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王子様から逃げている場合ではない
第15話 貴族の義務
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薬学の授業を終えた私はいつものように戦闘実習の授業には参加しないため社交室までアンナとミリーに送られてきたんだけれど。
いつもこの時間に社交室を利用するのは授業があることもあって私ぐらいのもので。他の生徒の出入りなんかほぼないのだけれど。
今日は授業前にもかかわらず、生徒が何人もいた。
それはミリーも同じようで、いつもとは違い授業がもうすぐ始まる時間だというのに妙な活気のある社交室エリアをみて不思議そうに首をかしげてこういった。
「どうしたのでしょうか? いつもより人が多くないですかレーナさま?」
「本当ね。ミリー。何かあったのかしら? アンナは何か知っている?」
「社交として何か大きなイベントを計画している派閥は特になかったと思いますが……」
アンナは首をかしげる。
不思議そうに人の出入りを眺めていると、よそ様の社交室には次々と真新しいじゅうたんだの、ソファーだの、これから社交室での時間を楽しむぞ~といわんばかりの家具たちが運び込まれていく。
「あっ、レーナ様すみません。そろそろ授業にいかないといけないので」
アンナが時間があまりないことに気が付いてあわててミリーとともに去っていった。
その背中を私は眺めて、いつもと違いにぎやかな社交室エリアに首をかしげて、ドアを開けていつもの部屋にこもるのだった。
そしていつもと違う光景の理由は授業が終わってすぐに分かった。
「レーナさま大変です。大変です!」
ミリーがきらきらとした目で語りだした。
「基礎授業にもかかわらず怪我人が続出したことで、レーナさまのようにサボる生徒が「ミリー! あっ、レーナ様違うのです、えっと……」
いつものように、ちょっと失言したのをすかさずアンナがたしなめて言葉を選び出す。
でも大体のことはこれでわかった。
社交室にいるのは、まぁミリーの言う通り私のように授業をさぼる生徒たちだったというわけだ。
「外部での討伐実習ならともかく、先生がついている基礎の実習であれだけ怪我人がでたんじゃ、貴族の方々によっては何かあっては大変と引っ込んだって仕方ないじゃん」
「シオン、それは言い方が……」
「いや、こればかりはシオンの言うとおりだと思う。本来起きないようなところで事故が起こるようでは……」
アンナがどうしたもんだか~と言葉を選ぶのにかぶせるように、シオン。そしてシオンをたしなめるフォルトとシオンの意見にジークが同調した。
「このままでは、遅かれはやかれ間違いなく問題になると思われます」
アンナは困った表情でほほに手をやり小さな溜息をついた。
「えっ!?」
私が我先にと授業をさぼりだしたこともあって、このままだとまずいの!? と慌ててしまう。
「そりゃそーでしょ。貴族はただ貴族の身分を与えられたわけじゃない。いざというときに前に立つから敬われる。それが危ないからって引っ込んでいたら反発がどこからでるかわかったもんじゃないし。かといって、授業を続けられて怪我人があのペースで連日出続けられたら僕が死んじゃう」
や、やばいまずい。でも私よりも魔力がある他の貴族が怪我をする授業に私がでれば、本当に死にかねない。
でも命よりも大事なものなどこの世にはない。
「レーナの場合は大丈夫だよ。君は貴族の義務を放棄せず、動かねばならない時に前に立ち動くことをアンバーの民は十分わかっている。君がアンバーでさらわれた日。海上で君は見たはずだ。空を覆うほどのランタンを見ただろう。でも他の貴族たちはどうだろうね」
ジークはやばい、まずい、どうしようという私の心が読めたのかそういってくれて、ほっとする。
「王立魔法学園に来ているのは、貴族だけではなく平民もいるから貴族の生徒がこぞって授業にでないとなれば、どんなふうに王立学園の内情を知らない民に漏れるのか……」
私のことは漏れてもいざとなったら動くことを知っている民がちゃんといるから問題ないだろうけれど、他の貴族は貴族としての義務を果たしていると判断されるのだろうか? という点をフォルトが指摘する。
「ほんとそれ、他の生徒は勘違いしてるんだけれど。むかつくことに、レーナ様はやらないといけないことに関しては、ちゃんと高位貴族としてふるまってて、何の神が味方にしてるのか何とかさせてきたってことを知らないんだよね」
ちょっとチクチクする物言いだけれど、シオンも私に関してはやるべき義務を放棄してないことをみとめたけど。
義務を本当は放棄してない私と、義務を成してない貴族は同じ扱いには当然ならないことを知っているからこそどことなく不穏な空気となる。
「とりあえず、身分の高いレーナ様が授業にでてこられないからと、レーナ様を引き合いに出していろいろ言われないかを警戒しないと」
アンナが頭を抱えて。
ミリーもアンナの言葉にうなずいていた。
「あーそれは、問題だな。とりあえず、俺もフォローする」
フォルトもそれにうなずいた。
なんかどんどん大事になってるんだけど。
