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私たちと市街地
第16話 シュカが消える
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土曜日、私たちは学校に集合していた。
皆時間通りにちゃんと集まったんだけど……集まったんだけど……
「ちょっと待って」
黙っていようと思ったけれどそれは無理だった。
「「「何?(だ)(ですか)」」」
不思議そうな顔で皆が私のことを見た。
学校が休みなので皆今日は制服じゃない。
私はTシャツにショートパンツというよくいる格好なんだけど……
シュカは知っての通り、今日も三つ編みチャイナ服だし。
ちなみちゃんはまさかのゴシックロリータ系。
風月に至っては、社の前で見かけた真っ白の袴姿だし。
なんだこのパーティーはという変なメンバーの完成である。
「皆その服は何?」
「俺はいつもこれじゃん」
そうシュカはいつも三つ編みにチャイナ服だ。
「あの、あの、これは友達と遊びに行くって言ったら。私の、お母さんが「ちなみは引っ込み思案だから服装くらいは目立つのを」って……」
ちなみちゃんは、やっぱりこの格好は他にしている人はあまりいないことに気が付いているようでもじもじしている。
「敷地の外に出るんだ、正装して何が悪い」
袴で歩き回っている人なんてこの町には他にいないよ……目立つ目立つよ。
もう、皆の格好のせいで国籍が不思議なことになっている。
「シュカ、人間の私的にこのメンバーって凄く目立つと思うの。だからいつもの術使ってくれない?」
「別にいいけど、好きな服くらい皆着ればいいと俺は思う」
そういいながらもシュカは指をパチンっとならす。
これで大丈夫とホッとした。悪目立ちしちゃうもん絶対。
「でっ、しずくどうしよっか?」
術をかけるとシュカはくるっとこちらを向いた。
「とりあえず4人でって思ったんだけど、私具体的にどうするかを考えてなかった」
4人で探したほうがいいと思ったけれど、具体的にどうするかとかちっとも考えてなかった。
そもそも、この中で、私だけが人間なんだもの。妖怪がどこにいるかとか検討などつかない。
「ふん、人間は妖怪のことなどよく切らないと思って僕が調べておいた。とりあえず川へ行こう。水辺に妖怪が集まるのは基本だ」
4人で広がって歩くわけにもいかないので、二人ずつになって歩く。
風月は学校の妖怪のことが気になっているようで、熱心にちなみちゃんに話しかけているので、私とシュカが並んで歩く。
「俺あんま濡れたくないから、川とか降りたことないや。今回はろくろっ首のちなみちゃんもいるし。妖怪のことに無駄に詳しそうな風月もいるから、何かしらかの妖怪に会えるんじゃないかな。いや~長いことしずくの家に世話になってミチのご飯食べてきてたからさ。その生活も今日で終わりかもって考えると俺ちょっとだけさびしいかも」
意外なことにシュカの口からさびしいと飛び出した。
確かにあんなことがあってから、シュカは私の安全のためになんだけど、ずーっと一緒にいたんだよね。
一緒にテレビ見て笑ったり、漫画をとりあったり。
夜も毎日がお泊まり会みたいだった。
それが、今日で終わっちゃうのかもと思うとなんだか私もさびしくなった。
「私もちょっとさびしいかも、でもまた遊びに来てよ。うちのお母さんのご飯好きなんでしょ」
「うん、多分恋しくなったら食べに行くと思う」
「そしたら、また私の家でお風呂入って、テレビみてお客様用布団で寝ればいいよ」
「うん、そだねー。よしー風月もいるから、俺先にひとっ走り川みてくる」
シュカは私の話にうなづいているのに、なんだかその姿は寂しそうで……それをごまかすかのようにシュカは走って行ってしまった。
トイレとお風呂くらいしか離れたことなかったから、それだけでもなんだか急にさびしくなる。
「おい、しずく」
走り出したシュカの背中を見つめていると、風月に話しかけられた。
「どうしたの風月?」
「お前は何もわかってないんだな」
「何が?」
私がそう聞くと、ちなみちゃんは気まずそうに視線をそらして、風月はため息をついた。
