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第31話 私たちは友達
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「終わるんじゃないかなって、私はぶっちゃけ思ってる。だって、大事な人って一人しか選べないだろうし。ショウだってその時選ぶのって、友達の私じゃなくて彼女さんじゃないの?」
自分で言っててつらいけど、それをごまかすように、ん? ん? どうだ? と言わんばかりにショウの脇腹を肘でつついた。
「俺の彼女は……そんなこと言わないと思う」
「ショウだって、バイト先のイケメンをどう思ってるか彼女に言えてないじゃない。ましてや、ショウが赤ちゃんからの幼馴染で女性として意識してないと言ってきたら、不満があっても言えないんじゃないかな」
散々私にバイト先のイケメンにたいして不安だと連絡をしてきたのはショウだ。
そして、直接彼女さんに言わないのかについても、そんなこと言えないといったのもショウなのだ。
「赤ちゃんの頃からの付き合いのユウキと、始めたばっかりのバイト先のイケメン店員じゃ全然違うだろ」
ショウはムッとした顔でそう言った。
ショウが言わんとしようとすることはわかるよ、わかるけど……
「じゃぁ、もし彼女さんのバイト先のイケメンは、実は彼女さんとは赤ちゃんの頃からの幼馴染で、結構お互いの家を今も行き来してるって言われたらどう?」
「それは……」
ショウはそう言って口ごもる。
言葉が出てこないということは、相手の立場に立って考えてみたら弁解の余地がなかったということだ。
ショウにとって、自分の彼女にショウと私のような関係の異性の友人などいてほしくないのだ。
私はショウの背中をバシンッと叩いた。
「男女の友情って周りに理解してもらうのって難しいの。まぁ、毎週月曜のジャンプの感想や今日みたいに、思いついたときに一狩りってのができなくなるのは……ちょっと、寂しい……かな」
彼女ができたら、きっとこんな風に二人で遊ぶとか無理になる。寂しくなるだろうなというのは私の本心だった。
「じゃぁ、俺は誰にジャンプの感想言えばいいんだよ。狩りだって……」
何を心配してるのかと思えば、あの一方的に送られてくる感想のこととかショウらしいわ。
「そりゃ、私じゃなくて彼女さんか。同性の友達に送ってやりとりしたらどうかな? ショウだって、彼女さんが同性の友達と毎日連絡取っていても気にならないし、遊びに行っても気にならないでしょ――それに、自分に彼女ができたから、私にハルキを紹介してくれたんじゃないの?」
私は自分で言うのもだけど、完全にこじらせていた。
なのに、なんでショウに彼女ができたタイミングで、男の子みたいな格好と振る舞いの私を紹介してほしいって男の子が現れたのかって思っていたからせっかくだし聞いてみた。
「俺に彼女ができたから、お前の存在が邪魔になったからとか、そう言うつもりで紹介したんじゃない。あっちが、そろそろ彼女が欲しいって言ってて、それで仲いい幼馴染いただろって話になってそれで……」
私がきいたことで、ショウが慌てて誤解を解くように必死にそう言ってきた。
「まぁ、ショウのことだから。裏表ないんじゃないかなとは思っていたんだけど。彼女できたって聞いてからだったから念のため聞いとこうと思っただけだから」
その後の狩りはショウが使い物にならなくて、解散することになった。
珍しく、ショウは玄関先まで私を見送りに来てくれた。
「どうしたのよ? 見送りなんて……珍しい」
「いや、なんか今日、途中から俺が狩りで使い物にならなくて悪いなって」
「私も……ショウがそこまで恋愛でポンコツだと思わなかったごめんごめん。でも、私達は友達でしょ。彼女のこと大事にしてあげなよ」
「あっ、うん」
そういいながらショウはスニーカーを履こうとしてる。
「あれ? この後どっかいくの? ……先に言っておくけど、彼女に私とこれまで通り友達として遊んだりしたらどう思うかとか、大丈夫かの確認をしにいくんじゃないよね?」
かなり気にしてる感じだったからこそあり得る。
「流石に、そんなことしないから。もう結構暗いからお前を送るんだろ」
「……何いってんのよ。ダッシュすれば30秒じゃない私の家まで。今まで送ってくれたことなんてないじゃん。この前なんか私、突然『家まで送る』とか言われてどういう風の吹きまわしかびっくりしたんだから。挙句の果てにはなんだっけ……そうだそうだ『もっと食え』って言ってくるし本当に意味不明だったんだけど」
一体どういう風の吹きまわしなのかわからない。
そして同時に思うことは、あんまり優しくしないで勘違いしちゃうじゃんってこと。
ショウのことだ、普通に夜道危ないくらいの軽い気持ちの可能性大だ。でも、私は違う。
今までずっとしなかったアクションとかされて、変にヒロインに本物の私もなれるんじゃないかとか思うようになるとヤバイ。
だから、私はショウがスニーカーを履くのに時間がかかるのを知っていて、話を途中で切り上げて家に帰ることにしたのだ。
「あれは、お前が思ったより軽かったから、びっくりして!」