そして、実践訓練の授業の際に社交室を利用する生徒が回を増すごとに、不安的中で増えていく。
どうしよう、どうしたら、どうしよう。
いつもこの時間に社交室を利用するのは授業があることもあって私ぐらいのもので。他の生徒の出入りなんかほぼないのだけれど。
今日は授業前にもかかわらず、生徒が何人もいた。
それはミリーも同じようで、いつもとは違い授業がもうすぐ始まる時間だというのに妙な活気のある社交室エリアをみて不思議そうに首をかしげてこういった。
「どうしたのでしょうか? いつもより人が多くないですかレーナさま?」
「本当ね。ミリー。何かあったのかしら? アンナは何か知っている?」
「社交として何か大きなイベントを計画している派閥は特になかったと思いますが……」
アンナは首をかしげる。
不思議そうに人の出入りを眺めていると、よそ様の社交室には次々と真新しいじゅうたんだの、ソファーだの、これから社交室での時間を楽しむぞ~といわんばかりの家具たちが運び込まれていく。
「あっ、レーナ様すみません。そろそろ授業にいかないといけないので」
アンナが時間があまりないことに気が付いてあわててミリーとともに去っていった。
その背中を私は眺めて、いつもと違いにぎやかな社交室エリアに首をかしげて、ドアを開けていつもの部屋にこもるのだった。
そしていつもと違う光景の理由は授業が終わってすぐに分かった。
「レーナさま大変です。大変です!」
ミリーがきらきらとした目で語りだした。
「基礎授業にもかかわらず怪我人が続出したことで、レーナさまのようにサボる生徒が「ミリー! あっ、レーナ様違うのです、えっと……」
いつものように、ちょっと失言したのをすかさずアンナがたしなめて言葉を選び出す。
でも大体のことはこれでわかった。
社交室にいるのは、まぁミリーの言う通り私のように授業をさぼる生徒たちだったというわけだ。
「外部での討伐実習ならともかく、先生がついている基礎の実習であれだけ怪我人がでたんじゃ、貴族の方々によっては何かあっては大変と引っ込んだって仕方ないじゃん」
「シオン、それは言い方が……」
「いや、こればかりはシオンの言うとおりだと思う。本来起きないようなところで事故が起こるようでは……」
アンナがどうしたもんだか~と言葉を選ぶのにかぶせるように、シオン。そしてシオンをたしなめるフォルトとシオンの意見にジークが同調した。
「このままでは、遅かれはやかれ間違いなく問題になると思われます」
アンナは困った表情でほほに手をやり小さな溜息をついた。
「えっ!?」
私が我先にと授業をさぼりだしたこともあって、このままだとまずいの!? と慌ててしまう。
「そりゃそーでしょ。貴族はただ貴族の身分を与えられたわけじゃない。いざというときに前に立つから敬われる。それが危ないからって引っ込んでいたら反発がどこからでるかわかったもんじゃないし。かといって、授業を続けられて怪我人があのペースで連日出続けられたら僕が死んじゃう」
や、やばいまずい。でも私よりも魔力がある他の貴族が怪我をする授業に私がでれば、本当に死にかねない。
でも命よりも大事なものなどこの世にはない。
「レーナの場合は大丈夫だよ。君は貴族の義務を放棄せず、動かねばならない時に前に立ち動くことをアンバーの民は十分わかっている。君がアンバーでさらわれた日。海上で君は見たはずだ。空を覆うほどのランタンを見ただろう。でも他の貴族たちはどうだろうね」
ジークはやばい、まずい、どうしようという私の心が読めたのかそういってくれて、ほっとする。
「王立魔法学園に来ているのは、貴族だけではなく平民もいるから貴族の生徒がこぞって授業にでないとなれば、どんなふうに王立学園の内情を知らない民に漏れるのか……」
私のことは漏れてもいざとなったら動くことを知っている民がちゃんといるから問題ないだろうけれど、他の貴族は貴族としての義務を果たしていると判断されるのだろうか? という点をフォルトが指摘する。
「ほんとそれ、他の生徒は勘違いしてるんだけれど。むかつくことに、レーナ様はやらないといけないことに関しては、ちゃんと高位貴族としてふるまってて、何の神が味方にしてるのか何とかさせてきたってことを知らないんだよね」
ちょっとチクチクする物言いだけれど、シオンも私に関してはやるべき義務を放棄してないことをみとめたけど。
義務を本当は放棄してない私と、義務を成してない貴族は同じ扱いには当然ならないことを知っているからこそどことなく不穏な空気となる。
「とりあえず、身分の高いレーナ様が授業にでてこられないからと、レーナ様を引き合いに出していろいろ言われないかを警戒しないと」
アンナが頭を抱えて。
ミリーもアンナの言葉にうなずいていた。
「あーそれは、問題だな。とりあえず、俺もフォローする」
フォルトもそれにうなずいた。
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そして、実践訓練の授業の際に社交室を利用する生徒が回を増すごとに、不安的中で増えていく。
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