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第32話 台風
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あれから私とショウの仲はちょっとごたついていた。
まぁ、ショウが一方的に気持ちを処理できていなかったというのが正しいと思う。
いつまでも小さい頃のようにはいられない、だって私達は一応男女だったから。
つい最近まで、私はショウにとってあの頃のまま自分とあまり変わらない体系の友人だったんだと思う。
一緒にいるときの態度や振る舞いは子供の頃と変わらなくても、ショウが男性になったように、私も外見を男の子に近い感じにしていただけで、確実に女性へと切り替わっていた。
せっかく、残りの時間を楽しもうと思っていたのに、日を改めて、ショウの家に遊びに行っても気もそぞろって感じだし。
せっかくの二人の時間なのにいつものように楽しくはなかった。
それでも、私は懲りずにショウのところにいつものように遊びに行った。
ショウは割と気を使うから、きっと彼女ができて私のことを嫌だと言えば遊ぶのを控えると思うから。
今だけなんだもん。
ぼろぼろになってきたお気に入りのクッションもそのうちショウの部屋から撤去されることになるんだろうなと思うと少し寂しい。
ユウキのほうではちっとも楽しく遊べなかったので、ならユウのほうで恋人として楽しくと思ったのだけど。
楽しみにしていた旅行はまさかの台風が直撃で行くことができなくなった。
その後は、私はバイトやら夏の祭典やらお盆だ! ってばたついていたらユウのほうでショウになかなか予定があわず会えなかった。
ユウキであっても盛り上がらないし、ユウとはバイトと行事の都合で会えないし。
ユウのバイト先にショウが来てくれれば会えるのにと思っているんだけど、ユウキを誘って行こうとしていたことから、ショウは一人で店に行くのは気が引けているのかもしれない。
あーもうどうして上手くいかないの。せっかくいろいろ考えてこの夏を楽しく過ごそうと思ったのに。
って時だった。
リサ姉のほうから連絡が入ったのだ。
「玲がショウ君見たって言ってたんだけど本当?」
「あぁ、はい。リサさんに紹介されて今私が玲さんのお店でバイトしているじゃないですか。一度お茶を飲みに来てくれたんですよ」
「……ずるい」
「へ?」
「ユウちゃんの恋愛相談にのっていたのは私なのに!? 私ショウ君を紹介してもらってない」
というか、ユウ自体偽物の存在だから。思い返せば、知っている人にできるだけ会わないように意識するデートばかりしていた。
でも、偽物の私を含めて今の女の子らしい恰好をするようになったのはリサ姉のおかげである。
「あの、ごめんなさい」
「申し訳ないって本当に思ってる?」
「もちろん、思ってますよ! 今の私があるのってリサ姉のおかげですし」
「それじゃぁ、8月の最終の日曜の花火大会でダブルデートしようね」
「いや、ダブルデート自体はかまわないんですけど。私の地元の神社のお祭りのほうじゃなくて、あの駅が毎回毎回混むことがニュースになるほうですよね」
「もちろん、いや~花火だから、ユウちゃんも浴衣来てもらって、髪型も私がウッグセットしてあげるし。ショウ君の顔さえみれば、二人で途中ではぐれていいからさ。ねっねっ」
浴衣を着て花火大会。
少女漫画でヒロインと主人公がよくいくやつだよ。
会場で離れないように手を繋いだり、それでもはぐれちゃって……必死に探して花火が打ちあがると同時に見つけちゃうとか。
なんていうか、あこがれがギュっとつまったイベント。……想像するだけで楽しそう。
ただ、問題がある……
「あの、申し訳ないんですが。私その日夕方までシフト入ってしまってて、地元の祭りならその時間に終わっても問題ないんですが、大きなほうの花火大会に行くとなると。
電車も込むし、会場までの移動も込むから……おそらくこのシフトのままじゃせっかく誘ってもらったんですけど間に合わないと思います」
旅行が駄目になったからこそ、すごーーーく恋人らしいイベントに魅かれたけれど、こればかりはしょうがない。
玲さんには、夏の祭典のための準備にとお休みやシフトにかなり融通を利かせてもらったし。
お盆の間は私のおじいちゃんおばあちゃん家に行ったりしててお休みをもらっていたし。
流石に、もともとはいっているシフトを遊びでキャンセルなんてできない。
「玲には、玲だけ本物のショウ君見てずるいってことで、もうすでにユウちゃんその日休みますって言ってあるから大丈夫! 行くでしょ?」
リサ姉の根回しが早すぎてびっくりする。
でも、これって大丈夫なの?