「あいつはぬらりひょんだ。雑魚妖怪を倒して格があがって、お前に勝てはすべて元通りになる。元通りになるということは、人間のお前はあいつをもう認識することができなくなるということだ」
「え?」
「あいつのことだから、また遊びに来ることはあるだろうが。あいつが家にきてもお前はそれに気づけない」
「どうして?」
「人の家にフラッと入り込んで、当たり前のように生活して、気付かれず去って行く。あいつがそういう妖怪だからだ」
私の家に突然やってきたけれど、それを私の家族は疑問に思わない。
弟もシュカとテレビをみたり遊んだりしているけれど、思い返すと弟からシュカを誘うようなことはない。
学校だって、友達の輪の中にはいって、知らぬ間に出ていることに誰も疑問を感じてない。
いつもシュカはこういっていた、『俺はこういう妖怪だから』と。
「私、シュカのこと見えなくなっちゃうの?」
「間違いなく見えなくなる、人の中にまぎれこんでも気づかれない妖怪。それがぬらりひょんだ。術は特に違和感が起きるときをごまかすためにかけているだけで。普段からぬらりひょんはぬらりひょん。人には本来認識されん。だから、あいつがお前の前で術を使わなかったとしても、ぬらりひょんの性質上お前には二度と見えなくなる」
「じゃぁ、ちなみちゃんは?」
「わっ、わっ、私は人に認識されない妖怪じゃないです。ろくろっ首は身体は人間ですから、学校にも通えますから、しずくちゃんにも見えますよ!
でも、私は首から上は妖怪なので、ぬらりひょん様が術を使わなければ妖怪同士でもあるので見ることはできます。ぬらりひょん様が術を使えば、わ、私は弱い妖怪なので当然見れませんが……。だっだから、しずくちゃんが見えなくなっても、私は術さえ使わなければ認識できます」
問題解決のめどが立ちそうだったのに。
問題が解決してしまえば、人間の私はシュカをもう認識することができなくなることを知ってなんだか複雑な気持ちになる。
それは、私の顔に出ていたようで風月が私に声をかける。
「しずくはシュカを認識できなくても問題はない」
「問題がない?」
「そうだ、あいつのことが見えなくなって寂しい思いをするかもしれない。
だが、それは一時のこと。
ぬらりひょんのあいつと過ごした思い出も、お前がシュカに負ければ、ぬらりひょんの力でだんだん薄れていく。ひと月もたてば、しずくが今体験してる不思議なこともすべて忘れてしまうだろう」
「忘れてしまうの……?」
「そうだ。あいつは人に認識されない妖怪だからな。だから悲しい気持ちも一時のこと心配することではない」
「シュカは?」
思わず、シュカはどうなるのか聞いてしまった。
「あいつは忘れないが心配ない。ぬらりひょんは本来そう言う妖怪だ。人に混じりて人の傍で生きても、人々はあいつのがいることを受け入れても、認識しない。これまでずっとそうして生きてきたのだから。なりはお前と歳が変わらない子供だが、あいつはお前より長く生きているからな。こんなこともあったと気持ちに折り合いをつけ、次の家へふらりと行くことだろう」
……人に忘れられる。
学校でも楽しそうに遊んでいて途中でシュカが抜けても問題なく遊びは続く、誰ひとりシュカが抜けたことに気がつかず。
私がシュカを忘れちゃって、シュカも違うところにふらりといなくなる。
付き合いは短いけれど、この短い間の付き合いは濃かった。
同じ家に住んでご飯を食べたのもそうだけれど、妖怪探しで怖い時は人間みたく私の手をギュッと握ってくれて。
危ない目にあったときは、いつだって私を背にかばってくれた。
シュカの格が上がってシュカが私に勝てば、私はシュカが見えなくなって、その思い出もだんだん消えて行ってしまう。
「しっしっし、しず、しずくちゃん」
あわわわわっと焦った顔で、ちなみちゃんが私に話しかけたことで気がつく。
自分が泣いていたことに。
「なっ、なっ、なんだ? 元の生活に戻れるようになるのになぜ泣くようなことがある」
あれっ、自分でも泣いてたことに驚いて手で涙をぬぐう。
涙はとまらなくて、ふいてもふいても出てきた。
ちなみちゃんはハンカチを方手におろおろ私の周りと右左と動き、風月も私が泣いたことに動揺したようで耳としっぽがポンッとでてうろたえていた。
