59 / 171
人の恋路を応援している場合ではない
第8話 愛のない告白はさせない
しおりを挟む
フォルトの問いの答えはノーだ。
私が今悩んでいることは、違約金のことだ。
金をどうやって工面するかでは悩んでいるけれど、次の婚約に関してはヤバいかも……程度で眠れないほどの危機感は抱いてない。
せっかくジークとの政略結婚を円満に解消したというのに、次はフォルトが次期領主になるために私と婚約してしまった場合。
私は再び相手を変えて政略結婚のために婚約をすることになってしまう。フォルトとの仲は改善した。けれど、忘れてはいけない大事なことがあるのだ。
最近はすっかり忘れつつあるけれど、この世界は乙女ゲーの世界であり。
フォルトもヒロインにとっては攻略対象者の一人であるということだ。
ジークと婚約していた頃はフォルトルートを選ばれたとしてもレーナには関係のない話だった。
でもレーナがフォルトと婚約してしまうとなればお話は別である。
現にフォルトは私が好きだから婚約したいわけではない。好きではないが自分にも結婚するメリットがあるし、昔と違い困ってる姿がほっとけないから婚約しようと言っているのだ。
これでは、婚約した後で彼がヒロインのことを好きになってしまえば、フォルトもジークのように婚約者である私を邪魔に思い破棄しようとするパターンになるのが一番怖い。
ジークとの婚約解消は仕方がなかったとしても、次にフォルトと婚約を円満に解消することになれば私は二度も婚約を解消したわけあり物件となってしまう。
シオンの言ってたアーヴァインの不良債権の言葉がちらつく。
「政略結婚で私がどれくらい悩んでいたか知っていて政略結婚を持ちかけるつもりですか?」
「俺はあいつとは違う」
確かに、私の知る限りですらジークの私に対する扱いはひどかったもんな。それよりマシだろう! と言われるとそうかもしれない。
「とにかく、今は今後の結婚について悩んでいるわけではありません」
「じゃぁ、何に悩んでいるんだ?」
「誰にも言わないと約束できますか?」
「その約束はできない。状況によっては周り助けを求めることは恥ずかしいことではないと前にレーナ嬢が言っていただろう」
「では話しません。それでは、ごきげんよう」
あの時はあの時、今は今である。自分の過去の発言を棚に上げて私はフォルトの前から去ろうとする。
「わかった。約束するから」
私が歩きだすと、フォルトのほうが折れた。
「スライムを知っていますか?」
「……スライム?」
間があってから、フォルトがゆっくりとした口調でそう復唱した。
「知らないならいいのです。それでは」
「待て待て待て、スライムは知っている。なぜレーナ嬢から今スライムって単語が出たのかが疑問だったんだ」
「街の水路に出るのです」
「まぁ、綺麗な水辺を好むから、水路にいることに関しては疑問はないが……。先に聞いておくが厄介なことに首を突っ込んではいないよな?」
フォルトがまっすぐと私を見つめるので、私は視線をサッと右下に逸らした。
「……とりあえずいつものメンバーには言わないか?」
すぐに思い浮かんだのはシオンの顔だった。
「ほら、一人にしておくからすぐ騙されたじゃん」
そう言うのが目に見えてる。
その次に出てきたのは、仲のいいアンナとミリーがかわいそうにと私が騙されたことを憐れむ様子。
最後にでてきたのはジーク、ため息をつきながらも「さっさと終わらせよう」と言ってき解決する様子が目に浮かぶ。
「貴族として解決したい問題ではないから悩んでいるのです」
私は自分の名誉を守るために嘘をついた。
「どういうことだ?」
「ちょっと、気になることがありまして。それを解決するためにはスライムを一掃したいのですが……フォルトだったらどうやって倒します?」
「普通に魔法でこう……」
魔法に長けてるフォルトと魔法がクソの私では倒し方に大きな差があったし、フォルトのはまねできないことだけがわかった。
「とにかく、どうにもならなくなったら助けてください」
「それはわかったけれど……」
「他言無用ですよ。特にシオンには絶対に言わないでください」
とにかく誰にも話すなと念押しをしてフォルトと別れた。
しかし、無駄に私の秘密をチラッと話すことになっただけで、解決の糸口すらつかめなかった。
