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第4話 ルール
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てっきり私をつぶそうとする同業者の回し者だと思っていたのに。
まさか社交界でも挨拶程度しか、かかわったことがないような有名も有名どころである人物とよもやこんなところで会うだなんて……誰が予測できただろう。
まさか私以外にもパーティー会場を抜け出す変わり者がいるとは……
それにしてもさすが奇人と呼ばれるだけある。
パーティーを抜け出すにしても女の子としけこむわけでもなく。
街の一介の占い師のもとを訪れて金貨10枚もポンと払って、占いを見事的中させることができるか勝負を吹っかけてくるとか……ほーーーーんっと意味がわからない。
どうしてここにいるの? どこで私の占いのことを知ったの?
いろんなことが頭を回る。
あぁ、フェイスベールがあってよかった。
占い師たるもの素の感情を表に出してはいけないというのに、私はかなり動揺していた。
このベールがなければ私の動揺は認識阻害魔法をかけているとすぐに見破ったノアに伝わってしまったことだろう。
「もう、あなたからの質問に私は答えを出した。勝負はこれで終わりです。先ほどの質問自体フェイクだった。これが私の答え」
「私が誰か知っている人物なら、私に婚約者がいないことなどすぐにわかったはず。もう一問だ」
子供のようにもう1回やらせろとごねてくるが、ここでのる必要はないのだ。
奇人ではあるが生粋の遊び人の彼はゲームのルールだけは守ることは評判だからだ。
まぁ、ルールを守らない前提のゲームなどプレイする面白みがないけれど。
「本日はもう無理ですね。先ほどの質問を見事的中させれば、帰ってくださるとお約束いしました。私の占いは当たったはずです。そうでしょう?」
ノアは不機嫌そうな顔で服を漁ると、テーブルの上にまた金貨を10枚並べたのだ。
たった1問の勝負にまた金貨10枚もの大金をポンっと出すだなんて……頭のネジが2,3個どころか、5,6個はぶっとんでるわコイツ。
「もう一勝負」
勝つまで粘られたのではたまったものではない。
「ゲームのルールはプレイする前に決めたはずです。違いますか?」
「ふむ……」
ノアはさらに私の目の前に金貨を並べる。
出てくる出てくる、ポケットにどれだけ突っ込んでいるのよ! ポケットにそのまま気軽に入れておくような額じゃないわよ。
あまりにもじゃんじゃん出てくるもんだから、流石の私の視線がポケットとトレーを行ったり来たりしてしまった。
その数なんと金貨53枚。
その辺にある庶民が欲しがる見栄えのいい屋敷がポンと買えるほどの額だ。
そんな大金が信じられないことにこの男のポケットからまるで銅貨を出すような気軽さで出てくるし。
私の目の前のテーブルに無造作に並べられたのだ。
ポケットになんて額を突っ込んでるのよこの男!?
強盗におそわれたらどうするつもりかしらと思ったけれど、彼はヴィスコッティ家の人間。
強盗など速攻で魔法で返り討ちにあうだろう。
「残念ながら今日の有り金はこれですべてだ。コレすべてを賭けてならばもう一勝負引き受けてくれないか?」
こーんな街の怪しげな占い師相手に、これだけの金額を種銭で勝負とか頭がおかしいわ。
これが彼が奇人と呼ばれたる所以なのだろう。
これだけあれば……治安の悪い街道の整備費や巡回費に回せるんじゃと頭によぎる。
ちらりっとご意見番であるセバスに目をやるけれど、セバスは鳴かない。
目の前の相手がやってることは完全にぶっとんでいるけれど。
怪しい人物ではなく、奇人ではあるが身元がはっきりしたことが大きい。
「とても魅力的ですが……ルールはルール。お帰りくださいませ」
欲を出すものではない。今が引き時だ。
金貨10枚だって十分大金なのだ。
「はぁ、わかったよ」
ノアは不機嫌な表情を取りつくろわないが、とりあえずゲームをする前に決めたルールである以上無理強いするつもりはないようだ。
実に惜しいけれど、53枚もの金貨はあっさりとしまわれてしまった。
ノアは立ち上がり私に背を向けた。
さすが、遊び人。引き際はあっさりとしていることにほっとした。
しかし、ノアはドアに手をかけて振り返る。
「今夜はこれにて失礼するが、勝負は次に持ちこしだ」
「そうですね。次はきちんとご予約をお願いいたします。……先ほどのご婦人とお知り合いなんですよね?」
ノアが先ほどまできていたエミリーと知り合いではないのを知っててあえて言う。