「あの、本当に大丈夫だったんですか? 玲さん……それ」
「うん、大丈夫よ。もともとその日は夕方で店を閉める予定だったらしいし。少しは辞めてランチタイムが終わったら閉めることにしたみたい」
「いやいやいや、大丈夫じゃないじゃないですか。私抜けたからって営業中止みたいなのは……」
「花火大会行くのに浴衣を着るじゃない。夕方で店を閉めるってことは玲が夕方は店がお休みでフリーになるじゃない」
「いや、まぁ。そうですね。店さえ閉めてしまえば玲さんもフリーですね」
「店は夕方終わり、女の子たちが玲を花火に誘いにお店にきて、もうお店終わるならって粘られたら……玲の安全面的にあぶないでしょ」
リサ姉が話すことで私は納得してしまった。
玲さんは、あの外見だし女の子にめちゃくちゃモテる。玲さんに彼女いるのと聞かれたことはもちろんあるし、女性客にあなたは彼氏いるの? 玲さんとはどういう関係なの? と聞かれたこともあるだけに……うん。
まぁ、ショウが一方的に気持ちを処理できていなかったというのが正しいと思う。
いつまでも小さい頃のようにはいられない、だって私達は一応男女だったから。
つい最近まで、私はショウにとってあの頃のまま自分とあまり変わらない体系の友人だったんだと思う。
一緒にいるときの態度や振る舞いは子供の頃と変わらなくても、ショウが男性になったように、私も外見を男の子に近い感じにしていただけで、確実に女性へと切り替わっていた。
せっかく、残りの時間を楽しもうと思っていたのに、日を改めて、ショウの家に遊びに行っても気もそぞろって感じだし。
せっかくの二人の時間なのにいつものように楽しくはなかった。
それでも、私は懲りずにショウのところにいつものように遊びに行った。
ショウは割と気を使うから、きっと彼女ができて私のことを嫌だと言えば遊ぶのを控えると思うから。
今だけなんだもん。
ぼろぼろになってきたお気に入りのクッションもそのうちショウの部屋から撤去されることになるんだろうなと思うと少し寂しい。
ユウキのほうではちっとも楽しく遊べなかったので、ならユウのほうで恋人として楽しくと思ったのだけど。
楽しみにしていた旅行はまさかの台風が直撃で行くことができなくなった。
その後は、私はバイトやら夏の祭典やらお盆だ! ってばたついていたらユウのほうでショウになかなか予定があわず会えなかった。
ユウキであっても盛り上がらないし、ユウとはバイトと行事の都合で会えないし。
ユウのバイト先にショウが来てくれれば会えるのにと思っているんだけど、ユウキを誘って行こうとしていたことから、ショウは一人で店に行くのは気が引けているのかもしれない。
あーもうどうして上手くいかないの。せっかくいろいろ考えてこの夏を楽しく過ごそうと思ったのに。
って時だった。
リサ姉のほうから連絡が入ったのだ。
「玲がショウ君見たって言ってたんだけど本当?」
「あぁ、はい。リサさんに紹介されて今私が玲さんのお店でバイトしているじゃないですか。一度お茶を飲みに来てくれたんですよ」
「……ずるい」
「へ?」
「ユウちゃんの恋愛相談にのっていたのは私なのに!? 私ショウ君を紹介してもらってない」
というか、ユウ自体偽物の存在だから。思い返せば、知っている人にできるだけ会わないように意識するデートばかりしていた。
でも、偽物の私を含めて今の女の子らしい恰好をするようになったのはリサ姉のおかげである。
「あの、ごめんなさい」
「申し訳ないって本当に思ってる?」
「もちろん、思ってますよ! 今の私があるのってリサ姉のおかげですし」
「それじゃぁ、8月の最終の日曜の花火大会でダブルデートしようね」
「いや、ダブルデート自体はかまわないんですけど。私の地元の神社のお祭りのほうじゃなくて、あの駅が毎回毎回混むことがニュースになるほうですよね」
「もちろん、いや~花火だから、ユウちゃんも浴衣来てもらって、髪型も私がウッグセットしてあげるし。ショウ君の顔さえみれば、二人で途中ではぐれていいからさ。ねっねっ」
浴衣を着て花火大会。
少女漫画でヒロインと主人公がよくいくやつだよ。
会場で離れないように手を繋いだり、それでもはぐれちゃって……必死に探して花火が打ちあがると同時に見つけちゃうとか。
なんていうか、あこがれがギュっとつまったイベント。……想像するだけで楽しそう。
ただ、問題がある……
「あの、申し訳ないんですが。私その日夕方までシフト入ってしまってて、地元の祭りならその時間に終わっても問題ないんですが、大きなほうの花火大会に行くとなると。
電車も込むし、会場までの移動も込むから……おそらくこのシフトのままじゃせっかく誘ってもらったんですけど間に合わないと思います」
旅行が駄目になったからこそ、すごーーーく恋人らしいイベントに魅かれたけれど、こればかりはしょうがない。
玲さんには、夏の祭典のための準備にとお休みやシフトにかなり融通を利かせてもらったし。
お盆の間は私のおじいちゃんおばあちゃん家に行ったりしててお休みをもらっていたし。
流石に、もともとはいっているシフトを遊びでキャンセルなんてできない。
「玲には、玲だけ本物のショウ君見てずるいってことで、もうすでにユウちゃんその日休みますって言ってあるから大丈夫! 行くでしょ?」
リサ姉の根回しが早すぎてびっくりする。
でも、これって大丈夫なの?
「あの、本当に大丈夫だったんですか? 玲さん……それ」
「うん、大丈夫よ。もともとその日は夕方で店を閉める予定だったらしいし。少しは辞めてランチタイムが終わったら閉めることにしたみたい」
「いやいやいや、大丈夫じゃないじゃないですか。私抜けたからって営業中止みたいなのは……」
「花火大会行くのに浴衣を着るじゃない。夕方で店を閉めるってことは玲が夕方は店がお休みでフリーになるじゃない」
「いや、まぁ。そうですね。店さえ閉めてしまえば玲さんもフリーですね」
「店は夕方終わり、女の子たちが玲を花火に誘いにお店にきて、もうお店終わるならって粘られたら……玲の安全面的にあぶないでしょ」
リサ姉が話すことで私は納得してしまった。
玲さんは、あの外見だし女の子にめちゃくちゃモテる。玲さんに彼女いるのと聞かれたことはもちろんあるし、女性客にあなたは彼氏いるの? 玲さんとはどういう関係なの? と聞かれたこともあるだけに……うん。
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