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オカルトボーイ 寺島 たくと
第6話 続もしもしおばさん編
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もしもしおばさんの電話の内容が変わったことを、私、葉山のじいさん、寺島たくとの3人の中で一番最初に耳に入ったのは――学校に在学している寺島たくとだった。
真っ青な顔で、寺島たくとはあのオレンジクリームを飲んだ日から3日と開けずに喫茶アジフライのドアをくぐったのだ。
「姉ちゃん!」
その顔は青ざめていた。
「もう、ことが起こった?」
私の問いに、首がもげるんじゃないかと言うほど寺島たくとはうなずいた。
「葉山のじいさんは?」
「もうラインで連絡した、すぐ来るって」
またしても人目を避けるように、寺島たくとは一番奥まった席に陣取った。
葉山のじいさんがやってきたのはそれから5分もかからなかった。
お冷を飲みながら話を進めようとするの小学生の寺島たくとはともかく、葉山のじいさんには何か注文してもらわねばとわざとらしく咳をする。
「ふぅ、しのぶちゃんはケチだねぇ。アイスブレンド一つに。この子にはそうだな今日はオレンジジュース一つ」
「こちらも商売ですから」
少々お待ちくださいと言い残して、すぐに用意する。今日提供するオレンジジュースは生搾りではない果汁が2パーセントのほうだ。
さて、本題の始まりである。
「もしもしおばさんの話覚えてる?」
寺島たくとが切り出してきたのは、以前話してくれたこの街のお子さんに大人の在宅確認をするという不審電話のことだ。
まさか、ここでこの話がまた出るとは……。
もしもしおばさんからの電話は相変わらず、この街の小学生のご家庭にかけられ続けていたそうだ。
中には不気味に思った親御さんが非通知の電話はかからないようにしたため、前回よりも範囲は少ない。ただ、内容がわずかに変わったことで子供たちの間で噂は一気に広がった。
「あなたは赤い自転車を持ってる?」
今までとは違い、あの本物に遭遇した日以来、そう聞かれるようになったのだ。
その話を聞いたとき、寺島たくとは生きた心地がしなかったそうだ。
だって、間違いなくあの日乗っていた寺島たくとの自転車が赤色だったからだ。
幽霊が俺を探してると泣きながら言ってきたのだ。
「こりゃ、当分赤い自転車には乗らないほうがいいぞ」
葉山のじいさんが警告をする。
もしもしおばさんの噂とつながったことで、一つの確信がもてたのは葉山のじいさんも同じだろう。
「寺島たくと君。いい報告が一つと悪い報告が一つあるわ」
「いい報告と悪い報告?」
「そう、いい報告はあなたは呪われてなんかいないってこと」
「へっ! いやいや、じゃぁなんで俺を探す電話があちこちにかかるんだよ」
「それはねぇ、犯人が幽霊ではなくて生身の人間としてちゃんと存在するからよ」
「人間……」
てっきり幽霊だと思っていた寺島たくとが生きている人間だということでちょっとほっとしたのがわかる。
バラバラだった事件は、本当はパズルのピースのようなものだったのだ。一見関係のない情報だと思っていたものも組み合わせることで大きな一つの真実へとたどり着くのだろう。
「悪い報告ってなんだよ!」
「この事件は幽霊が引き起こしているものではない、生身の人間が引き起こしている。生きている人間がやっていることだからこそ厄介でこの事件は真の恐怖を兼ね備えている。生身の人間は、幽霊と違って危害を加えようと思えばあなたに危害を加えることができるのだから」
「そんな……俺が何したって言うんだよ……」
「みつけたみつけた次は逃がさない」
「もうそのセリフはいいよ……」
「よく考えて、『逃がさないではなく』『次は逃がさない』なのよ。ここからは推測になるけれど、幽霊は寺島たくと君と出会う前から誰かを探していた。それがこの町内の子供のいる家にしらみつぶしる電話をかけるもしもしおばさんの正体」
「じゃぁ、俺は関係ないじゃんか」
「そうね、寺島たくと君はもしもしおばさんが本当に見つけ出したい人物ではなかった。でもね、彼女はすでに正気じゃないのでしょうね。普通の域を出た行為を行っている。早く見つけなければいけない焦りと、薄暗がりでよく見えないけれど、認識した君が通っている学校の制服」
「なんだよ、俺と同じ学校にいる別恩やつを探してんのかよ……俺とばっちりじゃん」
