悪役令嬢はヒロインを虐めている場合ではない

四宮 あか

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王子様から逃げている場合ではない

第9話 社交室へようこそ

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 その後は最悪だった、ヘバンテンの名の効果は絶大でまさかまさかの、この私ができるほうのクラスへと受け入れられる方向性で話は進んでいき。
 私がこのままではヤバいと、いろいろ言ってみたものの何を言ってもなしのつぶて……


 その結果――――

 マルローネ先生との対話を諦めた私は、教師の承諾など取らず廊下へとつながる扉へと手をかけた。
「レーナ様?」
 私の行動は思いもよらない物だったのだろう、先が読めずマルローネ先生が不思議そうな顔をして私の名前を呼んだ。
「失礼させていただきます」
 ニッコリと笑顔を浮かべて私はそういった。
 授業中にも関わらず、教室の扉を私はあっさりと開けた。


「レーナ様! まだ話は」
 そう呼び止められるものの、私はもうマルローネ先生の話を聞く気すらない。
 だってもう、何を言われても私は折れませんって顔してたんだもの。


 こういう人とかかわることは、前世ですでに経験済みだ。
 話合いとは名ばかり、自分の納得する落としどころまで話し合いを終わらせる気のない人だ。


 先生は自分の考えこそ絶対的に正しいと思っていて、だからこそ私の意見などはなから聞くつもりなどないのだ。
 自分が正しいから、自分が正しいと思う落としどころになれば……これが正しかったと後で私もわかることだろうとでも思っているのかもしれない。

「マルローネ先生は、自分望んでいる結末になるまっで話し合いを終わらせる気がないことにお気づきでしょうか?」
 前世のことを思い出して、ついつい皮肉めいた言い方になってしまう。
「え? 何を……」
 話題が私をできるほうのクラスにとどめておくから、先生の考え方の指摘に切り替わったことで先生が戸惑うのが解る。
「これ以上話し合っても、話しは平行線で時間の無駄です。それでは失礼いたします」
 散々私の話を聞かなかったのだから、もういいと私は会話を勝手に打ち切り教室を後にした。


 私が教室のドアを閉めるとすぐにマルローネ先生が追いかけてきた。
 先生は授業に戻るように私に説得をしてきたけれど、戻ったところで堂々巡りなことを解っていた私は先生の言葉に適当に相槌を打ちながらとある場所へと向かっていた。


 そう先生ですら派閥の招待なしでは中に入ることのできない、社交室へ。
「社交室のルールは先生なら説明せずともご存じですよね? それでは、授業にお戻りくださいませ」
 私はそういって、レーナ派閥の社交室の扉を開け中へと入った。

「お待ちくださいレーナ様」
 そんな声を背中に聞きつつ、私は迷うことなく社交室の重厚な扉を閉めたのであった。


 ここまではよかったのだ。
 ここまでは……
 ふう、椅子に横になってお昼寝でもしようかしらと思ったのだけど。
 社交室は無人ではなかった!
「これはレーナ様! も、申し訳ございません。今責任者をおよびいたします」
 アンナとミリーが社交室を徐々に私好みの部屋にの言葉通り、私たちが授業を受けている間にアンナとミリーのところのメイドたちを主導にして、業者もいれて大々的に社交室の家具を新しく移動しているところに鉢合わせたようだ。


 忙しい時に来てしまったようで申し訳ない。
 すでに私が手伝いをと動けばメイドが委縮することくらいは理解しているので、部屋の隅の椅子に座らせてもらおうと思ったのだけど……


 どうやらこのような家具の大幅な入れ替えの最中を見られるということは、ものすごく失礼に当たるようで。
 責任者がそれはもう、予定の確認不足でしたと床に頭を擦り付けて謝罪し始めてしまうし。
 責任者がそのように頭を深く下げ謝罪し始めたものだから、部屋の模様替えの手を止めていたメイドたちや業者がこれはとんでもない失態を犯してしまったぞと震えあがり、上に習うかのように慌てて膝を折り頭を下げだす阿鼻叫喚となってしまった。


「自分たちの社交室の模様替えなので、いったいどうなるか見に来ただけなのよ。驚かせるつもりはなかったのよ、ごめんなさいね」
 私は嘘をついた。
 社交室なら先生は入ってこられないし、とりあえず授業のボイコット先としてここでゴロゴロすればいいやというくらいの気持ちだったのだ。


 私はあえて模様替えの様子を見に来たのだというと、明らかに皆がホッとしだした。
 そして仕事に戻るように促すと、かなり緊張した面持ちでそれはもう無駄口一切なしのシーンとした環境下で模様替えは行われていく。


 新しい真っ白なレースのカーテンに合わせるカーテンは美しい淡い藤色。
 濃い色味の家具で重厚感たっぷりにまとめられている部屋が、淡い紫、白、黄緑の3色でまとめ上げられていくのを私は見守りつつ。
 私は自分の意思で授業をサボったことと向き合っていた。


 もともと王立魔法学園は魔力量が高い生徒が学ぶ場。
 私くらいになると、貴族の中にはもしも取り返しのつかない怪我をしてはと通わせないお子さんもいるとすでに知ってしまったし。
 学園生活は友達もいて、何より乙女ゲームの舞台で楽しいことのほうが多いけれど。
 命に勝るものはなし。

 
 ということで、私と仲のいい界隈に事情を説明し。
 私は実習のある実践の授業に参加しないことにした。


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