私が今悩んでいることは、違約金のことだ。
金をどうやって工面するかでは悩んでいるけれど、次の婚約に関してはヤバいかも……程度で眠れないほどの危機感は抱いてない。
せっかくジークとの政略結婚を円満に解消したというのに、次はフォルトが次期領主になるために私と婚約してしまった場合。
私は再び相手を変えて政略結婚のために婚約をすることになってしまう。フォルトとの仲は改善した。けれど、忘れてはいけない大事なことがあるのだ。
最近はすっかり忘れつつあるけれど、この世界は乙女ゲーの世界であり。
フォルトもヒロインにとっては攻略対象者の一人であるということだ。
ジークと婚約していた頃はフォルトルートを選ばれたとしてもレーナには関係のない話だった。
でもレーナがフォルトと婚約してしまうとなればお話は別である。
現にフォルトは私が好きだから婚約したいわけではない。好きではないが自分にも結婚するメリットがあるし、昔と違い困ってる姿がほっとけないから婚約しようと言っているのだ。
これでは、婚約した後で彼がヒロインのことを好きになってしまえば、フォルトもジークのように婚約者である私を邪魔に思い破棄しようとするパターンになるのが一番怖い。
ジークとの婚約解消は仕方がなかったとしても、次にフォルトと婚約を円満に解消することになれば私は二度も婚約を解消したわけあり物件となってしまう。
シオンの言ってたアーヴァインの不良債権の言葉がちらつく。
「政略結婚で私がどれくらい悩んでいたか知っていて政略結婚を持ちかけるつもりですか?」
「俺はあいつとは違う」
確かに、私の知る限りですらジークの私に対する扱いはひどかったもんな。それよりマシだろう! と言われるとそうかもしれない。
「とにかく、今は今後の結婚について悩んでいるわけではありません」
「じゃぁ、何に悩んでいるんだ?」
「誰にも言わないと約束できますか?」
「その約束はできない。状況によっては周り助けを求めることは恥ずかしいことではないと前にレーナ嬢が言っていただろう」
「では話しません。それでは、ごきげんよう」
あの時はあの時、今は今である。自分の過去の発言を棚に上げて私はフォルトの前から去ろうとする。
「わかった。約束するから」
私が歩きだすと、フォルトのほうが折れた。
「スライムを知っていますか?」
「……スライム?」
間があってから、フォルトがゆっくりとした口調でそう復唱した。
「知らないならいいのです。それでは」
「待て待て待て、スライムは知っている。なぜレーナ嬢から今スライムって単語が出たのかが疑問だったんだ」
「街の水路に出るのです」
「まぁ、綺麗な水辺を好むから、水路にいることに関しては疑問はないが……。先に聞いておくが厄介なことに首を突っ込んではいないよな?」
フォルトがまっすぐと私を見つめるので、私は視線をサッと右下に逸らした。
「……とりあえずいつものメンバーには言わないか?」
すぐに思い浮かんだのはシオンの顔だった。
「ほら、一人にしておくからすぐ騙されたじゃん」
そう言うのが目に見えてる。
その次に出てきたのは、仲のいいアンナとミリーがかわいそうにと私が騙されたことを憐れむ様子。
最後にでてきたのはジーク、ため息をつきながらも「さっさと終わらせよう」と言ってき解決する様子が目に浮かぶ。
「貴族として解決したい問題ではないから悩んでいるのです」
私は自分の名誉を守るために嘘をついた。
「どういうことだ?」
「ちょっと、気になることがありまして。それを解決するためにはスライムを一掃したいのですが……フォルトだったらどうやって倒します?」
「普通に魔法でこう……」
魔法に長けてるフォルトと魔法がクソの私では倒し方に大きな差があったし、フォルトのはまねできないことだけがわかった。
「とにかく、どうにもならなくなったら助けてください」
「それはわかったけれど……」
「他言無用ですよ。特にシオンには絶対に言わないでください」
とにかく誰にも話すなと念押しをしてフォルトと別れた。
しかし、無駄に私の秘密をチラッと話すことになっただけで、解決の糸口すらつかめなかった。
205
あなたにおすすめの小説
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。