「彼女の精神状態はいつからかわからないけれど普通じゃなかった。自分が奇行を繰り返している自覚がないからこそ、自転車という逃げやすい状態で迷うことなくUターンした理由を自分が不気味ではなく、あの時のガキに違いないと早合点した」
真っ青な顔で、寺島たくとはあのオレンジクリームを飲んだ日から3日と開けずに喫茶アジフライのドアをくぐったのだ。
「姉ちゃん!」
その顔は青ざめていた。
「もう、ことが起こった?」
私の問いに、首がもげるんじゃないかと言うほど寺島たくとはうなずいた。
「葉山のじいさんは?」
「もうラインで連絡した、すぐ来るって」
またしても人目を避けるように、寺島たくとは一番奥まった席に陣取った。
葉山のじいさんがやってきたのはそれから5分もかからなかった。
お冷を飲みながら話を進めようとするの小学生の寺島たくとはともかく、葉山のじいさんには何か注文してもらわねばとわざとらしく咳をする。
「ふぅ、しのぶちゃんはケチだねぇ。アイスブレンド一つに。この子にはそうだな今日はオレンジジュース一つ」
「こちらも商売ですから」
少々お待ちくださいと言い残して、すぐに用意する。今日提供するオレンジジュースは生搾りではない果汁が2パーセントのほうだ。
さて、本題の始まりである。
「もしもしおばさんの話覚えてる?」
寺島たくとが切り出してきたのは、以前話してくれたこの街のお子さんに大人の在宅確認をするという不審電話のことだ。
まさか、ここでこの話がまた出るとは……。
もしもしおばさんからの電話は相変わらず、この街の小学生のご家庭にかけられ続けていたそうだ。
中には不気味に思った親御さんが非通知の電話はかからないようにしたため、前回よりも範囲は少ない。ただ、内容がわずかに変わったことで子供たちの間で噂は一気に広がった。
「あなたは赤い自転車を持ってる?」
今までとは違い、あの本物に遭遇した日以来、そう聞かれるようになったのだ。
その話を聞いたとき、寺島たくとは生きた心地がしなかったそうだ。
だって、間違いなくあの日乗っていた寺島たくとの自転車が赤色だったからだ。
幽霊が俺を探してると泣きながら言ってきたのだ。
「こりゃ、当分赤い自転車には乗らないほうがいいぞ」
葉山のじいさんが警告をする。
もしもしおばさんの噂とつながったことで、一つの確信がもてたのは葉山のじいさんも同じだろう。
「寺島たくと君。いい報告が一つと悪い報告が一つあるわ」
「いい報告と悪い報告?」
「そう、いい報告はあなたは呪われてなんかいないってこと」
「へっ! いやいや、じゃぁなんで俺を探す電話があちこちにかかるんだよ」
「それはねぇ、犯人が幽霊ではなくて生身の人間としてちゃんと存在するからよ」
「人間……」
てっきり幽霊だと思っていた寺島たくとが生きている人間だということでちょっとほっとしたのがわかる。
バラバラだった事件は、本当はパズルのピースのようなものだったのだ。一見関係のない情報だと思っていたものも組み合わせることで大きな一つの真実へとたどり着くのだろう。
「悪い報告ってなんだよ!」
「この事件は幽霊が引き起こしているものではない、生身の人間が引き起こしている。生きている人間がやっていることだからこそ厄介でこの事件は真の恐怖を兼ね備えている。生身の人間は、幽霊と違って危害を加えようと思えばあなたに危害を加えることができるのだから」
「そんな……俺が何したって言うんだよ……」
「みつけたみつけた次は逃がさない」
「もうそのセリフはいいよ……」
「よく考えて、『逃がさないではなく』『次は逃がさない』なのよ。ここからは推測になるけれど、幽霊は寺島たくと君と出会う前から誰かを探していた。それがこの町内の子供のいる家にしらみつぶしる電話をかけるもしもしおばさんの正体」
「じゃぁ、俺は関係ないじゃんか」
「そうね、寺島たくと君はもしもしおばさんが本当に見つけ出したい人物ではなかった。でもね、彼女はすでに正気じゃないのでしょうね。普通の域を出た行為を行っている。早く見つけなければいけない焦りと、薄暗がりでよく見えないけれど、認識した君が通っている学校の制服」
「なんだよ、俺と同じ学校にいる別恩やつを探してんのかよ……俺とばっちりじゃん」
「彼女の精神状態はいつからかわからないけれど普通じゃなかった。自分が奇行を繰り返している自覚がないからこそ、自転車という逃げやすい状態で迷うことなくUターンした理由を自分が不気味ではなく、あの時のガキに違いないと早合点した」
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