「まぁ、私達は友達だから、こんな近い距離は送ってくれなくていいよ。じゃーねー」
スニーカーをまだ履けていないショウを残して私は手をふって家を目指した。
自分で言っててつらいけど、それをごまかすように、ん? ん? どうだ? と言わんばかりにショウの脇腹を肘でつついた。
「俺の彼女は……そんなこと言わないと思う」
「ショウだって、バイト先のイケメンをどう思ってるか彼女に言えてないじゃない。ましてや、ショウが赤ちゃんからの幼馴染で女性として意識してないと言ってきたら、不満があっても言えないんじゃないかな」
散々私にバイト先のイケメンにたいして不安だと連絡をしてきたのはショウだ。
そして、直接彼女さんに言わないのかについても、そんなこと言えないといったのもショウなのだ。
「赤ちゃんの頃からの付き合いのユウキと、始めたばっかりのバイト先のイケメン店員じゃ全然違うだろ」
ショウはムッとした顔でそう言った。
ショウが言わんとしようとすることはわかるよ、わかるけど……
「じゃぁ、もし彼女さんのバイト先のイケメンは、実は彼女さんとは赤ちゃんの頃からの幼馴染で、結構お互いの家を今も行き来してるって言われたらどう?」
「それは……」
ショウはそう言って口ごもる。
言葉が出てこないということは、相手の立場に立って考えてみたら弁解の余地がなかったということだ。
ショウにとって、自分の彼女にショウと私のような関係の異性の友人などいてほしくないのだ。
私はショウの背中をバシンッと叩いた。
「男女の友情って周りに理解してもらうのって難しいの。まぁ、毎週月曜のジャンプの感想や今日みたいに、思いついたときに一狩りってのができなくなるのは……ちょっと、寂しい……かな」
彼女ができたら、きっとこんな風に二人で遊ぶとか無理になる。寂しくなるだろうなというのは私の本心だった。
「じゃぁ、俺は誰にジャンプの感想言えばいいんだよ。狩りだって……」
何を心配してるのかと思えば、あの一方的に送られてくる感想のこととかショウらしいわ。
「そりゃ、私じゃなくて彼女さんか。同性の友達に送ってやりとりしたらどうかな? ショウだって、彼女さんが同性の友達と毎日連絡取っていても気にならないし、遊びに行っても気にならないでしょ――それに、自分に彼女ができたから、私にハルキを紹介してくれたんじゃないの?」
私は自分で言うのもだけど、完全にこじらせていた。
なのに、なんでショウに彼女ができたタイミングで、男の子みたいな格好と振る舞いの私を紹介してほしいって男の子が現れたのかって思っていたからせっかくだし聞いてみた。
「俺に彼女ができたから、お前の存在が邪魔になったからとか、そう言うつもりで紹介したんじゃない。あっちが、そろそろ彼女が欲しいって言ってて、それで仲いい幼馴染いただろって話になってそれで……」
私がきいたことで、ショウが慌てて誤解を解くように必死にそう言ってきた。
「まぁ、ショウのことだから。裏表ないんじゃないかなとは思っていたんだけど。彼女できたって聞いてからだったから念のため聞いとこうと思っただけだから」
その後の狩りはショウが使い物にならなくて、解散することになった。
珍しく、ショウは玄関先まで私を見送りに来てくれた。
「どうしたのよ? 見送りなんて……珍しい」
「いや、なんか今日、途中から俺が狩りで使い物にならなくて悪いなって」
「私も……ショウがそこまで恋愛でポンコツだと思わなかったごめんごめん。でも、私達は友達でしょ。彼女のこと大事にしてあげなよ」
「あっ、うん」
そういいながらショウはスニーカーを履こうとしてる。
「あれ? この後どっかいくの? ……先に言っておくけど、彼女に私とこれまで通り友達として遊んだりしたらどう思うかとか、大丈夫かの確認をしにいくんじゃないよね?」
かなり気にしてる感じだったからこそあり得る。
「流石に、そんなことしないから。もう結構暗いからお前を送るんだろ」
「……何いってんのよ。ダッシュすれば30秒じゃない私の家まで。今まで送ってくれたことなんてないじゃん。この前なんか私、突然『家まで送る』とか言われてどういう風の吹きまわしかびっくりしたんだから。挙句の果てにはなんだっけ……そうだそうだ『もっと食え』って言ってくるし本当に意味不明だったんだけど」
一体どういう風の吹きまわしなのかわからない。
そして同時に思うことは、あんまり優しくしないで勘違いしちゃうじゃんってこと。
ショウのことだ、普通に夜道危ないくらいの軽い気持ちの可能性大だ。でも、私は違う。
今までずっとしなかったアクションとかされて、変にヒロインに本物の私もなれるんじゃないかとか思うようになるとヤバイ。
だから、私はショウがスニーカーを履くのに時間がかかるのを知っていて、話を途中で切り上げて家に帰ることにしたのだ。
「あれは、お前が思ったより軽かったから、びっくりして!」
「まぁ、私達は友達だから、こんな近い距離は送ってくれなくていいよ。じゃーねー」
スニーカーをまだ履けていないショウを残して私は手をふって家を目指した。
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