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黒い鳥も転ける②
しおりを挟む【side アオ】
夜景を見下ろす。
目を光らせて、着地点を探す。
大体の目星はつけるものの、近づいてきたら正確なその場所を探す。知らない土地はそれが大変で。
なるべくビルの屋上や暗闇の公園など人目につかない場所を探す。
だから遠いのは嫌やねん。
その場所を探しながら、風を感じる。
たくさんの光の中にある、真っ暗闇。
あれはきっと、公園。
こんな暗闇の中に人がいることは少なくて。
その場所を目指して、降りる。
落ちていると言う方が正しいのかもしれないが、綺麗に落ちて、綺麗に、着地する。
久々の着地。
綺麗に決めて、ヨシッと小さくガッツポーズ……かと思いきや、着地直前にぶわっと風がローブを巻き上げた。
「おわっ!」
風を受けたローブに煽られて、大きくバランスを崩した俺は、派手に尻餅をついた。
「いってぇ……」
月の光が差し込む公園の一角で。
俺はひとり、派手に転けた。
血生臭いにおいがして、痛みのある場所を触れると、ぬるりと液体が流れる感触がした。
「やっべぇ……すげぇ血ぃ出とるやん……」
木の枝だろうか。右の前腕あたり。深くざっくりと切れたような、そんな感覚がして。それに足も痛いしケツも痛い。
そりゃそうだ。
超高速で飛んできて、高いところから落ちて、その着地を失敗して派手に転けたのだから、そりゃ派手に怪我もするだろう。
だからこの中途半端なチカラが、嫌いなんだ。
なんて、ローブのせいにして、気を取られていたんだ。気を使うのを、忘れていた。
だから気づかなかった。
じゃり……という砂利を踏む音が、間近で聞こえるまで。
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