その時だ。
目の前でおろおろとしていた、ちなみちゃんが頭を抱えてへたり込んだ。
「しずくに何した?」
後ろから低いシュカの声が聞こえた。
皆時間通りにちゃんと集まったんだけど……集まったんだけど……
「ちょっと待って」
黙っていようと思ったけれどそれは無理だった。
「「「何?(だ)(ですか)」」」
不思議そうな顔で皆が私のことを見た。
学校が休みなので皆今日は制服じゃない。
私はTシャツにショートパンツというよくいる格好なんだけど……
シュカは知っての通り、今日も三つ編みチャイナ服だし。
ちなみちゃんはまさかのゴシックロリータ系。
風月に至っては、社の前で見かけた真っ白の袴姿だし。
なんだこのパーティーはという変なメンバーの完成である。
「皆その服は何?」
「俺はいつもこれじゃん」
そうシュカはいつも三つ編みにチャイナ服だ。
「あの、あの、これは友達と遊びに行くって言ったら。私の、お母さんが「ちなみは引っ込み思案だから服装くらいは目立つのを」って……」
ちなみちゃんは、やっぱりこの格好は他にしている人はあまりいないことに気が付いているようでもじもじしている。
「敷地の外に出るんだ、正装して何が悪い」
袴で歩き回っている人なんてこの町には他にいないよ……目立つ目立つよ。
もう、皆の格好のせいで国籍が不思議なことになっている。
「シュカ、人間の私的にこのメンバーって凄く目立つと思うの。だからいつもの術使ってくれない?」
「別にいいけど、好きな服くらい皆着ればいいと俺は思う」
そういいながらもシュカは指をパチンっとならす。
これで大丈夫とホッとした。悪目立ちしちゃうもん絶対。
「でっ、しずくどうしよっか?」
術をかけるとシュカはくるっとこちらを向いた。
「とりあえず4人でって思ったんだけど、私具体的にどうするかを考えてなかった」
4人で探したほうがいいと思ったけれど、具体的にどうするかとかちっとも考えてなかった。
そもそも、この中で、私だけが人間なんだもの。妖怪がどこにいるかとか検討などつかない。
「ふん、人間は妖怪のことなどよく切らないと思って僕が調べておいた。とりあえず川へ行こう。水辺に妖怪が集まるのは基本だ」
4人で広がって歩くわけにもいかないので、二人ずつになって歩く。
風月は学校の妖怪のことが気になっているようで、熱心にちなみちゃんに話しかけているので、私とシュカが並んで歩く。
「俺あんま濡れたくないから、川とか降りたことないや。今回はろくろっ首のちなみちゃんもいるし。妖怪のことに無駄に詳しそうな風月もいるから、何かしらかの妖怪に会えるんじゃないかな。いや~長いことしずくの家に世話になってミチのご飯食べてきてたからさ。その生活も今日で終わりかもって考えると俺ちょっとだけさびしいかも」
意外なことにシュカの口からさびしいと飛び出した。
確かにあんなことがあってから、シュカは私の安全のためになんだけど、ずーっと一緒にいたんだよね。
一緒にテレビ見て笑ったり、漫画をとりあったり。
夜も毎日がお泊まり会みたいだった。
それが、今日で終わっちゃうのかもと思うとなんだか私もさびしくなった。
「私もちょっとさびしいかも、でもまた遊びに来てよ。うちのお母さんのご飯好きなんでしょ」
「うん、多分恋しくなったら食べに行くと思う」
「そしたら、また私の家でお風呂入って、テレビみてお客様用布団で寝ればいいよ」
「うん、そだねー。よしー風月もいるから、俺先にひとっ走り川みてくる」
シュカは私の話にうなづいているのに、なんだかその姿は寂しそうで……それをごまかすかのようにシュカは走って行ってしまった。
トイレとお風呂くらいしか離れたことなかったから、それだけでもなんだか急にさびしくなる。
「おい、しずく」
走り出したシュカの背中を見つめていると、風月に話しかけられた。
「どうしたの風月?」
「お前は何もわかってないんだな」
「何が?」
私がそう聞くと、ちなみちゃんは気まずそうに視線をそらして、風月はため息をついた。
「あいつはぬらりひょんだ。雑魚妖怪を倒して格があがって、お前に勝てはすべて元通りになる。元通りになるということは、人間のお前はあいつをもう認識することができなくなるということだ」
