」  

「でもまだちょっとぎこちないね! やっぱり、健太君が中身だと、どうしても男子っぽさが出ちゃうんだね~」  

結衣は楽しそうに俺を見ながら言う。  

(……こんなところまでバレるとはな)  

俺は深いため息をつきながら、改めて"美紀として自然に振る舞う"ことの難しさを実感した。
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