今日は街中仮装パーティーだ。
エミリーを探すことは、ノアには困難なことだろう。
エミリーのあの様子では、今日はもう家からでることはない。
占いに来る人たちと言うのは、他にはなかなか言えない秘密や悩みを相談しに来る。
何かあれば自分の悩みがもれるのではということを心配する人も多いから……見つけても口をあっさりとわるかしらね? と悪い笑顔になる。
ノアも私がご婦人とノアが知り合いではなく、つながりがないことを知っていて言っているとわかったようで、苦虫をかみつぶしたような顔を隠すようにテーブルにおいた仮面を再びつけると。
「了承した。次はこの場所のルールにのっとり、きちんと約束を取り付け伺うことにしよう」
と立ち上がった。
「そうしていただけますと、助かります」
紹介状を手に入れ約束をとりつけてから来て見せるとノアは言いきると。
私に背を向けて私の占いの館を後にしたのだった。
私はというと。
待ち伏せされる可能性を考慮し、ノアが退出して扉の鍵が閉まったのを確認をしっかーーりとしてからパーティで着てきた衣装を両手に持ち――すぐに転移魔法のスクロールを破いた。
残念でした、奇人さん。
勝負は私が勝ち逃げさせてもらうわ。
あんな危ないやつに店の場所がばれて、同じ場所で営業を続けるはずもない。
念には念をいれてしばらく占い師ごっこはセバスの言う通り自粛して。
見つかるかどうかはおいといて婚約者探しに精を出すことにいたしましょう。
スクロールが破かれたことにより、空中に金色の魔法陣がゆっくりと浮かび上がり、次に魔法陣はシュルシュルとほどけて私とセバスを包む。
次に目を開けた時は、王都から遥か遠くの――マクミラン領だ。
さようなら、ノア・ヴィスコッティ。
二度とこちらの姿で会うことはないでしょう。
ノアの去った扉にむかって私は彼に最後の別れの言葉を心の中で告げた。
まさか社交界でも挨拶程度しか、かかわったことがないような有名も有名どころである人物とよもやこんなところで会うだなんて……誰が予測できただろう。
まさか私以外にもパーティー会場を抜け出す変わり者がいるとは……
それにしてもさすが奇人と呼ばれるだけある。
パーティーを抜け出すにしても女の子としけこむわけでもなく。
街の一介の占い師のもとを訪れて金貨10枚もポンと払って、占いを見事的中させることができるか勝負を吹っかけてくるとか……ほーーーーんっと意味がわからない。
どうしてここにいるの? どこで私の占いのことを知ったの?
いろんなことが頭を回る。
あぁ、フェイスベールがあってよかった。
占い師たるもの素の感情を表に出してはいけないというのに、私はかなり動揺していた。
このベールがなければ私の動揺は認識阻害魔法をかけているとすぐに見破ったノアに伝わってしまったことだろう。
「もう、あなたからの質問に私は答えを出した。勝負はこれで終わりです。先ほどの質問自体フェイクだった。これが私の答え」
「私が誰か知っている人物なら、私に婚約者がいないことなどすぐにわかったはず。もう一問だ」
子供のようにもう1回やらせろとごねてくるが、ここでのる必要はないのだ。
奇人ではあるが生粋の遊び人の彼はゲームのルールだけは守ることは評判だからだ。
まぁ、ルールを守らない前提のゲームなどプレイする面白みがないけれど。
「本日はもう無理ですね。先ほどの質問を見事的中させれば、帰ってくださるとお約束いしました。私の占いは当たったはずです。そうでしょう?」
ノアは不機嫌そうな顔で服を漁ると、テーブルの上にまた金貨を10枚並べたのだ。
たった1問の勝負にまた金貨10枚もの大金をポンっと出すだなんて……頭のネジが2,3個どころか、5,6個はぶっとんでるわコイツ。
「もう一勝負」
勝つまで粘られたのではたまったものではない。
「ゲームのルールはプレイする前に決めたはずです。違いますか?」
「ふむ……」
ノアはさらに私の目の前に金貨を並べる。
出てくる出てくる、ポケットにどれだけ突っ込んでいるのよ! ポケットにそのまま気軽に入れておくような額じゃないわよ。
あまりにもじゃんじゃん出てくるもんだから、流石の私の視線がポケットとトレーを行ったり来たりしてしまった。
その数なんと金貨53枚。
その辺にある庶民が欲しがる見栄えのいい屋敷がポンと買えるほどの額だ。
そんな大金が信じられないことにこの男のポケットからまるで銅貨を出すような気軽さで出てくるし。
私の目の前のテーブルに無造作に並べられたのだ。
ポケットになんて額を突っ込んでるのよこの男!?