「え?」
「あいつのことだから、また遊びに来ることはあるだろうが。あいつが家にきてもお前はそれに気づけない」
「どうして?」
「人の家にフラッと入り込んで、当たり前のように生活して、気付かれず去って行く。あいつがそういう妖怪だからだ」
私の家に突然やってきたけれど、それを私の家族は疑問に思わない。
弟もシュカとテレビをみたり遊んだりしているけれど、思い返すと弟からシュカを誘うようなことはない。
学校だって、友達の輪の中にはいって、知らぬ間に出ていることに誰も疑問を感じてない。
いつもシュカはこういっていた、『俺はこういう妖怪だから』と。
「私、シュカのこと見えなくなっちゃうの?」
「間違いなく見えなくなる、人の中にまぎれこんでも気づかれない妖怪。それがぬらりひょんだ。術は特に違和感が起きるときをごまかすためにかけているだけで。普段からぬらりひょんはぬらりひょん。人には本来認識されん。だから、あいつがお前の前で術を使わなかったとしても、ぬらりひょんの性質上お前には二度と見えなくなる」
「じゃぁ、ちなみちゃんは?」
「わっ、わっ、私は人に認識されない妖怪じゃないです。ろくろっ首は身体は人間ですから、学校にも通えますから、しずくちゃんにも見えますよ!
でも、私は首から上は妖怪なので、ぬらりひょん様が術を使わなければ妖怪同士でもあるので見ることはできます。ぬらりひょん様が術を使えば、わ、私は弱い妖怪なので当然見れませんが……。だっだから、しずくちゃんが見えなくなっても、私は術さえ使わなければ認識できます」
問題解決のめどが立ちそうだったのに。
問題が解決してしまえば、人間の私はシュカをもう認識することができなくなることを知ってなんだか複雑な気持ちになる。
それは、私の顔に出ていたようで風月が私に声をかける。
「しずくはシュカを認識できなくても問題はない」
「問題がない?」
「そうだ、あいつのことが見えなくなって寂しい思いをするかもしれない。
だが、それは一時のこと。
ぬらりひょんのあいつと過ごした思い出も、お前がシュカに負ければ、ぬらりひょんの力でだんだん薄れていく。ひと月もたてば、しずくが今体験してる不思議なこともすべて忘れてしまうだろう」
「忘れてしまうの……?」
「そうだ。あいつは人に認識されない妖怪だからな。だから悲しい気持ちも一時のこと心配することではない」
「シュカは?」
思わず、シュカはどうなるのか聞いてしまった。
「あいつは忘れないが心配ない。ぬらりひょんは本来そう言う妖怪だ。人に混じりて人の傍で生きても、人々はあいつのがいることを受け入れても、認識しない。これまでずっとそうして生きてきたのだから。なりはお前と歳が変わらない子供だが、あいつはお前より長く生きているからな。こんなこともあったと気持ちに折り合いをつけ、次の家へふらりと行くことだろう」
……人に忘れられる。
学校でも楽しそうに遊んでいて途中でシュカが抜けても問題なく遊びは続く、誰ひとりシュカが抜けたことに気がつかず。
私がシュカを忘れちゃって、シュカも違うところにふらりといなくなる。
付き合いは短いけれど、この短い間の付き合いは濃かった。
同じ家に住んでご飯を食べたのもそうだけれど、妖怪探しで怖い時は人間みたく私の手をギュッと握ってくれて。
危ない目にあったときは、いつだって私を背にかばってくれた。
シュカの格が上がってシュカが私に勝てば、私はシュカが見えなくなって、その思い出もだんだん消えて行ってしまう。
「しっしっし、しず、しずくちゃん」
あわわわわっと焦った顔で、ちなみちゃんが私に話しかけたことで気がつく。
自分が泣いていたことに。
「なっ、なっ、なんだ? 元の生活に戻れるようになるのになぜ泣くようなことがある」
あれっ、自分でも泣いてたことに驚いて手で涙をぬぐう。
涙はとまらなくて、ふいてもふいても出てきた。
ちなみちゃんはハンカチを方手におろおろ私の周りと右左と動き、風月も私が泣いたことに動揺したようで耳としっぽがポンッとでてうろたえていた。
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