あの日、好きになったのは君でした

SNOW❄️

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第8章 見えない気持ち

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夏休みも、半分が過ぎた。

セミの声にも慣れて、
日差しの強さにも少しだけ
鈍感になった頃――

俺は、用事で久しぶりに
学校へ行くことになった。

「補習かぁ……」

誰とも会わないと思っていた。
ただ静かに教室で時間が過ぎていく、
それだけだと。

けれど、
昇降口で見覚えのある後ろ姿を見つけた。

――鈴本さん。

一瞬、時が止まった。

声は、出せなかった。
足も動かなかった。
ただ、目で追った。

彼女は友達と笑っていた。
教科書を小脇に抱えて、
夏の制服を揺らしていた。

楽しそうだった。
その笑顔が、少しだけ遠くに感じた。

補習を終えて、帰り道。

自転車を押しながら歩く
ユウトの頭の中は、
さっきの光景でいっぱいだった。

「やっぱり……俺のことなんて」

諦めの気持ちが、胸を締めつけた。

でも、そのときだった。
スマホに通知が届いた。

学校の掲示板に
落し物届け出てたよ~!
友達からだった。

添えられた写真には――
小さなハンカチ。
名前のタグには
「S.HARUKA」とあった。

心臓が跳ねた。
ほんの小さな偶然だった。

けれど、俺は決めた。

「次、会えたら……絶対に、返そう」

そのとき、ちゃんと目を見て言おう。

「この夏、君のことばかり考えてた」
「……ほんの少しでいい、
覚えていてほしい」って。

夕暮れの空を見上げて、
俺は自分の気持ちに
少しだけ正直になれた気がした。
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