強盗におそわれたらどうするつもりかしらと思ったけれど、彼はヴィスコッティ家の人間。
強盗など速攻で魔法で返り討ちにあうだろう。
「残念ながら今日の有り金はこれですべてだ。コレすべてを賭けてならばもう一勝負引き受けてくれないか?」
こーんな街の怪しげな占い師相手に、これだけの金額を種銭で勝負とか頭がおかしいわ。
これが彼が奇人と呼ばれたる所以なのだろう。
これだけあれば……治安の悪い街道の整備費や巡回費に回せるんじゃと頭によぎる。
ちらりっとご意見番であるセバスに目をやるけれど、セバスは鳴かない。
目の前の相手がやってることは完全にぶっとんでいるけれど。
怪しい人物ではなく、奇人ではあるが身元がはっきりしたことが大きい。
「とても魅力的ですが……ルールはルール。お帰りくださいませ」
欲を出すものではない。今が引き時だ。
金貨10枚だって十分大金なのだ。
「はぁ、わかったよ」
ノアは不機嫌な表情を取りつくろわないが、とりあえずゲームをする前に決めたルールである以上無理強いするつもりはないようだ。
実に惜しいけれど、53枚もの金貨はあっさりとしまわれてしまった。
ノアは立ち上がり私に背を向けた。
さすが、遊び人。引き際はあっさりとしていることにほっとした。
しかし、ノアはドアに手をかけて振り返る。
「今夜はこれにて失礼するが、勝負は次に持ちこしだ」
「そうですね。次はきちんとご予約をお願いいたします。……先ほどのご婦人とお知り合いなんですよね?」
ノアが先ほどまできていたエミリーと知り合いではないのを知っててあえて言う。
今日は街中仮装パーティーだ。
エミリーを探すことは、ノアには困難なことだろう。
エミリーのあの様子では、今日はもう家からでることはない。
占いに来る人たちと言うのは、他にはなかなか言えない秘密や悩みを相談しに来る。
何かあれば自分の悩みがもれるのではということを心配する人も多いから……見つけても口をあっさりとわるかしらね? と悪い笑顔になる。
ノアも私がご婦人とノアが知り合いではなく、つながりがないことを知っていて言っているとわかったようで、苦虫をかみつぶしたような顔を隠すようにテーブルにおいた仮面を再びつけると。
「了承した。次はこの場所のルールにのっとり、きちんと約束を取り付け伺うことにしよう」
と立ち上がった。
「そうしていただけますと、助かります」
紹介状を手に入れ約束をとりつけてから来て見せるとノアは言いきると。
私に背を向けて私の占いの館を後にしたのだった。
私はというと。
待ち伏せされる可能性を考慮し、ノアが退出して扉の鍵が閉まったのを確認をしっかーーりとしてからパーティで着てきた衣装を両手に持ち――すぐに転移魔法のスクロールを破いた。
残念でした、奇人さん。
勝負は私が勝ち逃げさせてもらうわ。
あんな危ないやつに店の場所がばれて、同じ場所で営業を続けるはずもない。
念には念をいれてしばらく占い師ごっこはセバスの言う通り自粛して。
見つかるかどうかはおいといて婚約者探しに精を出すことにいたしましょう。
スクロールが破かれたことにより、空中に金色の魔法陣がゆっくりと浮かび上がり、次に魔法陣はシュルシュルとほどけて私とセバスを包む。
次に目を開けた時は、王都から遥か遠くの――マクミラン領だ。
さようなら、ノア・ヴィスコッティ。
二度とこちらの姿で会うことはないでしょう。
ノアの去った扉にむかって私は彼に最後の別れの言葉を心の中で告げた。
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